野中流!新卒教師時代を生き抜く学級経営&授業術
初任者指導のエキスパート、野中信行先生が、新卒や若手教師のつまずきやすい事例や悩みを徹底解決!
野中流!学級経営&授業術(1)
授業が始まっても子供が席につかず、クラスがなかなか静かにならない
元横浜市初任者指導教員野中 信行
2012/4/20 掲載
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つまずき場面

 授業が始まっても席につかない子供がいて、クラスがなかなか静かにならないのですが、どのように指導すればいいでしょうか?

1 考えられるつまずきの原因

 4月から5月の段階で、このような状況が広がっているということは、先生による「学級づくり」の失敗が考えられます。
 最初に行う「学級づくり」のポイントは2つです。1つは、教室の「空気」の統率。2つ目は、教室の「時間」の統率です。
 先生は、教室の「空気」の統率に失敗していると思われます。「空気」とは、教室に流れる雰囲気です。目に見えないのですが、子供たちが敏感に感じるものです。その「空気」を、担任である先生が統率していなくて、やんちゃたちに掌握されている可能性があります。
 「空気」を統率していくには、先生のリーダーシップが必要です。「教師」として子供たちをぐいぐいと引っ張っていくことです。そうしないで「友達」みたいな先生になろうとされたのではないでしょうか。
 子供たちは「この先生は甘いな!」と判断して、勝手な行動を取るようになったのです。

2 対応法

その1 教室の「空気」の統率のやり直し

 とりあえず、最初からやり直す必要があります。子供たちに次のように宣言します。

「このクラスの中で勉強が始まってもウロウロしたり、おしゃべりをしたりしている人がいます。これでいいと思う人は手を挙げなさい。(間を置く)先生も、これではだめだと思います。そこで、みんなにも協力してもらって、クラス全体でウロウロしたり、おしゃべりをしたりすることを注意していきたいと思います。これから先生も厳しく注意していきたいと思います」

 ポイントは、1つ。

「先生が指示したことに対してすばやく行動させるようにする」こと。

 このことが教室の「空気」を統率するためにまず最初にしなければいけない最も重要なことなのです。
 だから、指示をしてすぐに行動できていない子供は即座に注意をしなければいけません。

その2 クラスで目標を作る

 子供たち全員で守っていくようにクラス目標を作ります。こんな目標がいいでしょう。

「授業が始まったらすぐ席について、静かに待っているようにしよう」

 朝の会でみんなで確認し、終わりの会で「できたかどうか」を全員に手を挙げさせるようにします。できた子どもの人数を書いていくようにします。合格は、32人以上(35人学級の場合)。完璧主義でやらないことです。合格できるように子供たち同士で注意し合う関係ができたらいいですね。合格したら先生は「とってもうれしい」と大喜びしてください。
 私が提唱している「目標達成法」です。(『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』を参考にしてください。)

3 教師力アップのポイント

 子供に媚びない。担任は、リーダーシップで、常に学級を引っ張っていく存在であることを知っておくことです。

野中 信行のなか のぶゆき

1947年 佐賀県生まれ。
1971年 佐賀大学教育学部卒業。
37年間横浜市立小学校教諭として過ごし、その後3年間初任者指導の仕事をする。
主な著書に『新卒教師時代を生き抜く心得術60』『新卒教師時代を生き抜く学級づくり3原則』(単著)、『新卒教師時代を生き抜く“2W”仕事術』(編)などがある。

(構成:木山)
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