きょういくじん会議
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赤ちゃん受難の時代―続発する置き去り、嬰児殺し
kyoikujin
2007/7/7 掲載

この画像はイメージです 5日の時事通信の記事によると、都内のアパート内の通路で、生後間もない男児が置き去りにされているのが発見されたとのこと。男児の命に別状はないということでひと安心ではあるが…。

 最近、同様の赤ちゃん置き去り事件や、若い母親が生まれたばかりのわが子を殺してしまうような、赤ちゃんの生命が脅かされる、もしくは奪われてしまうような、何ともやるせない事件が続発している。
 
 一方、熊本市の慈恵病院が、そういった事件を未然に防ぐことを目的として「赤ちゃんポスト」を設置したことが話題になった。しかしこれについても、逆にいわゆる“子捨て”を助長することになるのではないかという批判があり、“赤ちゃん”とは言えない3歳児が赤ちゃんポストに預けられたことなども、物議を醸した。

 「赤ちゃんポスト」については、18世紀のフランスで、ほとんど同じような仕組みの「回転箱」と呼ばれるシステムが発達していたという(「回転箱」については木村尚三郎著『パリ―世界の都市の物語』(文藝春秋)に詳しい)。
 当時のフランスは、物質的に決して恵まれた時代ではなかったようだが、それにしても、「子どもを発見し」たはずの当時のフランスで、必要に迫られてこのようなシステムが発達していったというのは、意外な話である(ちなみに、子どもを発見した張本人のルソー自身が、実生活において自らの5人の子どもを養育院に預けたことを、自著『告白』の中に綴っているのは有名な話である)。
 
 そして、物質的にはかつてないほど豊かになったはずの今の日本で、子捨て、嬰児殺しが行われなければならない“事情”とは何なのだろうか。「赤ちゃんポスト」設置の是非を問う前に、もっとよく考えなければならない、根源的な問題がありそうだ。

 

この記事は、『きょういくじん会議』の記事を移転して掲載しているため、文中に『きょういくじん会議』への掲載を前提とした表現が含まれている場合があります。あらかじめご了承ください。
コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2007/7/9 17:35:37
    ルソーって結構過激で面白いですよね。思想も過激だし、生き方も過激。「エミール」とか「告白」とか、拾い読みしたのが懐かしい。
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