長瀬拓也プロデュース エキスパートが教える!とっておきの授業スキル
ベテラン教師のコツを強力執筆陣がリレー連載! 学級・授業がもっとうまくいくヒミツ、教えます!
エキスパートが教える!とっておきの授業スキル(3)
正頭流 カルタdeリスニング!
岐阜県公立小学校教諭長瀬 拓也
2014/8/5 掲載
  • とっておきの授業スキル
  • 外国語・英語

長瀬:第3回は、立命館小学校で担任の仕事もされながら英語の授業も専門に行っている正頭英和先生です。

英語子どもが白熱する!年間を通して行えるリスニングゲーム!
正頭英和先生

ただでさえ忙しい日々の中、英語の活動の準備をするのは至難の技です。今回ご紹介させていただく「カルタdeリスニング」は、年間を通じて繰り返し使うことができますので、準備が楽になります。また少しの工夫でレベルの調節も可能ですので、汎用性が高いです。授業の冒頭の帯活動に最適です。

スキル1カルタの表裏でレベルを調整!

 「カルタdeリスニング」は、基本的には普通のカルタと同じルールです。教師が読みあげ、子どもが取ります。もちろん、教師が読むのは英語です。
 まずはカルタの作成です。表面には絵とスペル、裏面にはスペルのみを印刷します。こうすることにより、レベルの調整をすることができます。最初は絵の面を上にしてカルタを行いますが、子ども達が慣れてきたらスペルの面を上にしてゲームを行います。そうすると、活動のレベルが上がり、年間を通して行っても子ども達は飽きません。名刺サイズぐらいに印刷し、何度も使えるようにラミネートしておきます。班で行うことを想定して、6セットぐらいを準備しておきます。カードに書く単語は「動物」でも「食べ物」でも「学校にある物」でも何でもOKですが、「名詞」である方がよいでしょう。

例

スキル23ヒントバージョンで楽しく!

 次に読み上げる英語です。最初は「3ヒント」が取り組みやすいと思います。
例 例えば「リンゴ」のヒントとして、「fruit」「red」「circle」などを与えれば、リンゴに導けるでしょう。最初に大きなカテゴリー(例えばfruitなど)からヒントを与えていくのがコツです。このとき、「必ず3つのヒントを聞き終えてからでないと取ってはいけない」などの条件を付け加えると、最後まで集中して英語を聞き取ろうとします。また、慣れてきたら子ども達自身に「3ヒント」を出させることも可能です。子どもが作るヒントには、大人の私たちも「なるほど!」と思うものが多いです。ある子どもが「ポスト」のヒントとして「red」「letter」「eat」と言ったときは思わずうなってしまいました。

スキル3センテンス(文章)バージョンにチャレンジ!

 最後にセンテンス(文章)バージョンです。カルタのカードの説明を全て文章単位で行うということです。可能であればネイティブの先生にお願いするのがいいと思いますが、環境的に難しい場合もあります。そんなときにオススメなのが「英英辞書」の活用です。インターネットで「英英辞書」と検索していただければ、無料で使えるサイトがいくつもあります。
 例えば「apple」を英英辞書で引くと「a hard round fruit that has red, light green, or yellow skin and is white inside」と出てきます。本当はこれをアレンジするのがベストなのですが、そのまま読み上げるのもOKです。子ども達は文章全てを聞こうとするのではなく、文章の中のいくつかの単語をピックアップして答えを考えますので、その文章の中にキーワードになりそうな3つぐらいの単語が入っていれば、十分ヒントとして使えます。
 これはかなりレベルの高い活動ですが、年度当初から「3ヒント」で計画的に鍛えていけば、年度末には必ずできるようになります。年間を通して継続していくことが大切だと思います。

 活動レベルの段階としては、

スペル
3ヒント 簡単 少し難しい
センテンス(文章) 少し難しい 難しい

となります。少しずつステップアップしていくように計画しましょう。

成功に導くポイント
  • 簡単→難しい、というようにステップを踏む
  • 年間を通して活動する

長瀬:正頭先生ありがとうございました。次回は音楽科のとっておきスキルを宇野弘恵先生にご紹介いただきます。お楽しみに。

正頭 英和しょとう ひでかず

立命館小学校教諭。1983年大阪府生まれ。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。京都市公立中学校、立命館中学校・高等学校を経て現職。小学校から高校までの幅広いキャリアを持ち、そのキャリアを活かした授業運営を行っている。現在は授業だけでなく、学級経営の分野でも講師として招かれる機会も増えてきている。主な著作に『言語活動が充実する おもしろ授業デザイン集(低学年)(中学年)(高学年)』(共著、学事出版)、DVD『明日の教室第33弾〜子どもが育つ授業&学級づくり〜』(有限会社カヤ)など。

長瀬 拓也ながせ たくや

1981年岐阜県生まれ。岐阜県立中津高等学校、佛教大学教育学部教育学科卒業。横浜市立小学校教諭、岐阜県公立中学校教諭を経て、現在、岐阜県公立小学校教諭。専門は、学級組織論、教育方法学、社会科教育。NPO法人授業づくりネットワーク理事、教育サークル「未来の扉」代表代行、クラス・マネジメント研究会代表。
主な著書に『新版 若い教師のための読書術』(学事出版)、『教師のための時間術』『誰でもうまくいく!普段の楽しい社会科授業のつくり方』(黎明書房)、『学級経営・授業に生かす!教師のための「マネジメント」』『THE学級マネジメント』(明治図書、編著)『THE教師力〜若手教師編〜』(明治図書、共著)『ゼロから学べる学級経営―若い教師のためのクラスづくり入門―』最新刊に『ゼロから学べる授業づくり―若い教師のための授業デザイン入門―』(明治図書)などがある。

(構成:林)
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