著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
すべての教科で活用できるワークシートで日常と授業がつながる!
京都女子大学発達教育学部教授井上 一郎
2015/11/10 掲載

井上 一郎いのうえ いちろう

奈良教育大学助教授、神戸大学教授、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官、国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官・学力調査官を経て、現在京都女子大学発達教育学部・大学院発達教育学研究科表現文化専攻教授。国語教育学者。「全国国語教育カンファランス」「全国読書活動研究会」「国語教育公開講座」等を主宰。「小学校全国国語教育連絡会」会長。
『子ども時代』『教師のプライド』等のエッセイ集を刊行。主な著書・編著書として『読む力の基礎・基本』2003、『誰もがつけたい説明力』2005、『読解力を伸ばす読書活動』2005、『書く力の基本を定着させる授業』2007、『話す力・聞く力の基礎・基本』2008、『知識・技能を活用した言語活動の展開』2009、『言語活動例を生かした授業展開プラン低学年』『同中学年』『同高学年』2010、『学校図書館改造プロジェクト』『記述力がメキメキ伸びる!小学生の作文技術』2013、『学力がグーンとアップする!自学力育成プログラム』2014、『読解力を育てる!小学校国語定番教材の発問モデル 物語文編』『同 説明文編』2015、『読書活動でアクティブに読む力を育てる!小学校国語科言語活動アイデア&ワーク』2015他。いずれも明治図書。

―アクティブ・ラーニング型の授業において、子どもたちに「汎用的能力が必要」とのことですが、「汎用的能力」とはどのような力か、簡単に教えて頂けますか。

 「汎用」とは、辞書的には、「一つの活動、単元で学んだ能力(知識・技能)が、他の活動や単元、教科等にも広く有効に働くこと」を意味します。自ら知識・技能を駆使しながら、主体的・協働的に課題を解決するアクティブ・ラーニングにおいては、この汎用的能力とともに各教科等の基礎・基本となる能力を統合的に育成する必要があります。これらには、学習過程を自覚し、その遂行を可能とする学習力、読解力・記述力・要約力等の言語活動を行う言語能力、映像活用力、ICT、学習習慣等多岐にわたる内容が含まれます。

―アクティブ・ラーニングに必要な汎用的能力育成のために、教科書以外の教材として、補助教材やワークシートに加え、なぜサポートワークを使うとよいのですか。

 現在の教科書は、アクティブ・ラーニングに直接対応するようにはできていません。そこでワークシートを活用しますが、これらは単元に密着したものになりがちです。そこで、年間を通して、しかも各教科等に役立つような学習材が必要になるのです。しかし、教師が与えるからやるというのでは受け身になってしまいます。アクティブ・ラーニングですので、自ら活用していくような、時間がかからず簡潔で役立つようなものであることが重要になります。それが本書のサポートワークです。

―サポートワークは、国語科の授業や他の授業でどのように活用すればよいのですか。

 国語科をはじめ、各教科等の授業の始めに短時間で活動したり、授業で活動する内容に必要な能力を育成したり、復習したりするために活用します。読解力を向上させる、記述力を高めるといった目的で教材を選択し、プリントにして配布することもできます。さらには、朝の学習や放課後等、学校内で授業以外の短時間に定期的に使用します。あるいは、家庭学習として順次プリントを配布し、学習した内容を翌日または後日評価をし、フィードバックするなどが考えられるでしょう。

―本書には小学校1年〜6年までの82本のワークシートが収録されていますが、どのようなワークシート形式になっているのですか。

 もともと、自主的に学習する教材が少ないことや、楽しく取り組めるドリルが少ないことから、ワークシートの開発が始まりました。子どもが楽しんで「ワクワク」しながら「ワーク」すると、アイデアやイマジネーション(想像力)が高まりわいてくるようにと願って編集に着手しました。だから、なるべく楽しくしようと、言語体験型、知識発見型、知識中心型など多彩に作成しています。

―最後に、読者の先生方へ向け、メッセージをお願いします。

 アクティブ・ラーニング時代になり、カリキュラムにおいても、授業においても大きく変わろうとしています。そのような時代を生き抜く質問力、発表力、説明力、解説力、プレゼンテーション力、討論力、司会力、記述力、紹介力、感想力、解釈力、考察力、要約力、引用力、報告力、理由説明力、精読力、思考力等を育成するためには、日常と授業を関連付け、橋渡しをする教材が不可欠なものとなるでしょう。アクティブ・ラーニングを支える汎用的な能力であるこれらのために本書を活用し、変革にcommitできるように備えてくださることを願っております。

(構成:木村)

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