- 大前暁政の“欲ばり”時間術
- 教師力・仕事術
仕事を多くこなせるようになると、仕事を頼まれることが多くなります。そんなとき目いっぱいにならないよう、仕事を断ることもうまくできるようになりたいものです。
時間を不当に奪われないために
仕事を進めるうえで非常に困るのが、仕事を増大させる人が近くにいる場合です。
例えば、朝5分の簡単な打ち合わせで済む検討事項を、わざわざ放課後に会議の時間をとって検討しようとする人がいます。5分で終わることなのに、30分も会議のための時間を予約するのです。
これは最悪の時間の使い方です。「30分の会議」と銘打ってしまったら、5分で終わることでも、本当に30分かかってしまうのです。時間を増やせば増やすほど、仕事量は膨張します(この法則は、「パーキンソンの法則」とも呼ばれます)。
中には、30分の会議なのに、時間を超過しても会議を終わらせられない人もいます。同学年を組むとなると、1年間苦しむことになります。
こうなると、何か理由をつけて会議の時間を限定しなくてはなりません。
「放課後は陸上記録会に向けた練習があるので、昼休みに20分だけ話し合いませんか?」
こういった具合です。昼休みなら、特別に時間を確保しているわけでもありませんし、時間を延ばすわけにもいきません。
また、簡単な仕事なら、その場で自分がやってしまうのも1つの手です。例えば、行事のアンケートなら、そのアンケートの説明が行われている最中に、自分で気づいたことを書いてしまって、「何かこれにつけ足すことがあったら、つけ足しておいてください」と、学年団にお尋ねするといった具合です。仕事がその場で終わるので、「じゃあ放課後に30分集まって」ということがなくなります。
「何でも屋」にならないために
また、何でも仕事を振ってくる人が自分の近くにいると、時間の使い方がめちゃくちゃになります。私もよく仕事を引き受ける方ですが、断らなかったために、肝心の子どもを伸ばす仕事に時間が使えないケースが出てきてしまったこともあります。その人がすべきことは、その人に任せなくてはなりません。
しかし、職場が自分にとって「アウェー」の雰囲気なら、仕事が断りにくいこともあるでしょう。
そのため、日ごろから、仕事を断っても大丈夫な雰囲気づくりをしておかなければなりません。例えば、普段学校全体の仕事を進んでやっていると、1つの仕事を断っても、嫌な顔をされずに済むということがあります。1日に少しの時間でも構いません。運動場での放課後の子どものトラブル、地域でのトラブル、そういった学校全体の仕事を進んで行うのです。
学校全体の仕事に人一倍貢献していれば、無理な仕事を断っても特に何の問題も起きません。
それに、自分にとって「ホーム」の雰囲気でこそ、どんな仕事もはかどるというものです。
時間を奪うことに鈍感な人、仕事を何でも振ってくる人が近くにいると、時間の調整は難しくなる。自分の時間を失わないためにも、断り上手になろう。