堀江式 国語授業のワザ
国語授業のお悩みをズバッと解決!“ワザの堀江”先生が指南する、堀江式の大ワザ&小ワザが満載!
堀江式 国語授業のワザ(4)
子どもから引き出し活用する「音読のワザ」
身につけた力を目に見える形に
兵庫教育大学大学院教授堀江 祐爾
2012/9/5 掲載

【音読】

音読発表をさせているのですが、ただ単に音読するだけになってしまいます。どのような工夫をすればよいのでしょうか。

ココがポイント!

「音読のワザ」を子どもから引き出す―子どもに簡単な作業をさせるだけ!―

例1 「音読のワザ」を、子どもから引き出すのは、それほど難しいことではありません。子どもに簡単な作業をさせるだけで「音読のワザ」が出てきます。
 例えば、右に示したのが、一人の子どもを指名して音読させたあと、クラス全体で「音読のワザ」を見つけるためのワークシート(もちろん、ノートに書かせてもよい)です。【@本文の「どのことば」に、「どんな音読の工夫」をしていますか。三つ見つけましょう。】という作業をさせればよいのです。なお、【A @で見つけた「ことば」から、どんな場面のようすや人物の気持ちが分かりますか。】については、子どもやクラスの状況に応じて、この項目を入れるかどうかを決めます。
 「音読のワザ」の呼び方も、コツ・工夫・ポイント・アイテムなど子どもと相談して決めるとよいでしょう。

効果抜群! 堀江式 大ワザ&小ワザ

ワザ1 「音読のワザ」の整理は教師が行う―学習指導要領の指導事項を視野に入れる

 子どもが見つけたワザを整理するのは、教師の役目です。その際、「子どもの言葉」をできるだけそのまま使うようにしましょう。学習指導要領の指導事項を視野に入れておくことも重要です。子どもからたいていのことは出てきますが、万一、指導事項に示されてあることがらが出ていなければ、「先生にもワザを提案させてね」と言って加えるのです。

ワザ2 「音読のワザ」表を使って身についた力を押さえる

 三木惠子学級(兵庫県たつの市東栗栖小学校4年)においては、下のような「音読のくふうコツ」が生み出されました。この「音読のくふうコツ」を使って音読発表メモ(原稿)を作らせます。さらに、この例のように「どんな『音読のくふう』を身につけましたか」と、身につけた力の押さえにも活用することができます。

例2

堀江 祐爾ほりえ ゆうじ

兵庫教育大学大学院教授、元中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語専門部会委員、平成20年版中学校学習指導要領(国語)作成協力者、「国語教育の実践と研究をつなぐ会」世話役代表。
主な著書に『「国語力」向上の授業改革1 国語科授業再生のための5つのポイント』『小学校新国語科 言語活動の展開がよくわかるシリーズ1 書く力がぐんぐん伸びる!「言葉のワザ」活用ワーク』、などがある。最新刊『小学校国語科授業アシスト 実物資料でよくわかる!教材別ノートモデル40』が好評発売中!

(構成:林)
コメントの一覧
12件あります。
    • 1
    • ドラゴン
    • 2012/9/6 21:06:22
    「音読ワザ」を考えることによって、今までの学習を振り返り、身につけてきた力を確認することにつながると思います。気をつけた「本文のことば」を書きぬいて、工夫を書くことによって、自分が学習したことがはっきりわかるのですね。音読劇をしますので、やってみます。

