著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
読み手に伝わる、生徒の成長の記録を残そう
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2013/1/7 掲載
  • 著者インタビュー
  • 評価・指導要録
 今回は玉置崇先生に、新刊『中学校学級担任必携 生徒指導要録作成の手引き&総合所見の文例1080』について伺いました。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭、愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員歴任。
主な著書に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書/単著)、『中学校学級担任必携 通知表所見の文例集』1,2,3年(明治図書/編著)、『数学大好き わかる楽しい授業のアイデア70集』(明治図書/共著)、『数学大好き2 教科書を使ってわかる・できる楽しい授業づくり』(明治図書/共著)、『学校を応援する人のための学校がよくわかる本(T・U)』(プラネクサス/単著)、『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス/単著)など多数。

―指導要録と通知表は、ともに生徒の学校生活の様子や学習状況をとらえたものですが、両者の所見の書き分けのポイントを教えてください。

 まずは、読み手の違いをしっかりと意識して書くことです。指導要録の読み手は、基本的には次学年の担任や進学先の教師です。通知表の読み手は、生徒や保護者です。したがって指導要録の所見は、新たに担任する教師が、その生徒のよさや特徴をつかめるように書くとよいでしょう。
 

―学習指導要領の改訂に伴い、評価の観点の変更などもみられますが、学習状況にかかわる所見を書く際にはどのような点に注意したらよいのでしょうか。

 学習指導要領の改訂に伴い、言語活動の充実に重きが置かれるようになりました。これは国語科だけでなく、あらゆる教科の学習において望まれていることです。このことに留意しながら、その生徒について各教科担任と情報交換をしたうえで所見を書くとよいでしょう。
 

―特別な支援を要する生徒や不登校傾向の生徒、外国籍の生徒にかかわる文例を収録しているのが本書の特徴の1つになっていますが、所見を書く際、特に配慮すべき点にはどのようなことがあるでしょうか。

 本書の文例を見ていただくとよくわかりますが、事実に基づいて具体的に書くことが大切です。他の教員のだれもが特別なニーズをもつ生徒を指導した経験をもっているわけではありません。抽象的な表現では、読み手に伝わらないことが考えられます。特に、その生徒が伸びるうえで有効だった働きかけを具体的に記述しておくとよいと思います。 

―全国的に指導要録の電子化が進んでいます。指導要録の作成作業に当たって注意すべきことを教えてください。

 一言で電子化といっても、自治体によってレベルの違いはかなりあるようです。例えば、通知表のデータが指導要録へ自動転送され、入力ミスが発生しないような強固なシステムが完備されている自治体もあれば、ワープロの書式の1つに指導要録が用意されている程度の自治体もあります。特に、簡易的なシステムで作成する場合は、どのようなミスが発生しやすいのかに作成者自身が留意する必要があります。
 

―最後に、所見を書くときの基本姿勢について、特に若手の先生に向けてアドバイスをお願いいたします。

 生徒に1年間かかわってきたうえでの所見であることを肝に銘じておくことです。しかし、このことを意識しすぎて、あまり大仰な所見になってもいけません。一人ひとりの生徒の顔を思い浮かべながら、まずはその生徒のよさや特徴、1年間の成長ぶりをしっかり記録しておこうという気持ちで書いてほしいと思います。

(構成:矢口)

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