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ICT、指導には活かしきれず―教員のICT活用指導力調査
kyoikujin
2007/8/2 掲載

 文部科学省は、「IT新改革戦略」に掲げられた教育の情報化の目標の達成状況等について把握するため、標記調査を実施し、教員のICT活用指導力に関する速報値を、7月31日付けで発表した。

 調査は、全国の全公立学校を対象に、文科省「教員のICT活用指導力の基準の具体化・明確化に関する検討会」でとりまとめたチェックリストに基づき、全18項目別に4段階の自己評価を行う形で実施し、従来より詳細な調査を行ったとのことだ。

 A〜Eの大項目について、小項目で「わりにできる」、「ややできる」と回答した割合の平均は以下の通り。政府の「IT新改革戦略」では、平成22年度までに、この割合を100%に高めたい考えだ。

A 教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力 69.4%
B 授業中にICTを活用して指導する能力 52.6%
C 児童生徒のICT活用を指導する能力 56.3%
D 情報モラルなどを指導する能力 62.7%
E 校務にICTを活用する能力 61.8%

 小項目別では、「A2:教材作成のためにICTを活用」が77.3%と高い割合だが、「C3:児童生徒がICTを活用してわかりやすく発表・表現できるよう指導」は48.8%と低い。パソコンやブロードバンドの普及を受けてか、ICTを活用する能力は比較的高い水準に達しているのに対し、現場での指導には活かしきれていない実情を物語っているようである。

 また、都道府県別では、大項目Bが最高で72.6%に対し、最低では43.2%と、地域間の格差が指摘されており、政府目標の達成の障害になることが懸念される。

※ICT(Information and Communication Technology)=情報コミュニケーション技術

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • mukumeko
    • 2007/8/11 18:02:04
    この夏もいくつかPC研修がありますが・・・・
    研修しろ、使えるようになれと言うくせに、PCは自分持ち。職員30人の職場の職員室に共用PCは1台ですよ。PCがトラぶった時に来てもらえるお助け要員が去年はいつでも呼べたのに今年は回数指定。
    子ども用のPCに至っては古いのや新しいの、メーカーもばらばらの寄せ集め40台でプリンターは1台しかない。PC室は今年やっとエアコンがついたような状況です。
    これらの機器のメンテナンスや調整は、今は視聴覚担当者(教員です)がやってます。クラス担任しながら空き時間をみつけてはちょこちょこと・・・それでもこの人はかなり詳しい方なので何とかなっていますが、この人が異動したらどうなるんだろうと、今から心配しています。
    使えと言うなら誰でもが使えるような状況にしてほしい。職員がPCの順番待ちをしなくてすむよう一人ひとりに支給すべき。子ども用のプリンターもせめて2人に1台にしてほしい。PCトラブルや設定など教員に任せず、きちんと別枠で雇ってほしい。
    なにもかもを教員の努力や自己犠牲、個人負担に任せるから、遅々として進まないんですよ。
    • 2
    • 今年は野武士
    • 2008/7/24 22:14:28
    いつも拝見しております。

    「B 授業中にICTを活用して指導する能力 52.6%」について

    公立中学校で研究主任をしております。
    研究テーマの一つに「ICT活用」を掲げて2年目となります。
    本校は教師1人に1台PCが与えられています。
    学校規模は生徒数300名ほどで、9クラス。
    プロジェクタが5台、教材提示装置が6台あります。
    1学期中にICT活用の授業公開が3回ありました。
    いずれもフラッシュ型教材を授業のどこかで活用しています。

    教員のICT活用指導力向上の阻害要因は、
    機器の整備ではなく教員の意識だと考えています。

    教員が20名ほどの本校で、
    ICT活用というテーマで校内研修を2年間行い、
    専門家に講習に来てもらって、
    昨年は全職員がICTを活用した授業公開をしたのですが、
    3月に転勤された先生の中には、
    最後まで校内研修に消極的な方もおられましたし、
    4月に赴任された先生の中には、
    未だにエクセルでグラフをつくることすらできない方もおられます。
    自腹でプロジェクタを買おうかと思案している先生もいれば、
    校内研修の時間に年休を取る先生もいます。

    教員の意識を変えるには、
    ICT活用すると生徒が変わることを示す必要がありそうです。
    生徒が変われば教員も変わりそうです。

    生徒の学力格差と闘う前に、
    教師の意識格差と闘う必要がありそうです。
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