著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「学習ゲーム」で、楽しみながら学力アップ!
東北福祉大学教授上條 晴夫
2014/8/14 掲載
  • 著者インタビュー
  • 指導方法・授業研究
 今回は上條晴夫先生に、新刊『スペシャリスト直伝! 学びのしかけで学力アップ! 学習ゲームの極意』について伺いました。

上條晴夫かみじょうはるお

1957年、山梨県生まれ。小学校教師、jr ノンフィクション作家を経て、教育ライターとなる。現在、東北福祉大学教授。お笑い教師同盟代表。特定非営利活動法人「全国教室ディベート連盟」理事。「教師教育ネットワーク」代表。学習ゲームに関する著書を多数執筆。

―「学習ゲーム」がもたらす効用には、どんなものがあるでしょうか?

 「効用その1」は、ゲームを巡って教室の中に様々なコミュニケーションが生まれることです。コミュニケーションがあることによって教室が楽しくなります。「効用その2」はコミュニケーションの楽しさを通して「学ぶ力」を獲得できることです。その他にも「連帯感・充実感・達成感」などを味わうことができますし、協同性も養われます。

―数多くの学習ゲームをプロデュースされている上條先生ですが、もともと、こういったゲームを授業に取り入れようと思ったきっかけは何だったのですか?

 きっかけは「学級崩壊」です。1997年に始まる学級崩壊をあれこれ調べていくうち、「崩壊」現象を引き起こす原因の一つに「授業はつまらないもの」という昔からの定説があることに気がつきます。しかし、時代の変化と共に「学校もできるだけ楽しく学ばせてほしい」という人が増えてきています。子どもが「退屈」だと思ってしまう授業をなんとか変える方法はないかと考えて辿りついた授業(教材)の一つがこの学習ゲームです。

―本書では、「学習ゲーム」のやり方だけでなく、その裏側にある「学びのしかけ」についても紹介されています。こうした「ゲームの効能」を意識することによって、どのような効果がありますか?

 授業の究極の目的は「学力向上」です。学習ゲームは様々なコミュニケーション溢れる楽しい活動なので授業は盛り上がります。しかし娯楽ゲームと違って、学習ゲームは盛り上がるだけでは意味がありません。その盛り上がりの中で生まれた学びを定着させる必要があります。そのためには教師が「ゲームの中の学びのしかけ」を熟知する必要があります。「学びのしかけ」を知ることによってゲームから学びを引き出しやすくなります。

―実際にやり始めると楽しい学習ゲームですが、導入するにあたって、先生方が注意しておいた方がいいこととは何でしょうか?

 自分なりに「これなら学びを引き出せる」と納得できるゲームから手を付けることです。そして、そのゲームが本当に子ども(たち)の学びを引き出しているかをよく観察するクセをつけるといいです。授業の中の観察、あるいは、授業終末部における振り返りの作文などによってそれをするとよいでしょう。こうした省察のクセによって「ゲームから学びを引き出せたという実感」がないと、なかなか長続きしないと思います。
 

―最後に、読者の先生方にメッセージをお願いします。

 ぜひ本書を手にとって「学習ゲーム」に挑戦してみてください。従来の「大事なことを教師の言葉によって教える教え方」と違う「体験型の学び」です。慣れないと戸惑うこともあると思いますが、少し変わった教材の一つと思って少しずつ活用していただければ、きっとお役に立てると思います。ぜひ実際に試してみて下さい。

(構成:松川)
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