- 著者インタビュー
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学校現場はとても忙しい。そのうえ、子どもは長時間になると飽きてしまうので、できるだけ短時間で魅力的な絵を描くための方法を、経験をもとに記述するよう努力しました。
例えば「鬼の絵」は、節分の前後に、絵本・お面・地域行事の写真などを見せて、墨汁で画面からはみ出すほど大きく描くと、迫力ある個性的な絵が短時間で仕上がります。
簡単な部分から複雑なものへと、段階を追ってよく観て描く練習が大事かと思います。「手」は、爪→指→手のひら→腕の順に、指の長さや関節、しわの形などを観察して描きます。
「顔」は、鼻の穴や開けた口ののどちんこなど、顔の中心から周りへと広げて描くと、意外性があり、また興味を持って、自然と大きくのびのびとした絵になります。
風景画は、描きたい所に行って自分の眼で下絵を描き彩色するものです。子どもは概念的に、空は空色、木の幹は茶色、葉っぱは緑などと彩色してしまいます。そのため、実物をよく観させることが大切です。また、古い建物(寺社)には緑を加えると古びた感じがでます。樹木の彩色は難しいので、明るい色から暗い色へと点々塗りする手法を指導します。
立体感をだすには、少なくとも2通りの方法があります。
@ 遠近法でデッサンする……手前にあるものは大きく描き、遠くになるほど小さく描きます。
A 彩色の時、基盤になる色(例:葉なら緑+黄緑)、次に光が当たる部分に白や黄色を加えた色、そして影の部分に暗い色を塗り、ぼかしをかけます。
最も大切なことは、けがをしないこと。刀の持ち方と使い方を指導します。また、刀を持つ反対の手を刀の前に出さないことです。
小学校では、5本の刀のすべてが使えるように指導するのが基礎・基本であると考えます。やる気を出させるには「あなたの絵は彫り上がるとすばらしい作品になりますよ」と暗示したり、彫りの途中でほめたりします。
指導者は、子どもがどこで困り、つまずくかを事前に知っておき、そのための手立てをその都度指導することです。また、短時間で指導するためにも、指導者が前もってやってみることです。そうしたことを知るために、本書が少しでもみなさんのお役に立てれば幸いです。
きめ細やかな指導を、子どもの個々の性格にあわせて指導したいものです。