著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
生徒や保護者の心に永く刻まれる所見を書こう
愛知県小牧市立小牧中学校長玉置 崇
2012/10/17 掲載
  • 著者インタビュー
  • 評価・指導要録
 今回は玉置崇先生に、新刊『中学校学級担任必携 通知表所見の文例集』(1、2、3年)について伺いました。

玉置 崇たまおき たかし

1956年生まれ。愛知教育大学数学科卒業。
公立小中学校教諭、愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会指導主事、教育事務所長等を経て、現在小牧市立小牧中学校長。
ICTを活用した数学授業や学校経営において実績があり、文部科学省発行の「教育の情報化に関する手引」を執筆。また文部科学省「学校教育の情報化に関する懇談会」委員歴任。
主な著書に、『スペシャリスト直伝!中学校数学科授業成功の極意』(明治図書/単著)『数学大好き わかる楽しい授業のアイデア70集』(明治図書/共著)、『数学大好き2 教科書を使ってわかる・できる楽しい授業づくり』(明治図書/共著)、『学校を応援する人のための学校がよくわかる本(T・U)』(プラネクサス/単著)、『玉置流・学校が元気になるICT活用術』(プラネクサス/単著)など多数。

―教科担任制の中学校の場合、学級担任の先生が生徒と接する時間は限られています。そのような中でも、一人ひとりのよさをしっかり見とるためのコツを教えてください。

 教科担任制であることをプラスに考えて、職員室での会話を大切にすることです。日常的に生徒の様子について情報交換されている学校は、生徒一人ひとりのとらえ方が多様であると思います。例えば、国語の授業で見せる姿と保健体育の授業で見せる姿がかなり違う生徒などはいないでしょうか。ギブ&テイクの精神で、自ら積極的に他学級の生徒の様子について情報提供していくことで、自分の学級の生徒の情報も入ってくると思います。

―通知表の所見スペースは限られています。本書に収録されている文例を参考にしながら所見を書く際、どういったことを、どのようなバランスで盛り込めばよいのでしょうか。

 最近はコンピュータを使って通知表を作成する学校が多く、手書きのときに比べて、所見の分量もかなり多くなってきています。とはいえ、スペースに限界があるのは確かです。本書の中には、「1年間を見通した所見の作成」という項目があります。そこでは、各学期ごとの所見作成の視点を示しました。くわしくはぜひ本書を見ていただきたいのですが、学期ごとに視点を定めて所見を書くことをおすすめします。

―我が子の学校での様子を直接目にしているわけではない保護者にもしっかりと伝わる、所見の文章表現の工夫を教えてください。

 生徒の様子を象徴する具体例を一つ示しておくことを心がけるとよいでしょう。例えば、「責任感ある活動ぶり」と書くよりも、「〇○さんだから任せられるという声が聞かれる活動ぶり」と書いた方が、生徒ががんばった様子が保護者によりよく伝わります。このような所見であれば、“先生が書いてくれたこのことはね…”と、生徒が保護者に補足してくれるものです。そのためには、“所見を基に、保護者と生徒が会話できるかどうか”という視点で、書いた文章を読み返してみることも大切です。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 私は最近56歳になりましたが、実は小・中学校時代のときの通知表の一部が手元にあります。母親が大切にとっておいてくれました。やはり目が行くのは所見欄です。数行の所見から、その当時の自分の姿が浮かんできます。性格は小・中学校時代と変わらないのではないかと思う記述が多々あります。今さらながら、担任の先生は自分をしっかりと見てくださっていたのだと感謝しています。また、ますます所見の重みを感じているところです。本書を大いに活用して、生徒や保護者の心に永く刻まれる所見を書いていただきたいと思います。

(構成:矢口)
コメントの受付は終了しました。