著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「指導と評価の一体化」を図る学習評価
鳴門教育大学大学院学校教育研究科教授梅津 正美
2021/6/4 掲載

梅津 正美うめづ まさみ

鳴門教育大学大学院学校教育研究科教授。
島根県立高等学校教諭、広島大学附属福山中・高等学校教諭を経て、現職。
主な研究領域は、社会科授業構成論、米国の歴史カリキュラム編成論など。主な著書に、『歴史教育内容改革研究』(風間書房、2006年)、『協働・対話による社会科授業の創造』(東信堂、2019年)などがある。

―目標とする資質・能力を念頭において、地理、歴史、公民の3分野の特質を生かして深い学びにつなげるには、どのような指導が必要でしょうか。

 生徒が、地理・歴史・公民各分野の特質に応じた「見方・考え方」を働かせて知識を習得・活用し、概念化していくとともに、その発展として自分なりの考えを形成したり、新たな価値を創造したりする課題解決的な学習を展開することが望まれます。生徒が「見方・考え方」を働かせるには、教師の指導を通じて、授業の中で、「見方・考え方」を常に意識させ言葉として表現させることが大切です。

―目標に準拠した指導と評価を一体的に進めるためには、どのような取り組みが求められるでしょうか。

 単元における「学習問題−思考・判断・表現の学習過程−学習内容(概念的知識や能力)」の結びつきと流れを明示した単元構造図を作成することが、ひとつの有効な手立てになると思います。教師は、単元構造図をもとに、学習過程のどこで、どのような資質・能力の育成をめざすのか、そうした資質・能力をどのような方法により評価するのか、またどのような時間のスパンで評価するのかについて明確な方略を持つことが鍵になるでしょう。

―「学習改善につなげる評価」のために、どのような取り組みや支援が必要でしょうか。

 「学習改善につなげる評価」として、単元の学習における生徒の思考の働きや思考の結果獲得した知識の質を見取るためには、それらを可視化させる必要があります。そのために教師が作成するワークシートは、特に重要です。思考・判断過程に対応した問いの構成と問いに応じた知識の質の高まりを適切に組み込んだワークシートの作成が求められます。そのようなワークシートは、生徒自身による自己評価や相互評価にも有効です。

―「主体的に学習に取り組む態度」の評価に関して、そのような態度をどのように見取り、評価することが大切でしょうか。

 この観点の評価の核心である生徒による学習の「見通し」と「振り返り」のためには、教師は単元の学習で育成をめざす資質・能力、それを育成する学習活動、そこでの評価の方法について事前に生徒と共有することが大切です。その上で、一人一人の生徒が、自らの資質・能力の伸び、つまずき、つまずきの乗り越え方を、ワークシートの記述や発言の記録、ポートフォリオなどを通じて、生徒自身が把握できるように工夫することが求められます。

―読者の先生方にメッセージをお願いします。

 本書で示した評価事例が、先生方にとって「指導と評価の一体化」のための学習評価の意味と意義をあらためて確認するひとつの契機になれば幸いです。育成をめざす資質・能力を明確に示し、目標に準拠して生徒一人一人の学びの深まりや進歩の状況を積極的に評価し、生徒が学ぶことの意味や有能感を実感できる、そうした学習評価のあり方を、先生方がチーム協働により追求していかれることを期待しております。

(構成:及川)

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