著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級経営の「軸」をもとう!
北海道公立中学校堀 裕嗣
2018/3/1 掲載
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 今回は堀 裕嗣先生に、新刊『必ず成功する学級経営 365日の学級システム 中学1年・中学2年・中学3年』の3冊シリーズについて伺いました。

堀 裕嗣ほり ひろつぐ

1966年北海道湧別町生。北海道教育大学札幌校・岩見沢校修士課程国語教育専修修了。1991年札幌市中学校教員として採用。1992年「研究集団ことのは」設立。『中学校 学級経営すきまスキル70』『中学校 生徒指導すきまスキル72』『【資料増補版】必ず成功する「学級開き」 魔法の90日間システム』『よくわかる学校現場の教育心理学 AL時代を切り拓く10講』『よくわかる学校現場の教育原理 教師生活を生き抜く10講』『必ず成功する「行事指導」 魔法の30日間システム』 など著書・編著多数。

―本書は、好評をいただいている『必ず成功する「学級開き」 魔法の90日間システム』『必ず成功する「行事指導」魔法の 30日間システム』の続編シリーズとして、学級づくりから学習指導、行事から通知表まで、1年間365日の学級づくりについておまとめいただいた「学級担任のバイブル」とも言える書籍ですが、まずこのシリーズのねらいと読み方について教えてください。

 学級経営がかつてに比べて難しくなったと言われます。若い先生方だけでなく、中堅・ベテランの先生方もめまぐるしく変化していく時代に、そして教育改革や世論の動向に右往左往させられている……そんな印象があります。言い換えれば、学級担任が変化する生徒、保護者、地域や行政に翻弄されて、本当は一番大切なはずの自分のなかの「学級経営の軸」みたいなものをもてなくなってきていることが要因のように思われます。そうした意味で本書は「軸をもとう!」というメッセージを投げかけています。

―このシリーズでは、教師の指導のあり方について、(1)教師が前面に出る「さきがけ的指導」、(2)後ろに引いて成長をうながす「しんがり的指導」、(3)励まし促進する「アクセル的指導」、(4)正しい行動を求める「ブレーキ的指導」の4視点からまとめられています。本書でも詳しく紹介されていますが、この点について教えてください。

 学級経営、学級づくりの本はたくさん出ていますし、ネットを開けばさまざまな主張が展開されてもいます。でもその多くは「こうすればこうなった」式の教育技術の指南書であったり、「僕はこう思う」という狭く現実的でない理念の披瀝であったり、いずれにしても学校教育全体を俯瞰して語るものではないように思います。
 そこで私たちは、一度「学級経営を俯瞰して見てみよう」と考え、教師が前面に出るべき指導と後退して支えるべき指導(=さきがけ的指導しんがり的指導)、生徒たちに着火するタイプの指導と鎮火するタイプの指導(=アクセル的指導ブレーキ的指導)という四つの視点があることを見つけました。どうも多くの教師たちはこれらを分けることなく、無意識のうちに指導しているな……と。これらを意識しながら学級づくりに臨むだけで、「自分がいま何をしているのか」がずいぶんと具体的に見えてくるなと考えたわけです。そしてすべての学級活動をこの視点で見直してみたわけですね。本書はそれをまとめ、提案したものです。

―学級経営の成功の鍵として挙げられるものの一つに、「学級集団づくり(学級組織づくり)」があります。機能させるための教師の立ち位置、リーダーの育成など、成功の秘訣は何でしょうか? 先生のお考えをお聞かせください。

 書名にもなっているので言いづらい部分はありますが、本音で言えば、学級づくりには「失敗」はあっても「成功」はないんだろうと思います。どんなに「成功した」と思っても上には上がありますし、自分のできることを精一杯やったということはあり得ても、自分のできることは完璧にやり遂げたということはあり得ません。たぶん、「成功」っていうのはほんとうは自分ではなく、他人が評価するものなのでしょう。それでも、自分自身、「なんとか少しでも良くなるように」と努力し続ける、いまやっていること、いま起こっていることを一つ一つ分析しながら、一つ一つ踏み固めていく、そんなサイクルのなかで「ちょっとだけ良くなってきている」と実感できる、そんなベクトルのなかにいられたら、きっと「成功」なのではないかと感じています。

―本書の中でも取り上げられている「行事指導」については、学級経営の中でその集団づくりやリーダー育成の観点からも重要なポイントになりますが、近年では先生方から「行事指導が難しくなった」という声が少なからず上がっているようです。その原因は何でしょうか? また行事指導のポイントについて教えてください。

 行事には「いいものをつくる」というベクトルと「子どもたちを育てる」というベクトルとの二つがあります。子どもたちが育ちながら結果的に良いものができれば一番いいわけですけれども、なかなかそうはいきません。生徒たちに任せればなかなか良い結果に結びつかないことが多いですし、教師主導なら綺麗なものはできますが生徒が育ちません。特別活動の時間や放課後の時間などが削られるなかで、なかなかこの両者を追うことができない。それが先生方の悩みの本質なのだと感じています。こういうことも、3年間を俯瞰して、「いま、この行事でやるべきことは何か」という視点で考えれば、その行事に取り組む自分なりの「軸」を意識したうえで取り組めるのではないでしょうか。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 中学校も小学校に負けず劣らず、学級経営が困難になってきています。3年間を俯瞰しながら、同僚教師とのチーム力によって、学級経営の一つ一つの要素を具体的に踏み固めていく、そして生徒たちが少しでも自力で成長していけるように支えていく、本書がそんな教員生活の一助となればと考えています。

(構成:及川)

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