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少年犯罪の情報は開示すべきか―調書引用の本を法相などが批判
kyoikujin
2007/6/7 掲載

 昨年6月に起きた医師宅放火殺人事件についてまとめた書籍「僕はパパを殺すことを決めた」が波紋を広げている。
 主な理由は、この本が本来入手できない少年(当時高校1年・同事件で中等少年院に送致)の「供述教書」を引用していること。これを重くみた長勢甚遠法相が人権侵犯事件として同省人権擁護局に調査を指示したことが明らかになった。

 そもそも少年法の目的は、少年の健全な育成を目的とするものであり、その審判は非行のある少年の内省を促すものとされ、公開しないことが定められている。今回この事件の供述調書がどのようなルートで著者のもとに渡ったのか明らかになっていないが、法務省や裁判所にとっては、少年審判の理念に照らしてもとても看過できない問題ということであろう。

 一方、同書籍の著者は自身のブログで執筆の意図について次のように語っている。

 少年事件の真相は全く表に出てこないため、間違った情報が広がったりするため、遺族が非常に傷つき、事件の時より、さらに悪い状況に陥りがちです。思春期の子どもを持つ親は、人ごとではなく、「自分の子どもは大丈夫か?」と、不安に駆られる毎日をすごしてしまいます。しかし、真実を明らかにすることにより、情報を共有でき、追い詰められる子どもの気持ちをある程度理解することが出来でしょう。それにより、事件や事故のシグナルを大人が察知でき、防止することができると思っています。

 情報を「公開しない」ことが、子どもたちのためになるのか、情報を「公開する」ことが、子どもたちを救うことになるのか。少年犯罪を商売のタネにしているとの生理的な反感もあろうが、まずは「何が子どもたちのためになるのか」議論を避けることはできない問題だ。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
3件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/6/8 17:07:28
    隠すと人は知りたがるので、いっそ開示してしまったほうがあっさりする面もあるのでしょうが、ことがことだけに難しいですね。
    • 2
    • 名無しさん
    • 2007/6/8 20:10:22
    マスゴミの「国民の知りたい権利」って金科玉条には辟易します。
    国民が何について知りたいかをおまえらが勝手に決めるなと。
    • 3
    • 名無しさん
    • 2007/6/12 8:30:23
    この本、読んでみました。供述調書に基づいて書かれいて嘘は書かないようにしようという作者の誠意は伝わりましたし、事件の経緯はある程度わかりました。少年法等の問題もありますが、はっきりした証拠もないまま「?!」をつけてニュースを報道してしまうワイドショーなどの方がたちが悪いかもしれません。
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