教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術
定時で帰りたいけど、授業も学級経営もうまくなりたい!
そんな欲ばりな先生のために、5つの主任業務を同時にこなしたスーパー教師がとっておきの時間術を大公開!
教師力を一段引き上げる!大前暁政の“欲ばり”時間術(5)
教師の仕事も「ルーティン」が大事
京都文教大学准教授大前 暁政
2016/10/25 掲載
  • 大前暁政の“欲ばり”時間術
  • 教師力・仕事術

 仕事を定常化させ、毎日必ず行うことに決めれば、自然とその業務のための時間を確保できることになります。子どもや保護者への対応にも生かしたい仕事のやり方です。

「ルーティン」化で時間を確保する

 大切であるにもかかわらず後回しになってしまいがちな仕事は、日常の作業として「ルーティン」化します。すると、必ずその仕事のための時間をとることができるようになります。
 例えば、連絡帳を見ることを、朝必ずやる仕事としてルーティン化します。
 朝一番に保護者からの連絡を確認し、何かトラブルがあったなら、即子どもを指導します。他学年や他学級に及ぶトラブルでも、朝、他の担任と相談し、手だてを打つことができます。
 このように、「大切な仕事をこの時間に行う」と決めてしまえばよいのです。
 他にも、ルーティン化をおすすめすることがあります。それは、子どものよいところをメモ帳に記録することです。私は、教務手帳にあらかじめ子どもの名前が入った欄を用意していました。すると、授業中でも休み時間でも、ふとした時間に、メモすることができます。メモできなかった場合でも、放課後に必ず日誌を書いていたので、日誌に記録として残すようにしていました。この記録を基に、子どもをほめたり、学級通信で称賛したり、保護者に伝えたりできるというわけです。

様々な仕事のルーティン化

 子どもへの対応には意識的に時間を使っても、ついついおろそかになってしまうのが保護者対応です。
 そこで例えば、子どもががんばったことがあれば、連絡帳や短い手紙で保護者に伝えます。これを、「1日に1人は必ず伝える」と決めてしまい、ルーティン化するのです。

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 学級日誌も、短くてもよいので「毎日この時間に必ず書く」と決めてしまえば、書くための時間を確保することができます。
 また私は、保護者への連絡事項は、1か月前から学級通信で何度も伝えることにしていました。通信に連絡欄をつくり、そこに必ず連絡事項を書くようにしていたのです。
 学級懇談に向けた資料の収集・保存などは、期間限定でもよいのでルーティン化して取り組みたい仕事です。
 その他にも、特別な支援を要する子の様子は、1週間に1度は引き継ぎ文書として記録した方がよいでしょう。
 もちろん、子どもの様子に変化が見られたら、記録するだけではなく、すぐに保護者に連絡することも意識しておかなくてはなりません。1か月も2か月も様子をみて対応していたら遅いのです。
 特別な支援を要する子にかかわらず、子どもに何らかの変化が見られたら、早め早めに保護者に連絡するのが基本中の基本です。

 子ども対応、保護者対応も、大切なのについ後回しにしてしまいがちな仕事は、ルーティン化してみよう。時間を確保すれば、やらざるを得なくなる。

大前 暁政おおまえ あきまさ

昭和52年生まれ。岡山県の公立小学校教諭を経て、京都文教大学の准教授(理科教育)として赴任。理科の授業研究が認められ「ソニー子ども科学教育プログラム」に入賞。著書に、『子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド』『プロ教師の「折れない心」の秘密〜悩める教師への50のアドバイス〜』『プロ教師直伝! 授業成功のゴールデンルール』『プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK―』『スペシャリスト直伝!板書づくり成功の極意』『スペシャリスト直伝!理科授業成功の極意』(以上、明治図書)、『必ず成功する!授業づくりスタートダッシュ』(学陽書房)、『NHKおじゃる丸 クイズでおじゃる 目指せ小学校クイズ王』(執筆協力、NHK出版)などがある。
著者HP:『大前暁政の教育』

(構成:矢口)
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