【説明文教材】
説明文教材を教える際、例えば「すがたをかえる大豆」(光村3下)であれば、“大豆”のひみつを読み取らせるのか、それとも段落構成図作成や要約をさせるのか、いつも迷ってしまいます。
ココがポイント!
〈内容・題材〉か〈形式・構成〉かという問題
説明文の学習指導には、〈内容・題材〉か〈形式・構成〉かという問題が常につきまといます。“大豆”などの〈内容・題材〉は子どもたちの「興味・関心・驚き・思い」を引き出します。ただし、学習指導が〈内容・題材〉だけにかたよった場合、理科や社会科の授業になってしまうでしょう。国語科の学習指導であるからには、〈形式・構成〉の指導が不可欠です。ただし〈形式・構成〉だけの学習指導にかたよった場合、段落分けや要約などの形式的操作に終始してしまい、子どもたちの興味や関心を無視したものになってしまいます。
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ワザ1 子どもたち自身が〈筆者〉になったつもりで読む
この問題を解決するために、〈筆者〉という概念を導入して説明文を読んでいこうというのが、今の説明文の学習指導の基本となっています。筆者がどのように〈内容・題材〉を選び、それにふさわしい〈形式・構成〉を用いたかを考えさせていくのです。ワークシート例(豊岡市立高橋小学校の西垣惠子学級において生み出されたもの)をご覧下さい。【あなたが、せつ明文を書くために、文章のこう成と、表現(ひょうげん)のくふうを次の表に整理(せいり)してみましょう。】というめあてが示されています。二段目に注目しましょう。「問い→答え」「魚の説明」のように、教材から学んだ書き方の工夫を、自分で書き込んでいます。こうした工夫を意識して、〈筆者〉として「すがたをかえる魚」を書いています。〈筆者〉になって読み、〈筆者〉になって書くということの一例です。
ワザ2 さらに、〈筆者〉になって書く言語活動へ
このように〈筆者〉という概念を持ち込むことによって、子どもたち自身が〈筆者〉になるという言語活動が展開できます。「すがたをかえる大豆」の後に、「食べ物のひみつを教えます」という教材が置かれているのは、子どもが〈筆者〉になるという意味をもった言語活動を提示したととらえることができます。
それでは、説明文ではどのような指導をすればいいのか。今回はその答えを教えてもらったような気がします。「筆者」という概念を取り入れ、内容•題材、形式•構成を考えていく。まずは、筆者を外から見て考える。そして、内に入る作業、つまり、筆者になる。この流れも自然で、児童の意欲も増すのではないでしょうか。これからは、「内容•題材」、「形式•構成」がいいあんばいでの説明文の授業になるよう努めたいと思います。