- はじめに
- 1 「資質・能力」の育成とパフォーマンス評価
- Question1 「資質・能力」を育成するとはどういうことですか?
- Question2 パフォーマンス評価とはどのような評価方法ですか?
- Question3 パフォーマンス課題と他の評価方法との違いは何ですか?
- Question4 「見方・考え方」とパフォーマンス課題はどのように関係していますか?
- Question5 パフォーマンス評価を用いた観点別評価はどのような形になりますか?
- Question6 ポートフォリオ評価法とはどのような評価方法ですか?
- Question7 アクティブ・ラーニングとパフォーマンス評価はどのように関係しているのですか?
- Question8 パフォーマンス評価を用いるメリットは何ですか?
- 2 「見方・考え方」の育ちを捉える! パフォーマンス課題の作り方
- Question1 パフォーマンス課題とはどのようなものですか?
- Question2 パフォーマンス課題はどのような単元で用いるのが適していますか?
- Question3 パフォーマンス課題で評価すべき重点目標をどのように見極めればよいですか?
- Question4 パフォーマンス課題のアイデアはどのように考えればよいですか?
- Question5 パフォーマンス課題のシナリオはどのように作ればよいですか?
- Question6 子どもの発達段階に応じたパフォーマンス課題とはどのようなものですか?
- Question7 パフォーマンス課題を作る際にはどのような留意点がありますか?
- 3 評価基準を明確にする! ルーブリックの作り方,活かし方
- Question1 パフォーマンス評価ではどのような評価規準(基準)が用いられるのですか?
- Question2 ルーブリックとはどのようなものですか?
- Question3 作品を評価するルーブリックはどのように作ればよいですか?
- Question4 実演を評価するルーブリックはどのように作ればよいですか?
- Question5 パフォーマンス課題を評価するルーブリックを作る際にはどのような留意点がありますか?
- Question6 記述語をまとめるときはどのようなことに気をつけたらよいですか?
- Question7 ルーブリックを用いて評価を行う際にはどのような留意点がありますか?
- Question8 どのようにして子どもにルーブリックを提示し,どのように評価させていくのですか?
- Question9 ルーブリックによる評価の妥当性や信頼性はどのように保障すればよいですか?
- Question10 ルーブリックを用いると,「主体的に学習に取り組む態度」をどのように評価できますか?
- 4 パフォーマンス課題を活かした授業づくりのポイント
- Question1 なぜパフォーマンス課題を活かした授業づくりをする必要があるのですか?
- Question2 パフォーマンス課題を活かすとどんな授業ができますか?
- Question3 パフォーマンス課題は単元のどこに位置づければよいですか?
- Question4 パフォーマンス課題を活かして単元を構成するポイントは何ですか?
- Question5 パフォーマンス課題を活かす教材選びのポイントは何ですか?
- Question6 子どもの自己評価力を高める指導方法にはどのようなものがありますか?
- Question7 グループで取り組むパフォーマンス課題はどのように評価すればよいですか?
- Question8 学力格差にはどのように対応すればよいですか?
- Question9 パフォーマンス課題を活かす際にはどのような注意点がありますか?
- Question10 単元が終わった後,成果物をどうするのがよいですか?
- 5 各教科におけるパフォーマンス課題,授業づくりと評価
- Question1 国語科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- Question2 社会科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- Question3 算数・数学科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- Question4 理科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- Question5 音楽科・美術科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- Question6 保健体育科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- Question7 技術・家庭科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- Question8 外国語活動・外国語科のパフォーマンス課題,授業づくりと評価はどのようなものですか?
- 6 特別なニーズのある子どもとパフォーマンス評価―発達障害を中心に
- Question1 特別なニーズのある子どもにパフォーマンス評価はどのように役立ちますか?
- Question2 特別なニーズのある子どもに適したパフォーマンス課題とはどのようなものですか?
- Question3 ルーブリックでは1と評価されてしまう子どもに,どのようにパフォーマンス評価を用いればよいですか?
- 7 ICT活用とパフォーマンス評価
- Question1 どのようにしてICTをパフォーマンス評価に活用することができますか?
- Question2 eポートフォリオとは何ですか?
- Question3 ICTを活用したパフォーマンス評価の実践事例はどのようなものですか?
- Question4 ICTを活用したパフォーマンス評価においてどのような注意点がありますか?
- 8 「総合的な学習(探究)の時間」とパフォーマンス評価
- Question1 「総合的な学習(探究)の時間」の学びと各教科のパフォーマンス評価はどのような関係にありますか?
- Question2 「総合的な学習(探究)の時間」においても「目標に準拠した評価」を実施したほうがよいでしょうか?
