- 著者インタビュー
- 評価・指導要録
教科担任制であることをプラスに考えて、職員室での会話を大切にすることです。日常的に生徒の様子について情報交換されている学校は、生徒一人ひとりのとらえ方が多様であると思います。例えば、国語の授業で見せる姿と保健体育の授業で見せる姿がかなり違う生徒などはいないでしょうか。ギブ&テイクの精神で、自ら積極的に他学級の生徒の様子について情報提供していくことで、自分の学級の生徒の情報も入ってくると思います。
最近はコンピュータを使って通知表を作成する学校が多く、手書きのときに比べて、所見の分量もかなり多くなってきています。とはいえ、スペースに限界があるのは確かです。本書の中には、「1年間を見通した所見の作成」という項目があります。そこでは、各学期ごとの所見作成の視点を示しました。くわしくはぜひ本書を見ていただきたいのですが、学期ごとに視点を定めて所見を書くことをおすすめします。
生徒の様子を象徴する具体例を一つ示しておくことを心がけるとよいでしょう。例えば、「責任感ある活動ぶり」と書くよりも、「〇○さんだから任せられるという声が聞かれる活動ぶり」と書いた方が、生徒ががんばった様子が保護者によりよく伝わります。このような所見であれば、“先生が書いてくれたこのことはね…”と、生徒が保護者に補足してくれるものです。そのためには、“所見を基に、保護者と生徒が会話できるかどうか”という視点で、書いた文章を読み返してみることも大切です。
私は最近56歳になりましたが、実は小・中学校時代のときの通知表の一部が手元にあります。母親が大切にとっておいてくれました。やはり目が行くのは所見欄です。数行の所見から、その当時の自分の姿が浮かんできます。性格は小・中学校時代と変わらないのではないかと思う記述が多々あります。今さらながら、担任の先生は自分をしっかりと見てくださっていたのだと感謝しています。また、ますます所見の重みを感じているところです。本書を大いに活用して、生徒や保護者の心に永く刻まれる所見を書いていただきたいと思います。