- 著者インタビュー
- 教育学一般
まず、「GIGAスクール構想」の推進によって、「ハイブリッドな学び」を行うためのICT環境がようやく整ったということがあります。ほぼ100%アナログな学校現場に、1人1台の学習者用コンピュータや校内高速通信ネットワークといったICT環境が整備されたことで、アナログツールと同じような感覚でデジタルツールを活用することができるようになったのが「いま」だからです。
次に、デジタルツールとアナログツールには、それぞれメリット・デメリットがあるということも大きな理由です。アナログツールと同じような感覚でデジタルツールを活用することができる環境が整ったため、一方のツールのデメリットを、もう一方のメリットで補うような実践をすることが可能となりました。また、それぞれのツールのメリット同士を組み合わせ、これまでは不可能であった実践を創造することもできるようになっています。「GIGAスクール構想」の推進によって教育DXが進んだおかげで、アナログツールのメリットも再評価されているのが「いま」なのです。
草津市では、「New草津型アクティブ・ラーニング」の合言葉として、1人1台端末(GIGAスクール端末)を【文房具】として活用する子どもたちの姿を目指しています。つまり、いつも手元にあって、いつ使うか・どのように使うかを子どもたちが選び、学習したことをデジタルで蓄積するような学習です。
よって、「ハイブリッドな学び」では、問題解決の筋道やツールの活用方法は子ども一人ひとりが主体的に判断し、デジタルツールもアナログツールも自分自身の解決方法に応じて効果的に組み合わせて活用するという姿を目指します。
子どもや教育に関わるすべての人が、自分の役割の中で教育DXを進めていくことが必要だと考えます。「ハイブリッドな学び」を進めるためには、ICT環境整備、高実践事例の創出、日々の授業の中での1人1台端末の積極的な活用等が必要となります。
本書でも触れていますが、国や地方公共団体では、教育DXの方向性を示すこと、ICT環境の充実を担うこと、そのための予算をとることが必要となってきますし、現場の教員は1人1台端末の積極的な活用や好事例の創出などが挙げられます。また、保護者や関連業者も含めた学校外の関係者も教育DXの一翼を担っているという意識をもって、それぞれの立場から子どもたちへ働きかけ続ける姿勢が必要だと考えます。
デジタルツールとアナログツールを効果的に組み合わせた「ハイブリッドな学び」の可能性は無限大です。最初は、それぞれのツールのメリット・デメリットを整理することから始めると、自ずと効果的に組み合わせて実践する必要性を実感することと思います。
デジタルかアナログかという二項対立に陥ることなく、「どちらのツールも使いこなせるし、効果的に組み合わせて問題解決を行うことができる」子どもを育てるために、本書を参考にしながら一つでも多くの「ハイブリッドな学び」を創造しませんか。先進地だけでなく、日本全国すべての自治体・学校・学級でデジタル×アナログの「ハイブリッドな学び」が進められることを、本書と一緒に目指しましょう。