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3年目頃が大きな岐路だと思うからです。道は二つです。一つが、初任者の頃はあんなに毎日必死に過ごしていたのに、3年ほど経って教職に慣れ、学級経営や授業をそこそこ安定させられていることに満足し、努力しなくなる道です。もう一つが、慣れたことに満足せず努力を続け、自分を高めていく道です。ここで重要なのは、恐らく教師全員にどちらの道がいいか尋ねたら、ほぼ全員が後者を選ぶはずですが、知らず知らずのうちに前者の道を辿ることが多いということです。つまり、無自覚的に「慣れ」に埋没していくのです。何を隠そう、私がそうでした(詳しくは本書をお読みください)。ですから、本書の大きな役割の一つは、3年目頃の教師に、自分が今どちらの道に進もうとしているのか「自覚」していただくことだと思っています。
「努力の仕方」です。あることをきっかけとして、3年目の私は「このままではいけない!」と自分の惰性に気づいたのですが、その後が大変でした。このままではいけないけれども、どう努力したらよいのか分からないのです。教育現場は多忙を極めます。そんな中、一見教職に慣れてきて学級も安定しているように見える先生(つまり、本書が対象としている3年目頃の教師ですね)に対して、誰が手取り足取り「次にあなたはこういうことをすべきだよ。その次はこう」と指導してくれるでしょうか。初任者や、学級が崩れかけている先生のサポートで手一杯なのが実状ですよね。つまり、3年目頃の教師は、大きな岐路に立たされているにも関わらず、現場では放っておかれやすいのです。幸い私は、大学からの恩師である石丸憲一先生にご指導いただいたり、群馬の深澤久先生と出会わせていただいたりして、「努力の仕方」を学ぶことができました。しかし、3年目頃の教師全員が、そのようなメンターとの関わりを持てるわけではありません。ですから、本書にはその「努力の仕方」についても詳しくまとめてあります。私が実際に3年目頃に取り組んでいたことなので、きっと参考になると思います。
「井の中の蛙」にならないということです。少しうまくいくことが増えてきて、「あれ、自分ってかなりセンスあるのかな」などと過信してしまうと成長が止まります。研究会やセミナーに参加したり、書籍を読み漁ったりして、全国の素晴らしい先生方の実践や授業に触れてみてください。それがきっと大きな飛躍のきっかけになります。
私も毎日必死です(笑)。「毎日必死に過ごすこと」だけではお答えにならないでしょうから(笑)、自分の経験を振り返ってみたいと思います。
私が、これはよい実践ができたかなというときを振り返ると、事前にしっかり理論を学んだり、教材研究をしたりしていたことに加え、実践を始めてからも子どもの様子をよく見て軌道修正したり、大幅に変更したりするなど試行錯誤していったときだったと思います。事前準備ももちろん大切ですが、子どもをよく見ることが欠かせないと思います。
本書をお読みいただき、「自分を高めていこう!」とか「授業を頑張ろう!」と思っていただければ幸いです。もちろん私も発展途上ですので、先生方に負けないくらいの気持ちで一生懸命取り組んでいきたいと思っています。コロナ禍により、本書で高めたモチベーションをなかなか実現するのが難しい状況が続いておりますが、必ず日常は戻ってくると信じて、今はそれぞれが置かれた場で、子どもたちのためにできることをやっていきましょう。先生方も体調を崩されないよう、くれぐれもご自愛ください。ありがとうございました。