きょういくじん会議
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道徳の教科化見送りへ―中央教育審議会
kyoikujin
2007/10/28 掲載

 中央教育審議会が24日に開かれ、道徳教育の充実をはかる案を大筋で了承した。一方で、教育再生会議が提案し、議論となっていた教科化については、「現在の取り扱いを前提に充実を図る」「現在の教科とは異なる特別の教科として位置づける」と賛否両論を中間まとめに併記するにとどめ、事実上、教科化は見送られることになった。

 道徳教育の教科化は、教育再生会議で提言され、議論を巻き起こした。そもそも、提言の背景には、いじめ問題や犯罪の低年齢化など、子どもたちの規範意識が薄れている問題があった。また、正式な教科でないため、道徳の授業が学校行事に振り替えられるなど、実際には道徳授業が行われていないのではないかといった不信感もあった。

 教育再生会議は、6月の第二次報告(PDF)の中で「全ての子供たちに高い規範意識を身につけさせる」という提言のもと、徳育を教科化し、現在の道徳の時間よりも指導内容や教材を充実させるということを盛り込んだ。

 また、従来の教科とは異なる教科とし、点数の評価をしないこと、担当教員については学級担任とし、専門の免許状は設けないことなども盛り込んだ。従来、正式教科の要件は、児童・生徒の数値評価、検定教科書の使用、中学校以上は各教科の教員免許を設けるなどがあるが、徳育はこれらとは異なる位置付けにするというな提言だった。

 しかし、教科化には各方面から多数の反対・慎重意見が出されていた。例えば、「人間性を育てる道徳に評価はなじまない」「教科書を使って教え込むものではない」「授業だけで教えればいいという発想になることの懸念」などである。

 中央教育審議会でも、教育再生会議の提言を受け、議論を行ってきたが、反対意見が根強く、9月に教科化見送りの方針を固めたと報道がされた。しかし、その後、見送り決定の事実はないとの訂正がされ、議論が続けられていた。10月16日には、中教審が「道徳の教科化も有力な選択肢の一つ」としたというニュースも流れ、教科化への道が残っていることが示されたが、最終的には、教科化は見送られる結果となった。

 教科化は見送られることになったが、道徳教育を充実させるという方向性は変わらない。学習指導要領改訂に向け、道徳の授業をより工夫することや、実施率を上げることなどが求められることになるだろう。

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/10/30 16:51:57
    道徳をしっかり指導して!というパフォーマンスだったのでしょうか。
    二転三転しましたね。
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