堀江式 国語授業のワザ
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堀江式 国語授業のワザ(3)
教材研究はじめの一歩―「教材研究ノート」の作り方―
兵庫教育大学大学院教授堀江 祐爾
2012/8/5 掲載

【教材研究】

「教材研究」の必要性を強く感じているのですが、どうすればよいかわかりません。例えば、「くじらぐも」(光村1年)ではどんな「教材研究」をすればよいのでしょうか?

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ワザ1 「教材研究ノート」を作る

 「すべての授業実践は教材研究から始まる」と言われるように、「教材研究」は非常に重要なものです。そこで、「教材研究ノート」を作ることをおすすめします。教科書教材をコピーしてノートに貼り、そこに自分が読み取ったことや調べたことを書き込んでいくのです。以下に例を示しましょう(著作権の関係のためごく一部になります)。

例

1.「題名読み」から始める

 教材研究はまず、「題名読み」から始まります。
 「くじらぐも」、さあここから何を読み取ることができるでしょうか。「教材研究ノート」の見本には、「くじら」の横に「大きい→先生と子どもたちが乗れるほど」と書いてあります。だから、「かえるぐも」でも「てんとうむしぐも」でもないのですね。この他、「ゆうゆうと泳ぐ」ということも、後の展開を考えると重要な要素となります。

2.行間を読む―文学としての意味・論理性を考える―

四じかんめの ことです。

 これを「四時間ですね。さあ、次を読みましょう」と扱うと、国語の授業にはなりません。文学の言語には、文学としての意味・論理性といったものがあります。いわゆる行間を読むということですね。
 この「教材研究ノート」には、「教室に戻る必然性」と書かれています。「四時間目」の後には給食がありますから、それまでには戻ってくる必要があるのです。また「四時間目」ということは、「昼、太陽が南中」する時刻であり、「青い空、雲がくっきりと見える」ということにつながるのですね。

ココがポイント!

「教材研究」=「教材分析+指導研究」

 こうした作業は「教材研究」の中の「教材分析」です。これらをもとに、子どもに何をどう教えるかを考える「指導研究」へと結びつけていく必要があります。つまり、「教材研究」は「教材分析+指導研究」を行うことなのですね。

堀江 祐爾ほりえ ゆうじ

兵庫教育大学大学院教授、元中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会国語専門部会委員、平成20年版中学校学習指導要領(国語)作成協力者、「国語教育の実践と研究をつなぐ会」世話役代表。
主な著書に『「国語力」向上の授業改革1 国語科授業再生のための5つのポイント』『小学校新国語科 言語活動の展開がよくわかるシリーズ1 書く力がぐんぐん伸びる!「言葉のワザ」活用ワーク』、などがある。最新刊『小学校国語科授業アシスト 実物資料でよくわかる!教材別ノートモデル40』が好評発売中!

