著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
授業力向上のために指導案をつくろう
茨城大学教育学部教授新井 英靖
2020/5/29 掲載

新井 英靖あらい ひでやす

茨城大学教育学部教授
東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程を修了後,東京都立久留米養護学校教諭を経て,2000年より茨城大学教育学部講師となる。2011年に博士(教育学)の学位を取得し,現在,同学部教授。

―本書には「新学習指導要領」とうたわれていますが、このたび改訂された学習指導要領では特別支援学校の知的障害のある子どもの教育がどのように変わったのでしょうか?

 知的障害児の教育は、これまで実生活に活きる体験や経験を重視していましたが、今回の学習指導要領では「資質・能力」を育成することが目指されるようになりました。そのため、新しい学習指導要領では、体験や経験を重視する生活単元学習等の「教科等を合わせた指導」から、「教科学習」を中心に教育するようにシフトしました。

―新学習指導要領のもとでは知的障害児の教科学習をどのように変えていく必要があるでしょうか?

 新しい学習指導要領で重視されている「教科学習」では、さまざまな状況の中でも活用・応用できる「資質・能力」を身につけることが求められています。これは、具体的な体験や経験を通してアクティブに学びながらも、そこで身につけた力がさまざまな場面で汎用的に活用・応用できる力を、です。このように考えると、知的障害児の教科学習においても、「日常生活に必要な力」を授業の目標にするのではなく、生涯にわたって活用できる「資質・能力」を目標にして授業を展開していく必要があります。

―指導案をつくることは教師にとってどんなよさがあるでしょうか?

 学習指導案を書くことで、教師がどのような意図をもって授業をしていこうとするのかを明確にできます。日常生活に必要な力を身につけるために授業であれば、それほど綿密に学習指導案を立案しなくても、具体的な活動を用意すればよいかもしれません。しかし、「育成を目指す資質・能力」を授業の目標にする場合には、具体的な学習活動と目標がどのように結びついているのかが見えにくくなります。こうしたときに、学習指導案を立案することがとても重要になります。

―指導案を立案するときの10ステップが本書にまとめられていますが、その概略を教えてください。

 知的障害児の教育に限らず学習指導案は、「子どもの実態把握」⇒「教材選定」⇒「授業展開」⇒「学習評価」が記載されます。本書では、これらの情報を整理して、知的障害児の教科学習の指導案を立案するときの教師の思考プロセスをていねいにたどれるようになっています。具体的には、「単元名」「児童生徒観」「教材観」「指導観」「単元計画」「目標」「本時の展開」「指導上の留意点」「評価の視点」「カリキュラム・マネジメントの視点」を学習指導案に書き記していくためのポイントと具体例を解説しました。

―最後に…特別な支援を必要とする子どもにかかわられる先生方へのメッセージをお願いします。

 知的障害児の教科学習は、認知課題をひたすら繰り返すようなイメージがある先生も多くいらっしゃるかもしれませんが、教材や授業展開を工夫すれば、教科学習はみんなで、楽しく進めることができます。本書は知的障害のある子どもたちが「またやりやい」と思う国語や算数・数学の授業をたくさん紹介しています。ぜひ子どもたちと教科学習を楽しんでください。

(構成:佐藤)

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