- Question3 「総合的な学習(探究)の時間」では探究のプロセスとその成果のどちらを評価すればよいですか?
- Question4 「総合的な学習(探究)の時間」で行われる探究のプロセスはどのように評価すればよいですか?
- Question5 「総合的な学習(探究)の時間」でグループ研究を行う場合には,何をどのように評価すればよいですか?
- 9 カリキュラム・マネジメントとパフォーマンス評価
- Question1 パフォーマンス評価の考え方はカリキュラム・マネジメントにどのように活かせますか?
- Question2 教科を超えて取り組めるパフォーマンス課題とはどのようなものですか?
- Question3 学年で協働してパフォーマンス評価に取り組む場合,どのように連携していくべきですか?
- Question4 パフォーマンス評価を取り入れる際にどのような校内研修を行えばよいですか?
- Question5 パフォーマンス評価は大変だとして避けがちな同僚をどのように説得すればよいですか?
- Question6 学校として,評価の妥当性・信頼性・実行可能性をどのように高めていけるでしょうか?
- 10 入試・キャリア教育とパフォーマンス評価
- Question1 入試改革とパフォーマンス評価はどのように関係していますか?
- Question2 受験準備を考えると,パフォーマンス課題どころではないと思ってしまうのですが,いかがでしょうか?
- Question3 キャリア教育に評価は必要でしょうか?
はじめに
2017年・2018年改訂学習指導要領(以下,特に高等学校に関する場合以外は,2017年改訂学習指導要領と記します)においては,@「知識・技能」,A「思考力・判断力・表現力等」,B「学びに向かう力・人間性等」という三つの柱で捉えられる「資質・能力」を育成するという方向性が示されました。
また,「資質・能力」を強調することによって内容の理解が浅薄なものとならないようにするために,「各教科等の特質に応じた見方・考え方」を重視する方針が打ち出されています。あわせて,「資質・能力のバランスのとれた学習評価を行っていくためには,……論述やレポートの作成,発表,グループでの話合い,作品の制作等といった多様な活動に取り組ませるパフォーマンス評価などを取り入れ,……多面的・多角的な評価を行っていくことが必要」とされています(中央教育審議会「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」2016年12月21日)。
知識・技能を活用する力を評価するパフォーマンス評価については,2008年改訂学習指導要領において「思考力・判断力・表現力等」を重視する方針が打ち出されたころから,特に小・中学校において実践され始めてきました(西岡加名恵編著『「逆向き設計」で確かな学力を保障する』明治図書,2008年など)。学習指導要領の2017年改訂と軌を一にして高大接続改革が推進されるにつれ,現在は,高等学校においても本格的に注目されるようになってきています。
本書の執筆者たちは,そのようにパフォーマンス評価の実践づくりに取り組もうとする学校の先生方との共同研究に取り組んだり,先生方に対して研修を提供したりしてきました。その中で,実践現場は異なっても,先生方が同じような疑問や悩みに直面されることに気づきました。本書は,そのような疑問や悩みに少しでもお答えしたい,という気持ちから生み出されたものです。
本書では,2017年改訂学習指導要領とパフォーマンス評価の関係を解説するとともに,「見方・考え方」を育てるためのパフォーマンス課題の作り方,評価基準であるルーブリックの作り方や活かし方,授業づくりのポイント,各教科での実践の進め方を紹介しています。さらに,特別なニーズのある子どもの教育,ICT活用,「総合的な学習(探究)の時間」,カリキュラム・マネジメント,入試・キャリア教育とパフォーマンス評価の関係についても,説明しています。
それぞれの章では,学校の先生方から頻繁に問いかけられる質問に即して内容を整理しました。読者には,最初から読み進めていただいてもよいですし,ご関心のあるところから読んでいただいても構いません。本書が先生方の実践づくりの一助となれば幸いです。
本書でご提案している内容の大半は,私たち自身が様々な学校現場で,実践づくりに取り組む先生方からお教えいただいたことです。共同研究にご協力くださった先生方,研修の場で貴重な質問を投げかけてくださった先生方に,この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
また,本書の出版にあたっては,姉妹編である『「資質・能力」を育てるパフォーマンス評価―アクティブ・ラーニングをどう充実させるか』(明治図書,2016年)に引き続き,企画から刊行に至るまで,明治図書の及川誠氏・西浦実夏氏から多大なご支援をいただきました。心より感謝申し上げます。
なお,本書の内容は,日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究B「パフォーマンス評価を活かしたカリキュラム・マネジメントの改善方略」(課題番号:18H00976,平成30〜34年度,研究代表者:西岡加名恵)の助成を受けた研究成果を踏まえたものです。ここに記して感謝いたします。
2018年8月 /西岡 加名恵
コメント一覧へ