(構成:林)
コメントの一覧
11件あります。
    • 1
    • 9+2+?(←兆←億)
    • 2012/8/27 22:44:10
    おすすめされていた「教材研究ノート」を、とにかくまず作ってみようと思います。自分の読みや予想される児童の反応、調べたことなどの書き込みをしていきながら、教材研究をしていきたいです。「教材研究」は「教材分析+指導研究」だということもよく覚えておきたいです。
    • 2
    • 国語ラボラトリー
    • 2012/8/28 10:08:05
    国語の授業は、子どもの読みと教師の読みとがぶつかり合う場、あるいは互いの読みを重ねることから学ぶ場である。「教材研究ノート」づくりは、教師の読みをかたちにしていく作業であり、題名や冒頭文など、教材の叙述をもとにした具体的な分析が重要であろう。
    • 3
    • あらしふく
    • 2012/8/28 11:40:09
    教材研究とは,作品を読み込むことだけでなく,子どもに何をどう教えるかを考える「指導研究」へと結びつけていく必要も大切だと言うことが分かりました。おすすめされた「教材研究ノート」をつくって,まずは自分なりの読みを書きこみ,指導へと結び付ける流れて教材研究をやってみようと思いました。
    • 4
    • ドラゴン
    • 2012/9/6 21:04:42
    教材研究ノートづくりは、「教材分析+指導研究」を行うことになることを実感しています。発問や予想される反応を書き込んだり板書計画を書いたりしながら、指導書を頼りにするのではなく、自分の読みをしっかり持たなければいけないなと感じました。
    • 5
    • けいちゃんまん
    • 2012/9/9 6:36:15
    教材研究は、まず教師の教材解釈から入る。このことを若い先生方に知っていただくといいなと思っています。まず自身の深い、広い、多様な解釈を生み出すこと。これが、授業中の子どもたちの発言やつぶやきから宝を落とさずに拾い上げ、全体に広げていくという、「コーディネーター」としての教師の仕事を支えている「もと」なのです。
    「自分の解釈なくして、子どもたちに解釈させることはできない」といっても過言ではないでしょう。「子どもから引き出す授業」をするためにも教材解釈→指導研究は大切ですね。
    • 6
    • みかん
    • 2012/10/5 19:14:05
    国語の教材研究の基本は、本文中の言葉をまず徹底的に辞書で調べることではないでしょうか。
    辞書で調べずに行間を読むというのは危険な行為だと思います。
    • 7
    • 伊勢物語
    • 2012/10/21 18:16:39
    文学教材においても論理を考えることは大切なことだと思う。このような論理が場面の読みをつなぎ、作品全体を豊かに解釈することになる。教師にとって一番の仕事は授業なので、しっかりとした教材研究の力を身に付けたい。
    • 8
    • がま
    • 2013/1/2 14:13:37
    「教材研究」=「教材分析+指導研究」に、なるほどなと感じました。文章の一つ一つの言葉の意味をよく考えながら読むように心がけたいと思います。また文章全体の大きな流れをつかみつつ、細かな言葉の意味や行間に係れていることを考え、論理的に教材分析と指導研究にあたりたいです。
    • 9
    • さっこ
    • 2013/7/25 0:01:53
    私も教科書をコピーし自分の教材解釈ノートを作ったり、短い詩や物語文、説明文はできるだけ視写し、思いついたことを書き込んだりしています。題名にも注目し、「自分ならどんな題名をつけるかな」と考えるようにしています。子どもに学ばせる前に自分自身が教材と向き合い、クリティカルに読んでいけるようにと思っています。(なかなか難しいのですが)物語文であっても「なぜ、作者はここでこんな表現を使っているのか」というように「?」をもって読むようにしています。このような読みが子どもたちが出した意見に柔軟に対応できるのではないかと考えています。しかし、こう言いながらも読みきれていないことも多く、実際授業をする中で、子どもたちから気づかされることもたくさんあり、教材研究の奥の深さを改めて感じることが多々あります。堀江先生がおっしゃるように、教材研究は教材分析と指導研究を併せもつものですね。「分析」だけに終わってしまうと、今度は教師の読みを押しつけがちになってしまいます。「ここは子どもの多様な考えにまかせよう」「ここはこの2つの解釈を考えさせよう」など、整理することも必要だなあと思います。
    • 10
    • D.T
    • 2013/7/25 3:01:24
    「教師は授業で勝負する」と言うように、授業の善し悪しが子ども達の学習に大きな影響を与えることは自明の理です。そのため、特に「教材研究」に時間を割かなければなりません。「題名読み」では、作者の意図を汲み取り、多様な視点で分析する必要があります。また、「行間読み」では、一語一語丁寧に分析することで、子ども達の発想に対して柔軟な対応と評価が可能になると思います。国語科の授業において、このような「論理的読み」は子ども達だけでなく、教師も必要であるということがわかります。しかし、「教材分析」だけでは質の良い授業を子ども達に提供できません。子ども達の興味・関心を高めるための発問や学習活動・板書計画の工夫など、「指導研究」にも力を注ぐ必要があると改めて実感しました。
    • 11
    • k.s
    • 2013/8/3 0:31:24
    教師として授業をするためにはしっかりと教材研究をして臨むことが重要であり当たり前であると思います。行き当たりばったりで授業をしていては、子供達の学力はつかないし学習意欲も低下すると考えます。ワザ1の「教材研究ノート」のようにその単元に入る前に教師なりに分析することでどのような力を子供達につけたいのか明確になりますし、幾つか分析したことの中から子供達の実態に応じた内容を選択して教えることができると思いました。また、このような教材研究を蓄積していくことで、もう一度同じ学年を担任した時には更に緻密な授業となり子供達の力も授業の回数を重ねるごとに高めることができるのではないかと思います。たとえ同じ学年を担任してもまるきり同じクラスは一つもありませんが、地道に教材研究を積み重ねることが教師の力量を高めるために重要であることを再認識しました。
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