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学力テスト、抽出方式に移行するも小中学校7割が参加
kyoikujin
2010/3/12 掲載

 文部科学省は4日、「平成22年度全国学力・学習状況調査における抽出調査への協力及び希望利用に関する照会の回答状況について(PDF)」を発表した。政権交代により、全員参加から抽出方式へ移行することになった全国学力テストだが、同資料によれば、全体の30.6%にあたるの10,000校が抽出調査校に選ばれ、抽出にもれた学校の61.3%にあたる13,891校が参加を希望した。抽出調査校と希望利用校を合わせると、参加率は全体の73.2%となった。

公立小中学校の参加率
都道府県 参加校数 参加率
北海道 1,633 85.6%
青森県 290 56.1%
岩手県 425 72.5%
宮城県 516 77.8%
秋田県 382 100.0%
山形県 230 53.9%
福島県 649 86.8%
茨城県 776 95.4%
栃木県 330 58.6%
群馬県 205 38.8%
埼玉県 547 43.6%
千葉県 622 50.2%
東京都 1,242 62.2%
神奈川県 392 29.9%
新潟県 593 76.4%
富山県 288 99.7%
石川県 333 100.0%
福井県 285 99.7%
山梨県 181 60.1%
長野県 457 79.1%
岐阜県 258 44.6%
静岡県 533 66.4%
愛知県 361 25.4%
三重県 316 55.4%
滋賀県 264 74.8%
京都府 516 85.3%
大阪府 1,399 93.2%
兵庫県 948 81.9%
奈良県 237 74.1%
和歌山県 394 100.0%
鳥取県 187 91.2%
島根県 248 72.1%
岡山県 529 91.2%
広島県 710 90.7%
山口県 478 100.0%
徳島県 280 97.9%
香川県 252 99.2%
愛媛県 412 87.1%
高知県 351 100.0%
福岡県 1,122 100.0%
佐賀県 277 100.0%
長崎県 565 100.0%
熊本県 499 83.6%
大分県 436 100.0%
宮崎県 393 100.0%
鹿児島県 806 100.0%
沖縄県 398 93.4%
全体 23,545 74.6%

 都道府県別の公立小中学校の参加率では、秋田や石川など成績上位県が100%の参加率で、九州では熊本を除く各県が100%、大阪や沖縄も90%以上の参加率となった。一方、愛知県の25.4%や神奈川県の29.9%、群馬県の38.8%など、参加率が50%を下回る県も見られた。

 抽出にもれた学校が希望利用する場合、採点や分析の費用はすべて自治体の負担となるため、負担を負えず参加を見合わせる学校も少なくなかったかもしれない。5日の読売新聞の記事では「(参加率が)低い地域は、県が独自の学力テストを実施している場合のほか、費用負担が大き過ぎると判断したケースもある」と指摘しており、財政面だけが理由とは限らない様子だ。

 4日の時事通信の記事によれば、「鈴木寛副大臣は『当初想定した通りのニーズがあった。希望すればテストを利用できる仕組みを導入してよかった』と話した。」とのことだが、これだけの参加が最初から予想されていたのなら、抽出調査に移行することは、単に国の負担を地方に分担させただけにすぎないように見えなくもない。

 学力テストの参加・不参加が、直接、学力に影響するとは限らないものの、これだけ多くの学校が参加する全国的な調査に、自治体の財政事情で参加できない状況が発生してしまうとすれば、あまり望ましい状況とは言えないのではないだろうか。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • yone
    • 2010/3/27 6:02:30
    新聞記事などから、あたかも「学校が自主的に参加している」印象を受ける表現になっているが、現場はそうはとらえていない。
    教育委員会が「勝手に」、「やります」と手をあげ、あとのこと(採点)は丸投げしようとしている。
    現場は、まったく望んでいないのに、このように書かれることは心外である。
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