    • 2
    • 9+2+?(←兆←億)
    • 2012/9/8 0:24:14
    教師が教え込むのではなく、子どもから引き出した「音読のワザ」なので、子ども達は「自分たちのワザ」という意識を強くもつと思いました。一年をかけてワザを増やしていき、それぞれのワザが根付くようにしたいです。学習指導要領の指導事項を視野に入れることもよく覚えておきます。
    • 3
    • 朗読大好き!!
    • 2012/9/9 6:21:14
    普通、「音読の指導」というと、個で工夫を書き込み、その後グループで話し合ってグループ音読をするという扱いが多いのではないかと思います。「なぜその言葉をそのように読んだのか」と問うことは、実は読解をしているのですね。読み取ったことが、声になって表現されるのであるから、読んだ理由(根拠)を明確にすることが大事なのですね。また、コツ表にまとめることにより、学級文化として全員が使いこなせる宝になるところ、さっそく明日にでも「詩」でやってみたいと思います。
    • 4
    • kanikko
    • 2012/9/9 15:28:59
    「音読のワザ」というと、すぐに「大きな声で」となってしまいます。三木学級のように、「いつも」そうであることと、「くふうして」行うことに分けてワザを見つけ、整理するとよいのですね。とくに、「くふうして」の内容は、読み取りと深く関わっているので、読解に終始するのでなく、「読むこと(読解)」と「音読すること(表現)」を関連づけて指導していくことが大切だと分かりました。
    • 5
    • 国語ラボラトリー
    • 2012/10/10 18:55:12
    ワザを共有するのは、言語活動の評価規準を教師が隠し持つのではなく、子どもたちにオープンにすることであり、大切なことだと思う。
    • 6
    • このはずく
    • 2012/10/21 18:09:31
    「音読のワザ」は学習のこつと指導事項の両方を兼ねている。このような「ワザ」は、指導事項を子どもたちの言葉に置き換えたものだと言える。このような「ワザ」を使うと、子どもたちにとっても教師にとっても、学習活動を通して身に付いた力を看取りやすくなる。
    • 7
    • コウノトリの郷
    • 2012/11/12 18:47:51
    音読は,国語学習の中で基本中の基本。来年度は,教科書の扉の詩や4月教材を使って,まず最初の「楽しく音読するためのワザ」を子どもたちと作成してみようと思いました。そして,子どもたちとワザを増やしていき,年度末には学級文化として,「音読のワザ」を完成させようと考えています。でも,今年度は遅まきながらも挑戦してみます!
    • 8
    • がま
    • 2013/1/2 14:21:37
    音読のコツとして、一覧にするなど目に見える形にして、いつでも指導できるようにしておくと、どんどん音読が上手になるようになると感じた。また常にこのコツ表を利用して学級全体の共通理解にしておくと、子どもたち通しで評価がしやすいと思う。このコツ表作成の指導の実際を見れたのもとても参考になる。
    • 9
    • ハイライト
    • 2013/8/1 7:47:03
    音読は、ただ読ますだけではもったいないと思っていたが、ここではそういうことを解消すべくヒントがいくつかありました。一つには音読ワザという名称で、子どもたちにポイント抑えて音読にのぞむことができるようにしている。ここでも書かれているがこういった音読のワザの整理は教師が行うというのが重要である。単元の前後で音読する場合、どんなねらいをもって単元を学ばせたいか、また児童の実態もふまえて、この音読ワザを整理しておくことが、この単元を深く学んでいくことへと導いてくれる。音読はよく家庭学習でもとりあげられる。学校で学んだワザを家庭でも取り上げることで、より確かな読みにつながると考えられる。その後の単元のまとめの音読発表会や、普段の朝のスピーチにも活用できる。
    • 10
    • 2013/8/1 16:56:43
    〈子どもから引き出し活用する「音読のワザ」〉を拝読し、音読発表をさせて、単に音読することをならないように、二つすばらしい技を知りました。この技を実用できたら、きっと効果的な音読指導を展開できると思います。
    第一、「音読のワザ」を見つけるためのワークシートを作成することはいい発想だと思います。このワークシートは「どのことば」に、「どんな音読の工夫」に「わかった場面の様子や人物の気持ち」という基本的な項目が構成されています。一人の子どもを指名して音読させたあと、クラス全体で「音読のワザ」を見つけ、ワークシートに記入することです。これは子どもの聞く能力の養成にも役に立てるでしょう。
    第二、「音読のワザ」表を使って身についた力を押さえることに感心しました。三木先生は「音読のくふうコツ」を作成し、子どもにこの「音読のくふうコツ」を使って音読発表原稿を作らせます。いい音読をするために、まず子どもに音読のコツを教えるのは大事であることは気づきました。それに、「音読のくふうコツ」をチェックし、いままで身に付けた音読の力を意識させ、音読の意欲を向上させることにつながるでしょう。
    • 11
    • k.s
    • 2013/8/3 0:06:40
    三木先生の実践の中でワークシートの中に「本文のどのことば」「どんな『音読の工夫』」「わかった『場面の様子』や『人物の気持ち』」を子供達に書かせられており、それが具体的なので子供達にとっては活動しやすいと感じました。また、強調するところは「この音読で誰(登場人物や主人公)のどんな気持ち(や様子等)を表現したいか。」という子供達一人一人が持っている主題と整合性の合う箇所でなければならないとわかりました。子供達の中には意欲は高いのですが、たくさんの言葉や文や文章を工夫をしようとし過ぎてしまい、結局どこを強調して読みたいのかわからなくなってしまうことがあるので三木先生の実践のように数を限定することはとても大切なことだと感じました。音読発表をする際、「なぜその言葉(文や文章等)を工夫しようと思ったのか。」を交流しあうことで更に子供達の言葉の力は高まっていくと思いました。
    • 12
    • flaba
    • 2013/8/9 16:23:21
     私は、音読とは形に残らないものだと思っていたのですが、「音読のワザ」として形に残すことが可能なのだと、この記事を読み知ることができました。このワザのポイントは「可視化」にあると私は考えます(堀江式 国語授業のワザ12)。可視化することで身に付けた力を子ども自身が自覚することができ、ふりかえりもしやすい。そのため、年間指導計画的な観点との相性が非常に良いのではないでしょうか。
     また音読に限らず、子どもから「ワザ」を引き出すことも重要なことのように思います。しかし子どもに全て任せきりにするのではなく、学習指導要領の指導事項を視野に入れる点、教師の働きかけが求められる点についても言及されており、さすがだと感じました。
     現代文だけでなく古典の文章にも通用するワザだと思うので、中学校や高等学校の国語科でも実践してみたいです。
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