著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもも教師もイキイキとした図工授業に取り組もう!
四天王寺大学教授今井 真理
2017/9/22 掲載
今回は今井真理先生に、新刊『すべての子どもがイキイキ輝く!学級担任がつくる図工授業』について伺いました。

今井 真理いまい まり

東北大学大学院 医学系研究科・医科学専攻博士課程単位取得満期退学
立命館大学大学院 先端総合学術研究科先端総合学術専攻博士課程修了 博士(学術)
愛知教育大学大学院 教育学研究科芸術教育専修修了 修士(教育学)
主な著書に『授業力アップ!楽しくできる絵の指導と造形活動の実践 教師のスキルアップをめざす言葉かけのポイント』(明治図書)、『介護・福祉・医療に関わる人のためのアートセラピー入門』(ひかりのくに)、『芸術療法の理論と実践―美術教育との関わりからー』(晃洋書房)他多数

―教師自身、絵を描くのが苦手でも、図工授業はうまくできるのでしょうか。

 「絵を描くことが苦手だと図工の授業はうまくできない」という考え方が浸透しているようですが、教師の画力と指導のスキルは別と考えます。まずは、このような思考回路から脱し、子どもたちの指導を行うことが大切です。子どもは感性が鋭く、教師の苦手意識は実は子どもに知らぬ間に伝わっているものなのです。教師自身が苦手意識を持たずに、楽しみながら子どもたちを指導できるような気持ちの切り替えが大事です。

―本書に、「教師の声かけが子どもたちの制作意欲につながる」とありますが、子どもたちの意欲を高める言葉かけのポイントをぜひ教えてください。

 その子の個性を最大限に引き出し、制作意欲につなげるためには、教師は一人一人の子どもがイキイキと制作活動できる状況を作る必要があります。詳細に関しては本に記していますが、作品の完成度にのみ焦点を絞るのではなく、それぞれの子どもの作品の良さを見つけ、その子の個性に合わせた言葉かけが必要となります。

―本書には特別支援の子どもたちに対する描画指導についても書かれていますね。指導する際に、教師が常に意識しておかなければならないことは何でしょうか。

 特別支援の子どもたちの中には、造形活動が得意で特別な才能を発揮する子どもも多く、実は、教師は大変重要な役割を担っていることをしっかりと自覚する必要があります。発達段階に合わせて、個々の子どもの特徴をしっかりと見極めながら指導することが大切です。支援の必要な子どもは敏感ですから、特に留意する必要があります。

―本書で紹介している題材の中から、2学期の授業にオススメの題材ベスト3を教えてください。

 読書の秋とも言いますので、「エリックカールになってみよう!」、エコ材料を使用した「身の回りを探検してみよう!」、想像力を使う「不思議な生き物を作ろう!」、などはいかがでしょうか? 担任教師が子どもたちと一緒に制作したいと思うものを選ぶのも良いかもしれません。

―最後に全国の先生方へメッセージをお願いいたします。

 図工の時間は、子どもたちが普段見せることのない様々な側面を造形活動を通して表現してくれます。先生方は、そのようなメッセージをしっかりと受け止めながら、造形活動を通して子どもたちとコミュニケーションしてください。少し指導が難しいと思う子どもも、造形活動を通してコミュニケーションすることで違った側面が見えてくることがあり、学級経営に生かせるかも知れません。どうぞ先生方も子どもたちと一緒に楽しみながら授業展開をしてください。

(構成:木村)
コメントの一覧
2件あります。
    • 1
    • ガルシア留美子
    • 2017/11/3 0:32:51
    言葉かけの欄が想像以上に参考になった。指導上の苦手意識がなくなったように感じる。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2017/11/3 0:35:56
    著者の多様な経験がこの本の言葉かけの根幹かも。他の本と少し違ったアイデアをもらえる。
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