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雨の日の登下校の危険 子どもたちの「命を守る」学級指導上のポイント
一般財団法人 日本交通安全教育普及協会大木 裕史
2020/6/1 掲載

 雨の日は、歩行者にとっても、車の運転者にとっても視界が悪く、その上、道路が滑りやすいので、転倒したり、車の停止距離が長くなったり、大変危険です。雨天時の登下校指導のねらいとしては、前方が見通せる傘の差し方、明るい目立つ色のレインコートなどの服装、そして、手荷物を極力減らし、車に注意して歩くことの大切さに気付かせることが挙げられます。

 雨の日の登下校の危険を配慮した指導のポイントは、下記の5点です。

1 傘を差した時の危険
2 雨や風が強い時の危険
3 2人で歩く時の危険
4 運転する人にとっての危険
5 雨風の強い日の安全な歩行 上級生の役割

1 傘を差した時の危険

 傘を前に倒した歩行の危険について、子ども一人ひとりに考えさせましょう。
 傘を実際に差し、前方がよく見えない危険を確認させます。前が見えるように傘を差して歩行すること、傘遊びは大変危険なこともご指導ください。
 雨の日は晴れた日よりも、一層の注意が必要です。特に、保護者会等では、明るい目立つ色(黄色など)の傘やレインコートを用意するようお話しください。また、レインコートのフードは、左右の視野が狭くなるため、子どもたちだけでの登下校時は注意が必要です。

2 雨や風が強い時の危険

 雨や風が強い時の歩行の危険について考えさせましょう。
 体育館で使う大型扇風機の前では傘が使えないことや、携帯用の雨合羽では、左右の安全確認がしにくい危険を体験させます。風雨の強い時には、両手でしっかり傘を差すようご指導ください。
 学校安全計画に基づいて、遠足や社会科見学の学習の機会を用いて、東京都本所都民防災教育センターのように暴風雨体験ができる場所で、強風大雨のすさまじさの体験や、災害が起きるような強風や大雨に関する知識も併せて高めることができます(新学習指導要領総則参照 安全教育の進め方は、教科等横断的な視点で行いましょう)。

3 2人で歩く時の危険

 2人で傘を差して歩く時と傘が無い時ではどんな違いがあるか考えさせましょう。
 体育館や教室の廊下を使って、白色養生テープで通学路と同じ狭い路側帯を作り実際に体験させながら、線からはみだして歩く危険を確かめます。教え込むのではなく、自分で気づいたことはワークシートに記入させ、小集団で互いに発表し合って気づかせることも大切です。
 晴れている日は2列で歩けるところでも、2人で傘を差して歩く時は、道幅を考え1列になって歩行するように指導します。特に子どもたちの注意力が下がる下校時には、危険は高まります。日常の指導として、帰りの会で、担任の先生方からの一言の声掛けが、事故を減らすためにとても重要です。
 通学路の中には、歩道が整備できない狭い道路など、路側帯をグリーンベルトにすることによって、道幅を狭く見せ運転者への注意喚起、速度減速につなげている場所もあります。ただし、雨の日の路側帯の白線上は滑りやすいので、注意して歩くようご指導ください。

4 運転する人にとっての危険

 運転者にとって、雨の日はどんな危険があるか考えさせましょう。
 「雨の日、運転手から見た歩行者」の絵 や、雨の日のブレーキをかけてから止まるまでの距離等を見せて考えさせます。
 首都高速道路株式会社の調査によれば、雨天時は晴天時の約4倍も事故が起こりやすくなっていることが判明しています。原因別にみると、雨天時は「スリップによる事故」と「視界不良による事故」の2パターンの事故が多く、とくにスリップによる事故が多発しています。雨で濡れた路面は、予想以上に滑りやすくなっています(日本自動車連盟JAFホームページより)。

5 雨風の強い日の安全な歩行 上級生の役割

 雨風の強い日に、安全に歩行するにはどのようなことに気をつけたらよいのか、下級生への登下校における配慮について考えさせましょう。
 自分の行動を思い起こし、めあてをもたせることがポイントです。また、上級生自らが安全な行動を示すこととあわせて、下級生のお世話をすることについても考えさせます。

図

※雨の日は、運転者は歩行者が見えにくくなります。運転者にわかるように、合図をしてわたるように指導しましょう。

※雨の日の登下校では、転倒を防ぎ、危険を回避できるように、できるだけ持ち物を少なくしましょう。

 子どもたちの登下校の安全には、毎日どんな気象条件の中でも、交通指導員の方をはじめ、地域、保護者の皆様方に、大変お世話になっています。しかし、学校近くの狭い生活道路の交差点では、多方面から登校する子供たちが信号待ちで集中します。特に、傘で見通しの悪い雨の日に、短い青信号の間に横断歩道を渡るには、右左折車もあり、危険が一層高まります。
 今年度は長い休校期間のため、例年と異なり交通安全指導の時間が不十分なことも考えられます。先生方には、雨の日の通学路の危険個所の実態を把握されて、子供たちの「命を守る」指導に生かされることを願っております。

大木 裕史おおき ひろふみ

一般財団法人 日本交通安全教育普及協会教育推進室 主幹
さいたま市公立小学校にて校長を5年務める。元埼玉県中学校社会科教諭。指導と評価の改善や学級活動における進路指導についての研究に携わる。さいたま市小学校校長会、教育研究会事務局他、多くの役職を担う。
現在、学校再開後を想定した、「感染を予防した安全教室」に向け指導準備をしている。
『子どもと保護者の自転車安全利用に関する調査から(1)』 交通安全教育No.647に執筆記事掲載。

コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2020/6/10 17:07:54
    ランドセルカバーを児童全員に配布したらどうでしょうか。ランドセルが濡れずに済みます。
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