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「学士力」で大学全入時代に対応? 中教審が素案示す
kyoikujin
2007/9/11 掲載

 新聞各紙の報道によると、中央教育審議会は10日、大学卒業にあたって必要な能力を「学士力」として定め、各大学にも卒業認定を厳格に行うよう要請していく素案を示した。 読売新聞記事によれば、この「学士力」は「知識」「技能」「態度」「創造的思考力」の4分野で、ほぼ小中高等学校の指導要録の観点と同様の分類だ。

 そもそも、なぜ今「学士力」なのか。大学の教育機関としての存在意義や、大学生の学力低下についてはこれまでも多くの議論がなされてきた。たとえば、1970年代後半から大学のレジャーランド化が指摘されはじめ、1999年には書籍『分数のできない大学生』が大きな話題となった。
 今回、いよいよ文部科学省が「学士力」をわざわざ定義する背景には、大学全入時代をひかえ大学卒業生の質の確保と大学の教育機関として機能維持がますます重要になってきたことなどがあるのだろう。文科省の 大学進学率関連の資料(PDF)によれば、昭和45年くらいまでは10〜15%ほどで推移していた進学率は、平成15年には41.3%に達している。
  もちろん、いつの時代にも勉強する学生もいれば、しない学生もいるだろう。しかし、全体的にみれば、全入時代を迎えるなかで相対的に大学生のレベルが低下しているという現実があるのだろう。何も大学は勉強だけをする場ではないという反論もあろうが、「学士」という学位の価値があまりに下がるのは困りものだ。これからの時代に求められる大学生像や大学の存在意義をしっかり見すえ、有意義な「学士力」が定められることを期待したい。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/9/12 9:24:23
    欧米のように出口を厳しくすること自体は賛成ですが、「学士力」って微妙〜。
    なんでも「力」をつけたがる世間の風潮に流されすぎではないかね文科省は・・・。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/9/12 11:16:55
    一流大学は依然として高い競争率でレベルは落ちない。
    ランクの低い大学は誰でも入れる。
    ということで、今後はますます大学間の格差が広がり、学歴偏重がさらに加速すると予想してみる。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/9/13 0:44:04
    ここ十年くらいで大学の数も大分増えましたからね。やはり、これからは淘汰されていくんじゃないでしょうか。
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