「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価 アクティブ・ラーニングをどう充実させるか

「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価 アクティブ・ラーニングをどう充実させるか

ロングセラー

好評8刷

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本質的な問いから探究を生む「パフォーマンス評価」実践集

「アクティブ・ラーニングにおいて評価はどうすれば?」そんな疑問に応える「パフォーマンス評価」実践集。アクティブな活動を充実させる「パフォーマンス課題」を活用した各教科の授業&評価モデルを収録。ポートフォリオやルーブリックを活用した探究も徹底サポート。


紙版価格: 1,980円(税込)

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ISBN:
978-4-18-258917-1
ジャンル:
授業全般
刊行:
8刷
対象:
小・中・他
仕様:
A5判 144頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年3月21日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 アクティブ・ラーニングの充実をどう図るか
―今こそ,パフォーマンス評価を!
1 アクティブ・ラーニング充実のためのポイント
1 アクティブ・ラーニングの可能性と課題
2 カリキュラムの「逆向き設計」
3 目標の明確化―「資質・能力」の三つの柱
4 様々な評価方法の活用
2 パフォーマンス課題とルーブリックの作り方,ポートフォリオ評価法の進め方
1 パフォーマンス課題の作り方
(1)単元の中核に位置する重点目標に見当をつける
(2)「本質的な問い」を明確にする
(3)パフォーマンス課題のシナリオを作る
2 ルーブリックの作り方
(1)ルーブリックとは何か
(2)特定課題ルーブリックの作り方
(3)長期的ルーブリックと学力評価計画
3 ポートフォリオ評価法
(1)ポートフォリオとは何か
(2)ポートフォリオの設計
(3)指導上のポイント
第2章 教科教育におけるアクティブ・ラーニングの位置づけ方
―「本質的な問い」とパフォーマンス課題の活用
1 国語科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 国語科におけるアクティブ・ラーニング
2 国語科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)小学校5年「これからの自分を探そう〜生き方を読む〜」
(2)高等学校1年「コンビニ出店企画を伝えよう」
4 まとめと今後の展望
2 社会科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 社会科におけるアクティブ・ラーニング
2 社会科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)小学校3年「コミュニティバス」
(2)中学地理「地域の意志決定」
4 まとめと今後の展望
3 算数・数学科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 算数・数学科におけるアクティブ・ラーニング
2 算数・数学科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)中学校2年「一次関数」
(2)小学校2年「三角形と四角形」
4 まとめと今後の展望
4 理科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 理科におけるアクティブ・ラーニング
2 理科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)小学校6年「ものの燃え方」
(2)中学校1年「いろいろな物質」
4 まとめと今後の展望
5 音楽科・美術科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 音楽科・美術科におけるアクティブ・ラーニング
2 音楽科・美術科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)小学校4年「様子や気分を思い浮かべて」
(2)中学校1年「情景と曲想の変化のかかわり」
4 まとめと今後の展望
6 技術・家庭科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 技術・家庭科におけるアクティブ・ラーニング
2 技術科,家庭科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)技術科「未来の自動車と環境対策」
(2)家庭科「ホームプロジェクトと学校家庭クラブ活動」
4 まとめと今後の展望
7 体育科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 体育科におけるアクティブ・ラーニング
2 体育科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)小学校5年「フラッグフットボール」
(2)中学校・走り幅跳び「こんにちは! パウエル君」
4 まとめと今後の展望
8 英語科アクティブ・ラーニング
―パフォーマンス課題を活用した授業&評価モデル
1 英語科におけるアクティブ・ラーニング
2 英語科における「本質的な問い」とパフォーマンス課題
3 パフォーマンス課題を取り入れた授業モデル
(1)中学校3年「現在完了形」
(2)中学校「話すこと」
4 まとめと今後の展望
第3章 探究的な学習と協働的な学習における評価
―ルーブリック,検討会,ポートフォリオの活用
1 「学びに向かう力」を育てるカリキュラム
―探究的な学習をどう位置づけるか
1 「学びに向かう力」は「学ぶべき問いを見出す力」
2 探究的な学習のカリキュラムの実践例
(1)和光鶴川小学校の総合学習
(2)堀川高校の「探究基礎」
2 探究的な学習の評価のポイント
1 探究的な学習の評価を構想する視点
(1)どのような評価方法を用いるのか
(2)いつ評価を実施するのか
(3)どのような規準(基準)で評価するのか
2 探究的な学習を評価する基準の設定
3 まとめ
3 評価を生かした指導のあり方
―検討会に焦点を合わせて
1 探究的な学習を指導する難しさ
2 問いを設定する段階における指導
3 調べ活動を行う段階における指導
4 活動の成果を発表する段階における指導
5 まとめ
4 協働的な学習の評価のポイント
1 協働的な学習の何を評価するのか
(1)協働の目的を明確化する
(2)協働の成果物を評価する(プロダクト評価)
(3)協働の過程を評価する(プロセス評価)
2 協働的な学習を誰が評価するのか
(1)教師が評価する
(2)仲間が評価する(相互評価)
(3)自身が評価する(自己評価)
3 まとめ
5 ポートフォリオ評価法の進め方
1 ポートフォリオ評価法をどのように行うか
2 ポートフォリオの設計段階
3 ポートフォリオの実践段階
(1)学習者に対する事前の説明
(2)蓄積した内容物の編集
(3)検討会の実施
4 ポートフォリオ評価法を活用する場面の広がり

