著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
評価を変える、授業が面白くなる
京都大学大学院教育学研究科准教授石井 英真
2018/11/14 掲載
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 今回は石井英真先生に、新刊『Q&Aでよくわかる!「見方・考え方」を育てるパフォーマンス評価』について伺いました。

石井 英真いしい てるまさ

京都大学大学院教育学研究科准教授。日本教育方法学会理事、日本カリキュラム学会理事、文部科学省「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」委員など。
主著に、『今求められる学力と学びとは』(単著、日本標準、2015年)、『増補版・現代アメリカにおける学力形成論の展開』(単著、東信堂、2015年)、『授業改善8つのアクション』(編著、東洋館出版社、2018年)など。

―本書は、大好評をいただきました『「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価』の続編として、これからの授業づくりと評価において有効な“パフォーマンス評価”についてまとめた姉妹本となっています。まず、本書のねらいと読み方について教えてください。

 「資質・能力」重視の中で弱くなりがちな内容理解の深さを担保するために、どう「見方・考え方」を意識してパフォーマンス評価を実践していけばよいのか。本書は、こうした学びの質への問いと格闘しておられる先生方に対して、基本的な考え方や具体的な事例や実践上のヒントを示すものです。Q&Aの形になっているので、実践で直面している疑問や悩みと重なっている部分から読んでいくこともできますし、最初から通読することで、パフォーマンス評価の基本的な考え方と具体的な実践方法を体系的に理解することもできるでしょう。

―パフォーマンス評価と他の評価方法の違いは何でしょうか。また、改訂キーワードとなっている「主体的・対話的で深い学び」の実現や、「見方・考え方」を育て、見取っていくという点において、どのように活かせるものでしょうか。

 パフォーマンス評価は、知識・技能を習得しているかどうかだけでなく、それらを活用できるかどうかを、実際にやらせてみて試してみる評価です。B問題もそういった力を見ようとしていますが、ペーパーテストという限界があります。主体的で対話的であるだけでなく、見方・考え方を働かせる深い学びを促す課題を設定し、資質・能力を育てつつ、そこでの学びを通じて生み出されるレポートなどの成果物を評価にも活かしていく。単元や授業の展開と一体となった評価がパフォーマンス評価なのです。

―子どもの発達段階に応じた「パフォーマンス課題」は、どのように考えればよいでしょうか。教材選びのポイントなどについても、教えてください。

 パフォーマンス課題は、生活と結びつけて教科の内容を理解すること、それを通じて複合的な思考を育てることをめざすものです。複合的な思考を表現することが難しい小学校低学年においては、生活と結びつける意味理解に重点を置いて課題を設定することが有効でしょう。そして、学年が進むにつれて問いと答えの間が長くなってきたなら、その思考過程の育ちを意識した課題を設定するとよいでしょう。

―本書では各教科におけるパフォーマンス課題を活かした授業づくりと評価についても、それぞれ具体的に紹介されています。教科による違いや留意点について、教えてください。

 教科の特性は、内容知と方法知のどちらの比重が多いかによって捉えることができます。たとえば、単元におけるパフォーマンス課題の位置づけ方についても、社会科のように内容知が中心の教科においては、知識のつながりの構築やつなぎ変えが重要なので、単元を通じてパーツとなる内容を学び、それを単元末で総合するような、パーツ組み立て型の展開がやりやすいでしょう。一方、体育科のように方法知が中心の教科においては、ソフトボールならソフトボールという競技をまるごと繰り返しやってみながら、その質を洗練させていくような、繰り返し型の展開がやりやすいでしょう。

―本書の中では、ルーブリックを用いた「主体的に学習に取り組む態度」の評価についても触れられていますが、その見取りの方法について、教えてください。

 「主体的に学習に取り組む態度」については、それを単体で独立させて評価するよりは、「思考力・判断力・表現力」と合わせて評価していくようにするのが妥当でしょう。パフォーマンス課題は、問いと答えの間の長い学習活動を生み出すもので、その取り組みにおいては、思考のみならず、粘り強く考える意欲や根拠に基づいて考えようとする知的態度なども自ずと要求されます。そうした学習活動の過程と成果物を通して、「思考・判断・表現」と「主体的な態度」の両方を評価するというわけです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 新学習指導要領に対応する学習評価の改革においては、内容の習得状況のみならず、それを使いこなす力を評価することがより重視されることとなります。その際、ルーブリックという手法が独り歩きして、表づくりとそれの子どもへの型はめという手法主義・形式主義にならないよう、パフォーマンス評価の根っこにある考え方を理解し、知識を使いこなす力を発揮している子どもの姿(ねがいやねらい)を具体的にイメージし、そういう姿を生み出す魅力的で挑戦的な課題と授業をデザインすることが重要です。本書が、そうした取り組みのヒントになればと思っています。

(構成:及川)
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