著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子ども達の学びにiPadを!
東京成徳大学中学・高等学校 ICT活用推進部長 / 英語科教諭和田 一将
2021/7/21 掲載
今回は和田一将先生に新刊『iPadでつくる!クリエイティブな英語授業』について伺いました。

和田 一将わだ かずまさ

東京成徳大学中学・高等学校 ICT活用推進部長 / 英語科教諭
国際交流や英語の授業などを通して,多様な価値観の中で活躍できる創造的な人材育成に取り組む。

―このたびは『iPadでつくる!クリエイティブな英語授業』で大変お世話になりました。まず本書では、「iPadを文具として活用する」とあります。こちらはどういうことでしょうか?

 こちらこそ貴重な機会をいただきありがとうございました。iPadを教室で使い始めると「iPadを授業で使わなきゃいけない。」「プログラミングをしなければならない。」など、慌ててしまったり不安になってしまうことがありますよね。本質的な側面を考えてみれば「わからないものを調べ、より学びを深くするツール」という点でiPadも紙の辞書(英和辞典や和英辞典)も大きな違いは無いはずです。大切なのはiPadも筆箱やノートと同じように授業に必要な「学びの道具」であると考え、iPadを使って自由に学べる選択権を子ども達が持てることだと思います。

―「英語授業」に「iPad」を活用していく良さとは、どんなところにあるのでしょうか?

 一般的な英語の教科書は、本文、新出単語、リスニング問題などを含み、英語を「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能についてバランスよく授業を組み立てられるような作りになっています。
 教科書での学びを一通り終えたあと、単元のポイントを活用しながらグループや個人で調べ学習をしたり、創作発表活動を行うことで、生徒達は学習した内容をより深く学ぶことができるようになります。そうした観点からもiPadを使って授業に楽しみながら取り組むことは、子ども達の英語運用能力の向上に密接な関わりがあるはずです。

―書名にもある「クリエイティブ」な授業とは、どんな授業なのでしょうか。先生が大切にされていることなどあれば教えてください。

 これから様々な国籍や人種の人達と一緒に仕事や生活をともにする場面が増えてくる現代の子ども達にとって、「私」自身きちんと知ってもらうこと、「相手」についてより深く知っていくことは、大人になるまでに身に付けるべき社会的スキルです。子ども達がiPadを活用しながらできる対話的で協働的な学びの体験を積み重ねるプロセスこそが大切で、そうした視点をしっかりと持った授業は必然的に「クリエィティブ」な発見や子ども達の成長を見ることができる授業になっていくと感じます。

―受験を控える生徒も多い中学校で、本書のような実践は難しいと考える先生もいると思うのですが、先生はなぜ・どのようにしてこういった時間をつくられているのでしょうか?

 多くの先生方からよく伺う質問ですが、こうした学びを楽しみながら進めることができる子ども達は、受験勉強や資格試験も「自己実現のひとつの手段にすぎない」と自然に認識していきます。
 私が2017年度〜5年間、英語の授業を担当している高校2年生から、今年の第一回英語検定で3人準一級の合格者が出ました。(うち2人は中学から英語を本格的に学習し始めた生徒でした。)
 あらためて資格や模試で高い点数を目的にせず、学び方を選択させ、何のために英語を学習しているのか目的意識と対話を積み重ねていく大切さを痛感した出来事でした。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いします。

 iPadを使うことに囚われすぎず、私達教師個人がどういう子ども達を育てたいのか。目の前の子ども達がどんな大人に成長してもらいたいのか。学校が掲げる教育のビジョンは何なのか。様々な要素を念頭に置きながら、担当する生徒達に必要な要素を柔軟に組み合わせて授業を設計していくことが大切だと感じています。
 なにより、先生達自身が楽しみながらiPadでの授業作りに挑戦してみてください!

(構成:芦川)

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