著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
日々の努力が報われる先生になるために
一般社団法人教育デザインラボ代表理事石田勝紀
2020/3/5 掲載
 今回は石田勝紀先生に、新刊『子どもを伸ばす教師の戦略 学校の常識は世間の非常識?』について伺いました。

石田 勝紀いしだ かつのり

一般社団法人 教育デザインラボ 代表理事。1968年、横浜市生まれ。20歳で起業し学習塾を開設。これまで3,500人以上の生徒を指導する傍ら、講演会、セミナーなどを通じて5万人以上の子どもたちを指導してきた。34歳で、市立中高の常務理事に就任し、教育改革を実践。現在は「日本から勉強嫌いな子をひとり残らずなくしたい」という理念のもと、カフェスタイル勉強会「Mama Café」を年間100回以上主催。『東洋経済オンライン』での人気教育連載コラムは、累計8,100万PVを記録している。主な著書に『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』(集英社)、『中学生の勉強法』(新興出版社啓林館)はじめ、多数の書籍を出版している。

― 石田先生はこれまで、保護者向けの本を、数多く出版されてきました。学校の先生方向けの書籍は今回がはじめてになりますが、本書のねらいと読み方について教えて下さい。

 本書のねらいは2つあります。1つは、安心をして頂きたいということです。崇高なお仕事である教師を目指され、今も先生としてご活躍されている方の志が正しいものであったということを再確認して頂きたいということです。もう1つは、衝撃を受けて頂きたいということです。20世紀型の考え方、あり方だけでなく、21世紀型の考え方、あり方へとアップデートしていく必要があるということです。すでにアップデートされた子どもたちを指導する側がいつまでも古い体質であれば、指導はできないという数々の事例をご覧頂き衝撃を受けて頂きたいと思っています。

― 本書は「子どもを伸ばす」ことがテーマですが、先生は本書の中で、「価値観の多様化に対応した指導が大切」であることを述べられています。この点について教えて下さい。

 これまでも時代ごとによって価値観は変化してきましたが、現在ほど価値観が多様化した時代はなく、人類がかつて経験をしたことがないレベルの価値観転換時代と言われています。簡単に言えば、画一的指導はもはや終焉したということです。集団を扱う教師は個別指導体制をとることはできないと思われがちですが、教師が「考え方」を変えるだけで、多様な価値観を持つ子どもたちへの指導は可能なのです。最大の問題は、教師の「価値観の転換」なのです。これがなされないと、自己満足の授業は展開できても、子どもたちのためになる授業を行うことは難しいでしょう。

― 第2章・第3章では、言葉がけの実例として、「子どもの自己肯定感を引き上げるマジックワード」をご紹介いただいています。本書でも詳しく解説いただいていますが、言葉の選択によって、どのような違い・変化が生まれるのでしょうか。

 言葉が持つ力が計り知れないということはよく知れていることです。しかし、その重要な影響を与える言葉を安易に使ってしまうことが少なくありません。例えば、プラスの言葉を使うか、マイナスの言葉を使うかによって何が変わるかと言えば、相手の行動が変わります。口で行動することを促しても効果がないということは、「語っている言葉」に問題があるのです。どうせ使う言葉であれば、子どもたちが自主的に行動するような言葉を使うに越したことはありません。そのような行動変容が起こる10の言葉を紹介しています。

― 本書の4章・5章では、「学校“常識”の謎」として、学校で常識とされていることについて、疑問点を挙げながら、それをより良い形に更新して考えていく方策を提案されています。その中で、「勉強の仕方を教えない」というものがありますが、この点について教えて下さい。

 教師である皆さんは子どもの頃、「勉強方法」を学校で教えてもらったことはあるでしょうか。これまで行ってきた全国の保護者、子どもたちへのヒアリング調査では、ほとんどが「ない」という回答でした。さらに、覚えてきなさいと言われ、「覚え方」を教わったでしょうか。このように、知識や解き方を教えても、学び方、覚え方について教えないという「謎」があるのです。一部の勉強ができる子だけが知っている方法が世に広まることはありません。方法を教えないのに、勉強をやらせるという現状があり、その結果、子どもたちは勉強を放棄するか、丸暗記するか、適当にやっておくかのいずれかになるのも無理はありません。そのような、数々の学校教育の謎について、あらためて考えて頂きたいということで2つの章に分けて書きました。

― 最後に、読者の先生方へ、メッセージをお願い致します。

 本書に書いてあることは、おそらく先生方はこれまで聞いたことがないことでしょう。具体的な指導方法の提示という本が世の中には多いかと思いますが、明らかに本書はそれらとは一線を画しています。なぜなら、本書は教師向けの本ですが、教師の目線で書かれた本ではないからです。どちらかと言えば、子ども目線で書いています。

 学校や先生に対して不信感を持ったり、違和感を持ったりしている保護者の方や子どもたちは少なくありません。しかし、一方で、先生という職業は崇高なお仕事です。尊敬されるべきお仕事です。ですから、先生は、一つ一つの日々の努力が報われないといけないと考えています。そこで、先生たちが、本書を読んで、安心でき、また明日、早く学校へ行って子どもたちを指導したいと希望が持てるような本に仕上げたつもりです。先生たちが、日々楽しめれば、授業も変わり、子どもたちも変わります。そして、一人の人間としての先生も幸せな人生を送って頂きたいと願って本書を書きました。

(構成:及川)

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