- 著者インタビュー
- 教師力・仕事術
本書のねらいは2つあります。1つは、安心をして頂きたいということです。崇高なお仕事である教師を目指され、今も先生としてご活躍されている方の志が正しいものであったということを再確認して頂きたいということです。もう1つは、衝撃を受けて頂きたいということです。20世紀型の考え方、あり方だけでなく、21世紀型の考え方、あり方へとアップデートしていく必要があるということです。すでにアップデートされた子どもたちを指導する側がいつまでも古い体質であれば、指導はできないという数々の事例をご覧頂き衝撃を受けて頂きたいと思っています。
これまでも時代ごとによって価値観は変化してきましたが、現在ほど価値観が多様化した時代はなく、人類がかつて経験をしたことがないレベルの価値観転換時代と言われています。簡単に言えば、画一的指導はもはや終焉したということです。集団を扱う教師は個別指導体制をとることはできないと思われがちですが、教師が「考え方」を変えるだけで、多様な価値観を持つ子どもたちへの指導は可能なのです。最大の問題は、教師の「価値観の転換」なのです。これがなされないと、自己満足の授業は展開できても、子どもたちのためになる授業を行うことは難しいでしょう。
言葉が持つ力が計り知れないということはよく知れていることです。しかし、その重要な影響を与える言葉を安易に使ってしまうことが少なくありません。例えば、プラスの言葉を使うか、マイナスの言葉を使うかによって何が変わるかと言えば、相手の行動が変わります。口で行動することを促しても効果がないということは、「語っている言葉」に問題があるのです。どうせ使う言葉であれば、子どもたちが自主的に行動するような言葉を使うに越したことはありません。そのような行動変容が起こる10の言葉を紹介しています。
教師である皆さんは子どもの頃、「勉強方法」を学校で教えてもらったことはあるでしょうか。これまで行ってきた全国の保護者、子どもたちへのヒアリング調査では、ほとんどが「ない」という回答でした。さらに、覚えてきなさいと言われ、「覚え方」を教わったでしょうか。このように、知識や解き方を教えても、学び方、覚え方について教えないという「謎」があるのです。一部の勉強ができる子だけが知っている方法が世に広まることはありません。方法を教えないのに、勉強をやらせるという現状があり、その結果、子どもたちは勉強を放棄するか、丸暗記するか、適当にやっておくかのいずれかになるのも無理はありません。そのような、数々の学校教育の謎について、あらためて考えて頂きたいということで2つの章に分けて書きました。
本書に書いてあることは、おそらく先生方はこれまで聞いたことがないことでしょう。具体的な指導方法の提示という本が世の中には多いかと思いますが、明らかに本書はそれらとは一線を画しています。なぜなら、本書は教師向けの本ですが、教師の目線で書かれた本ではないからです。どちらかと言えば、子ども目線で書いています。
学校や先生に対して不信感を持ったり、違和感を持ったりしている保護者の方や子どもたちは少なくありません。しかし、一方で、先生という職業は崇高なお仕事です。尊敬されるべきお仕事です。ですから、先生は、一つ一つの日々の努力が報われないといけないと考えています。そこで、先生たちが、本書を読んで、安心でき、また明日、早く学校へ行って子どもたちを指導したいと希望が持てるような本に仕上げたつもりです。先生たちが、日々楽しめれば、授業も変わり、子どもたちも変わります。そして、一人の人間としての先生も幸せな人生を送って頂きたいと願って本書を書きました。