英語教育ユニバーサルデザイン 指導に役立つ教材・教具
「がんばっているのに英語が覚えられない…」読み書きが苦手な子どもたちの英語指導に役立つ教材・教具を紹介。 学び方を変えれば、英語はできるようになる!
英語教育ユニバーサルデザイン 指導に役立つ教材・教具(4)
英語圏のアプリで“読み”と“書き”の準備・1
神戸山手短期大学准教授村上 加代子
2018/9/5 掲載
  • 英語教育UD 教材・教具
  • 特別支援教育

今回のねらい

 今回は、英単語の読み書きを母語としている英語圏で、音から文字の対応(書き取り)の学習に使われているアプリを紹介します。ネイティブの音声を使った良質なアプリは、個別のニーズに合わせ効率よく、しかも音と文字をしっかり結びつけながら様々なリクエストに応えてくれます。今回はわたしが実際によく使っているおススメのアプリから、アルファベットの読みの段階からスペリングまでの使用方法を紹介します。

Word Wizard

Montessori Word Wizard
制作
L'Escapadou
配布元
Word Wizard - Talking Educational App for iPhone and iPad
対象
小学校高学年〜主に中学生以上
良い点
セッティングがかなり自由にできる(フォント、指導内容など)
ネイティブ音声
教材を自作できる

 このアプリでは、次に紹介する(1)〜(4)のプログラムがあり、それぞれのプログラムで文字と音の組み合わせを練習し、スペリングを身につけていくことができます。子どもが使用している教科書などに合わせて使用単語リストを作り、その単語学習を行うこともできます。汎用性の高いアプリです。

(1)Movable Alphabet

 アルファベットの単文字の音だけでなく、文字の組み合わせで作った単語がどのような音になるのかがわかります。文字をタップすると文字の音(a=/a/)を発音してくれますし、文字を上のスペースに並べるとどんな単語でも発音してくれます(たとえば実際にはない単語だとしても)。基本的に読みはフォニックスのルールに従って(設定を変更することもできます)いるので、子どもたちは「え?じゃあ、これはどうなるの?」と文字をどんどん並べ、読ませながら「こういう風に読むんだな」と気づくこともできます。また、学校で習った単語をここで並べて単語の音声を確認したり、先生の言う単語を書き取ったりということもできます。

(2)Word Practice

 (2)は、単語の見本を見ながら、写し書きと同じように文字を並べる練習です。注意するポイントは、しっかり音を聞きながら並べることです。目だけで文字の並びを覚えようとしていても、音声とは結びつきません。必ず「一緒に音を言いながら、並べよう」と指導しましょう。

Montessori Word Wizard

(3)Scrambled Letters

 (2)のWord Practiceよりも難易度が1つ上がります。Word Practiceでは、お手本がありましたが、今度はありません。音声が流れ、文字を並び替えて単語を作る練習です。使用文字はあらかじめ指定してくれているので、並び順に集中できます。

 音声は、画面上部の読み上げボタン(女性の台詞影イラスト)で何度でも聞けます。ヒントボタンを押すと、隣に文字があらわれます。ここもなるべく「当てずっぽう」にさせてはいけません。ぐっとこらえさせて、「これは何て音? あなたが並べようとしている音は同じかな?」と音を聞かせて、確認しましょう。文字を並べることや、正解することが大切なのではなく、文字と音を結びつけることが学びの目的だということを忘れないようにします。もしどうしても当てずっぽうが続くようでしたら、(1)のアルファベットに戻り、「この音はどのアルファベットかな?」といった音から文字へのつながりを本人が納得するまで行うことも大切です。

Montessori Word Wizard

(4)Spelling Quizzes

 Scrambled Lettersよりも難易度がさらにアップ。いよいよ音声だけを聞いて、単語のスペルをつづります。単語が読み上げられますから、下のアルファベット(すべて)から、該当する文字を選び正しく並べられれば正解です。

 このようにこのアプリは、3ステップでスペリングの力を育てるように作られています。(4)で単語をちゃんとスペルできるようになるためには、(2)と(3)の音と文字の対応練習を丁寧に進めることが必要です。単語をただの暗記にせず、単語全体の音から、それを構成する文字、そしてその音を推測しながら作って行くという習慣を作っていきます。

■最後に―設定の変更

 アプリの良いところは、個別のニーズに合わせて設定を変更できるところではないでしょうか。Word Wizardも、通常の単語リストのほかに自分でリストが作れるほか、以下のような設定ができます。

1.読みのスピード調整
2.話者の変更(アメリカ、イギリス、男性、女性など)
3.背景の変更
4.Users & Quiz Reportsは、ユーザーの登録と、それぞれのユーザーの利用歴、スコア歴、間違った回答を見ることができます。複数の生徒や、兄弟姉妹がいる場合、ユーザーを変更することができます。

 このほかにも、フォニックスのどの文字規則までを用いるのか、大文字を使う・使わない、など本格的な調整も可能です。どうぞお試しください。有料アプリですが、十分に活躍してくれます。

Montessori Word Wizard

*URLや教材の情報は掲載時点でのものになります。

村上 加代子むらかみ かよこ

米国ウィスコンシン大学マジソン校卒。
神戸山手短期大学准教授。英語教育ユニバーサルデザイン研究会代表。
学習障害のある児童生徒対象の「チャレンジ教室」を主催。英語教科における特別支援やユニバーサルデザインの啓発活動に積極的に取り組んでいる。教員間の情報交換のプラットフォームづくりを目指している。

(構成:佐藤)

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