- 著者インタビュー
- 評価・指導要録
まずは、読み手の違いをしっかりと意識して書くことです。指導要録の読み手は、基本的には次学年の担任や進学先の教師です。通知表の読み手は、生徒や保護者です。したがって指導要録の所見は、新たに担任する教師が、その生徒のよさや特徴をつかめるように書くとよいでしょう。
学習指導要領の改訂に伴い、言語活動の充実に重きが置かれるようになりました。これは国語科だけでなく、あらゆる教科の学習において望まれていることです。このことに留意しながら、その生徒について各教科担任と情報交換をしたうえで所見を書くとよいでしょう。
本書の文例を見ていただくとよくわかりますが、事実に基づいて具体的に書くことが大切です。他の教員のだれもが特別なニーズをもつ生徒を指導した経験をもっているわけではありません。抽象的な表現では、読み手に伝わらないことが考えられます。特に、その生徒が伸びるうえで有効だった働きかけを具体的に記述しておくとよいと思います。
一言で電子化といっても、自治体によってレベルの違いはかなりあるようです。例えば、通知表のデータが指導要録へ自動転送され、入力ミスが発生しないような強固なシステムが完備されている自治体もあれば、ワープロの書式の1つに指導要録が用意されている程度の自治体もあります。特に、簡易的なシステムで作成する場合は、どのようなミスが発生しやすいのかに作成者自身が留意する必要があります。
生徒に1年間かかわってきたうえでの所見であることを肝に銘じておくことです。しかし、このことを意識しすぎて、あまり大仰な所見になってもいけません。一人ひとりの生徒の顔を思い浮かべながら、まずはその生徒のよさや特徴、1年間の成長ぶりをしっかり記録しておこうという気持ちで書いてほしいと思います。