- 著者インタビュー
- 評価・指導要録
本書は、子どもたち一人一人に確かな学力を身に付けるために必要不可欠な学習評価について、「よくわからない」「今さら聞けない」と悩む若手や非常勤講師の先生方に手に取っていただきたいという思いを込め執筆されています。そして、「分かりやすいこと」「教師として知っておかなければならないことをできるだけたくさん盛り込むこと」を基本として構成されています。
各項では、まず、読者の方に評価についての課題を分かりやすく知っていただくために「4コマまんが」を使用し、その課題解決を文章部分でしていくよう工夫をされています。
自分の子どものために、中学校の評価・評定がどのようなものか知りたい保護者の方にも分かりやすく、役立つものとなっていると思います。
まず、先生方が意識しなければならないことは、授業の「目標・めあて」等が「(適正な)評価規準」と整合したものとすることであり、それを授業の導入部でしっかりと生徒に伝え、「教師と生徒が共有する」ことが必要だと考えます。そして、当然、その授業においては、示した目標・めあてを実現するための学習活動が適切に計画・実施され、妥当な評価方法に基づく記録がなされなければならないと考えます。
しかし、評価場面はあまり多いと先生が評価に追われることとなり、個に応じた指導の時間が削られます。授業内容にもよりますが、評価場面は通常一単位時間で1回、2回が妥当なものと考えます。
例えば、5教科では残念ながらあまり行われていないパフォーマンス評価とその評価結果を生かした学習活動も、実技教科では日常的に行われており、5教科の先生方が学ぶ意義は大変あるものと考えます。
実技教科の先生方においては、知識や思考・判断力の獲得状況をしっかりと把握し、その確実な習得に向けた指導を行う5教科の教師の評価方法、内容について学ぶことは有意義だと考えます。
4コマまんがは、どれも冗談ではなく一度は出会ったことの事例であることから、「あるある」と笑いながら読んでしまいました。
ありがちな失敗としては、各学校が作成する評価計画においては、まだまだ「評価規準」と「評価基準」が混同されているものが少なくありません。また、若手教員の授業参観に行った際、指導案には「思考・判断・表現」の評価規準が設定されているのにもかかわらず、思考させたり、表現したりする学習場面が全くないことも何度かありました。
義務教育段階の公立学校の使命は、自校に在籍する全ての生徒に学習指導要領に示された目標や内容等を確実に身に付けさせることにあります。そのことを、学習評価に置き換えて表現すると、教える先生は、全ての生徒の全教科、全観点において「おおむね満足できる状況」を実現し学び残しの無い状況にすることです。
そのためには、先生方は、評価についての理解を深め、毎時の授業において評価を生かした授業を進める必要があります。単に「評定」を導き出すためだけではなく、生徒の学びを保障するために「適切な評価」が行われることを切に願います。