はじめに

 2017年(予定)の学習指導要領改訂に向けて,「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)」(中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会教育課程企画特別部会(第7期)「論点整理」2015年8月26日)や「アクティブ・ラーニングの視点,すなわち子供たちの『主体的・対話的で深い学び』(同「次期学習指導要領改訂に向けたこれまでの審議のまとめ(素案)」2016年8月1日)を重視する方針が打ち出されています。

 そうした中,アクティブ・ラーニングを導入するにあたって,評価をどのように改善すればよいのか,といった疑問の声を耳にします。本書は,そのような疑問にお答えすることをめざしたものです。具体的には,知識やスキルを使いこなす力を直接的に評価するようなパフォーマンス評価を,どのように活用できるのかを提案したいと考えています。

 パフォーマンス評価の基盤には,「真正の評価」論の考え方があります。「真正の評価」論とは,テストのために特別に設定された状況ではなく,現実の状況を模写したりシミュレーションしたりした課題に取り組むことの重要性を強調するものです。「真正の評価」論に裏付けられたパフォーマンス評価を用いることで,学習者に学習していることの意義を伝えるとともに,現実的な課題解決のプロセスで必要になるような質の思考力や実践力を身に付けさせることが期待されます。

 詳細は本文に譲りますが,ここで,評価をめぐってよく見られる三つの誤解をあらかじめ解いておきたいと思います。

 第一の誤解は,「評価とは,評価方法と評価規準(基準)で完結するものだ」というものです。確かに,評価方法や評価規準(基準)を考えることは重要ですが,「目標に準拠した評価」という言葉が示す通り,評価は目標に対応させて行われるものです。アクティブ・ラーニングを取り入れる場合も,まずはどのような目標をめざしているのかを明確にし,その上で評価方法や評価規準(基準)の検討を進めるべきでしょう。さらには評価を踏まえて,当初設定していた目標の妥当性を検証することも必要です。なお本書では,評価規準を段階的に具体化したものを,評価基準と呼んでいます。

 第二の誤解は,「評価とは成績づけであり,指導の後で考えればよい」というものです。そうではありません。指導の前に学習者の興味・関心やレディネスを把握する診断的評価,指導の途中で学習の実態を把握し,指導を改善するために行う形成的評価,指導の締めくくりに到達点を総合的に把握する総括的評価――いずれもが重要な評価の機能です。とりわけ,評価を指導と学習の改善に活かすという視点が,「目標に準拠した評価」には不可欠です。

