長時間のテレビ視聴は幼児の社交性を損なう元凶か
読売新聞のテレビ長時間視聴、3歳児の「社交能力」発達に悪影響という記事によると、幼児にテレビやビデオを長時間見せると「社交能力」の発達に悪影響を与える恐れがあることが調査で明らかになったとのことだ。
同記事には、調査者による以下の考えが記載されている。
長時間視聴が他人とかかわり合う機会を減らしてしまうため
この考えからは、テレビを長時間見ることが「社交能力」低下の直接の原因ではなく、他人と関わる機会が少なくなることが要因であると、読みとることができる。
以前にも、2004年4月の日本小児科学会の提言「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」による、乳幼児の言語発達や社会性の遅れへの危険性の指摘があったが、この提言でも、幼児の長時間のテレビ視聴によって、親と子が会話をする時間が減少することが一因として指摘されていた。
このように見ていくと、ある種のテレビ批判のように受け取れなくもないが、前述した小児学会の提言を受けて、2004年5月のYOMIURI ONLINEの連載記事「子どもとテレビ再考 孤立した育児 背景に」では、幼児の長時間テレビ視聴の背景にある、現代の子育て事情について指摘しており、この問題がそう単純ではないことが伺われる。
我々の家庭生活に溶け込んでしまった感のあるテレビだが、このような報道を「テレビ叩き」と一笑する前に、テレビを見ることで何かを失っていないか、再確認するきっかけにするのも悪いことではあるまい。
- 幼児はテレビをどう見ているか(NHK放送世論調査/2006年10月結果)
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/housou/housou_06100101.html - 多様化する幼児のメディア利用(NHK放送世論調査/2003年7月報告)
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/housou/housou_03070101.pdf
この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
視覚、聴覚、味覚、嗅覚、さらには思考までが奪われていて、
大人ならともかく、発育中の子どもに悪影響がないとは
とても思えないんだけど…どうなんだろ。