著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
特別ではない、特別なニーズをもつ子どものための算数授業サポート法
北海道洞爺湖町立とうや小学校教諭赤塚 邦彦
2014/2/28 掲載
 今回は赤塚邦彦先生に、新刊『通常学級でできる! 特別なニーズをもつ子どものための算数授業サポート』について伺いました。

赤塚 邦彦あかつか くにひこ

1979年北海道生まれ
2002年3月北海道教育大学岩見沢校卒業
2002年4月北海道苫小牧市立明徳小学校教諭
2006年4月北海道厚真町立厚真中央小学校教諭
2012年4月北海道洞爺湖町立とうや小学校教諭
法則化アツマロウ代表
著者に、『向山型スキル・算数の授業パーツ100選』(編集、明治図書)、『算数のつまずきには法則がある』(単著、明治図書)

―本書の表紙には、「特別ではない、特別なニーズをもつ子どものためのサポート法」と書かれています。この意味するところを教えてください。

 「特別なニーズをもつ」と聞くと、何か大変なことを行わなければならないというイメージをもってしまいます。もちろん、子どもの特性をつかむことは大前提ですが、特性をつかんだうえで、通常学級でも容易にできる指導・支援の方法を考える必要があります。本書で示した「不要な情報を手で隠す」「図にかき込ませる」「解き方の型をつくる」「赤鉛筆で薄く書く」…などの方法は大変効果がありますが、これらは何も特別なことではありません。

―本書では、通常学級の算数授業における特別なニーズをもつ子どもへのサポート法の具体例が多数紹介されています。特に、“通常学級の”ということを踏まえて注意すべきはどんなことでしょうか。

 通常学級の授業におけるサポートは、特別な個別指導ではなく、あくまで一斉指導の中で行われるべきだと考えています。特別なニーズをもつ子どもがいるからといって、その子にずっとつきっきりだと、学級のその他大勢の子どもたちは何をやったらよいのかわからず、教室が騒乱状態になってしまうからです。上で示した方法は、一斉指導の中で行うことが可能です。場合によっては個別指導が必要なケースもありますが、短く、繰り返して行うことで、授業のリズム、テンポは維持できます。

―本書でも様々なタイプに分類されているとおり、子どもが抱える困難の状況は一様ではないと思います。そんな中でも、赤塚先生が共通して大切にされている指導の姿勢とはどんなことでしょうか。

 まず、一人ひとりにどのような特性があり、どのようなことに困っているのか、その実態を正確に把握することを心がけています。そのうえで、どのような指導がよいのか、“授業パーツ”の組み合わせを考えていきます(算数の授業パーツについては、『向山型スキル・算数の授業パーツ100選』に詳述されています)。毎年同じように授業を進めるのではなく、このように、目の前の子どもの実態に合わせ、使う授業パーツを変化させていくことが重要だと考えています。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 特別なニーズをもつ子どもがかかえる困難の状況は多様で、その対応も容易ではありませんが、一方でサポートの方法も日々進化しています。その方法を身に付けられるのは学び続ける教師のみですから、私も雑誌『算数教科書教え方教室』を読んだり、各地で開かれているセミナーに参加したり、サークルで模擬授業を行ったりして、日々学んでいます。本書を通して共に学ぶ先生が増えていくことを願っています。

(構成:矢口)
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