 第三の誤解は,「評価は教師だけが行うものだ」というものです。確かに,教育実践の主体である教師がその改善を図るために評価することは,教育評価の第一義です。しかし,学習に取り組むのは,他でもない子ども・青年です。そこで,子ども・青年が評価に参加する機会を確保し,自己評価力を育てるという視点も求められます。さらには,教師と子ども・青年が対話する中で,時には当初設定していた目標が問い直される場面も生まれます。

 本書では,このような教育評価の基本的な考え方を踏まえつつ,パフォーマンス評価の進め方について説明します。第1章では,「資質・能力」という目標の位置づけについて検討するとともに,パフォーマンス課題やルーブリック,検討会,ポートフォリオ評価法といった具体的な方法の要点を解説します。第2章では,各教科の「本質的な問い」やパフォーマンス課題を提案するとともに,実践例を踏まえつつ指導上の工夫を考えます。第3章では,探究的な学習や協働的な学習を評価する上でのポイントを検討します。

 なお,本書で紹介している知見の大半は,学校現場で実践づくりに取り組んでおられる先生方から学んだものです。第2章では,各教科における「本質的な問い」やパフォーマンス課題の例を示した表を掲載しています。これは,京都大学大学院教育学研究科E. FORUMで取り組んできた共同研究プロジェクト「スタンダード作り」の成果である「E. FORUMスタンダード(第1次案)」(2014年)を下敷きに作成しています(http://e-forum.educ.kyoto-u.ac.jp/seika/参照)。また,第3章で紹介している事例は,「総合的な学習の時間」や課題研究などの実践づくりに関する共同研究や調査にご協力くださった先生方からご提供いただいたものです。紙面の限りにより,ご協力くださった先生方お一人ずつのお名前をあげることはできませんが,心より感謝申し上げます。

 また,本書の出版にあたっては,企画から刊行にいたるまで明治図書の及川誠氏・西浦実夏氏から多大なご支援をいただきました。厚く御礼申し上げます。

 なお,本書第2章については日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)「21世紀型コンピテンシー育成のためのカリキュラムと評価の開発」(課題番号:26285175,平成26〜30年度,研究代表者:矢野智司),第3章については日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(B)「パフォーマンス評価を活かした教師の力量向上プログラムの開発」(課題番号:25285210,平成25〜29年度,研究代表者:西岡加名恵)の助成を受けた研究の成果を踏まえたものです。ここに記して感謝いたします。


  2016年8月15日   /西岡 加名恵

著者紹介

西岡 加名恵(にしおか かなえ)著書を検索»

京都大学大学院教育学研究科准教授。バーミンガム大学にてPh.D.(Ed.)を取得。鳴門教育大学講師を経て,現職。専門は教育方法学(カリキュラム論,教育評価論)。日本教育方法学会常任理事,日本カリキュラム学会理事,文部科学省「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」委員など。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • パフォーマンス課題・評価について考えを整理するのに活用させていただきました。
      2023/10/1430代・中学校教員
    • 「パフォーマンス評価」という言葉をよく耳にするようになった。ただ、「パフォーマンス評価」が一体どんなものなのか、というのはよくわからないのが現実であろう。
      そんな悩みに応えてくれるのがこの一冊。「パフォーマンス評価」の基本から実践まで余すところなく網羅されている。この一冊があれば、「パフォーマンス評価」についておおむね理解できるだろう。
      そして、実際の授業で「パフォーマンス評価」を取り入れてみる意欲がわくだろう。
      2020/10/1U-Tchallenge
    • パフォーマンス評価について知りたかった。本質的な問いというものがイマイチ私には理解できなかったが、評価規準をつくり、そこから授業をしていくことはとても大事だと思っているので、大いに参考になった。まだまだ私の読み込みが足りないと思う。
      2020/5/1040代・小学校管理職
    • パフォーマンス評価について、よく分かりました。
      2018/9/940代・中学校教諭
    • 新学習指導要領に向けての評価について学ぶことができた。
      2018/5/550代・中学校管理職
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