著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
歌の力はすごい!J-POPで感動の道徳を創る
千葉県君津市立久留里中学校教頭柴田 克
2014/3/28 掲載
今回は柴田 克先生に、新刊『J―POPで創る中学道徳授業』について伺いました。

柴田 克しばた かつし

1982年千葉県君津市立小櫃中学校で教諭となる。
その後、袖ヶ浦市立長浦中学校、木更津市立中郷中学校、君津市立松丘中学校、君津市立亀山中学校と5校に教諭として勤務中、卓球部を道徳的視点を入れて指導し、5校全ての学校を千葉県大会優勝、関東大会出場に導く。
現在、君津市立久留里中学校教頭。
千葉県版中学校道徳副読本副編集長。

―本書のタイトルでもある「J-POPで創る道徳授業」とは、あまり聞き慣れないものだと思います。どのような授業で、どんな魅力があるのでしょうか。

 みなさんも歌に感動したことってありませんか? この感動を道徳の授業に取り入れようとするのが本書です。授業者も楽しい、子どもたちも生涯心と耳に残る授業になります。歌詞の意味を考えたり、歌が作られた背景の事実から考えたり、様々なカウンセリングテクニックも使用します。中学校の価値項目24のうち18項目を取り上げているのも魅力だと思います。

―先生が「J-POPで創る道徳授業」に取り組まれたきっかけはどのようなものだったのでしょうか?また、長年続けられてきた理由があれば教えてください。

 11年前、SMAPの「世界で一つだけの花」がラジオで流れていたのを聴いて、すごく感動し、授業に取り入れたのがきっかけでした。当時はまだシングルカットされていなくてSMAPのコンサートDVDを購入して授業を行いました。そこから今まで、50曲以上で授業を行いましたが、教師も子どもも「次の授業が楽しみ!」というのが長年続けられた理由だと思います。

―本書で取り上げられている歌は、さだまさしさんからAKB48まで、非常に幅広いと感じます。先生はどのように歌を発掘されているのでしょうか?また、道徳授業で活用できる・できないの基準などはありますか?

 歌の幅広さはネットワークの幅広さだと思います。私一人の趣味の範囲では当然狭くなります。仲間とカラオケに行って、いろいろな人の曲を聴いたり、子どもたちと話す中で「先生、この曲知っている?」と教えてもらったこともあります。ドラマの主題歌も必ずチェックします。授業者が「伝えたい」という想いがその曲にあれば活用できない曲はないと思います。

―本書では、「涙が出そうなくらい感動した」「この歌を授業で使えませんか?」という子どもの声が紹介されています。今まで実践されてきた中で、印象的なエピソードがありましたら教えてください。

 上級生が新入生に「中学校では歌で授業するんだよ」と教えていた場面がすごく印象に残っています。教え子が成人式のとき、「中学校時代、歌で道徳やりましたよね」と結構曲を覚えていて、カラオケで一緒に歌ったこともありました。「中学校時代に道徳で何をしたか」と、若手教員に聞いても何も覚えていないことが多い中、大人になっても覚えている、また、大人になっても歌って思い返せる授業って素敵だと思います。

―最後に、本書を読んで「J-POPを活用した道徳授業に取り組もう!」という読者の方にメッセージをお願いします。

 「授業をするのが楽しみだな」と教師が思えるのが一番。たとえ「授業がうまくいかなかったな」と思っても「歌」に道徳的視点を与えただけで十分価値ある授業です。また、情報ネットワークも広げていきましょう。いろいろな人と「この曲使えないかな」と話し合うこと、それがもう教材研究です。また、「こんな曲で授業しました!」と私にも教えていただけるとうれしいです!

(構成:茅野)
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