著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
「先生誘導型」の授業を脱却し、「生徒探究型」を目指そう!
愛知県一宮市立浅井中学校長山田 貞二
2019/6/17 掲載
 今回は山田貞二先生に、新刊『中学校 道徳の授業がもっとうまくなる50の技』について伺いました。

山田 貞二やまだ ていじ

1961年岐阜県羽島市生まれ。愛知教育大学卒業後,昭和58年より愛知県公立学校教員として,小学校11年,中学校24年勤務。平成11年1月にはNHK「のど自慢」に出演。これが人生の転機となる。2011年より一宮市立大和中学校校長。“荒れた学校”にて道徳を中心に学校の再生を目指す。2014年度から2年間,つくば教員研修センターの中央研修で学校経営組織マネジメントについて実践発表。2015年度から2年間は愛知県教育委員会義務教育課主席指導主事として道徳教育を担当。2017年度より一宮市立浅井中学校校長。現在に至る。

―本書の第1章(楽しい道徳授業のベースづくり)において、「『教え惜しむ』姿勢をもつ」ということが書かれています。これは、具体的にどういうことでしょうか。

 「教え惜しむ」というのは、教師から答えを生徒たちに教えてしまうのではなく、生徒たち自身が、試行錯誤しながら答えを見つけていく活動を大切にする、ということです。道徳では、教師が意図する一つの答えに生徒を誘導していくような授業がよく見られます。そうではなく、教師も一緒に考えながら、生徒たち自身に「納得解」をもたせることが大切です。つまり、答えが一つの「先生誘導型」の授業ではなく、生徒自身が納得解を見つける「生徒探究型」の授業を目指すということです。

―本書では、対話を中心とした「考え、議論する」道徳授業づくりの技もたくさん紹介されています。生徒同士の対話で進めていく授業づくりには、難しさを感じている先生も多いと思いますが、うまくいくポイントをずばり一つ教えてください。

 「聴く」姿勢をつくる、ということです。対話というと、どうしても「話す」ことを中心に考えてしまいますが、それ以上に大切なのが、「聴く」姿勢をつくるということです。本書の中でも触れていますが、基本はペアでの学習です。対話を中心に授業づくりを考えていらっしゃる方は、まずペアでの対話づくりから取り組んでみてください。相手の話をうなずきながら、共感しながら聴くことをまず試みてください。ほんの3分でいいのです。積み重ねによって、「聴く」ことを意識するようになります。慣れてきたら、話題を広げる「オープン・クェスチョン」を使って質問をする練習をさせてみましょう。話し手は、さらに深く話をするようになりますよ。これが対話づくりのベースとなります。

―道徳授業では、拡散した議論をいかにして収束させるのかというのも、先生の腕の見せ所だと思います。本書では、そのことにかかわって補助発問の重要性が繰り返し述べられていますが、具体的にどうすればよいのでしょうか。

 中心発問で多様な考えが出されます。この段階では、生徒たちの道徳性は高まっていません。道徳性を高めるためには、生徒たちの考えに「ズレ」を引き起こすような発問をしなくてはなりません。これが補助発問となります。「ズレ」というのは「葛藤」や「驚き」「違和感」等を指しています。中心発問で出された多様な考えを学級全体で整理し、考え方の相違や疑問点、詳しく知りたいことなどを生徒たちと一緒に考えていきます。その際には、できる限り、生徒たちの今もっている考えを揺さぶるような発問が必要とされます。この「揺さぶり」が道徳性の高まりにつながっていきます。

―最後に、読者の先生方に向けてメッセージをお願いいたします。

 「うれしい、楽しい、道徳大好き!」
 これは、私は、研修会や講演会で先生方にお話する際にいつも使っているテーマです。道徳の授業を「苦しい」「難しい」と考えられる先生方が多くいらっしゃいます。生徒たちに教えようとすると苦しくなります。「一緒に考えよう」という発想の転換をすると随分と気が楽になります。本書では、先生方をこの「苦しさ」から解放するための50の技を紹介しています。この技を参考にしていただくことで、道徳が「おもしろい」「楽しい」と思っていただけることを願っています。生徒たちと一緒に創り上げていく授業の「うれしさ」をぜひ多くの方に体験していただきたいと思います。

(構成:矢口)
特集 「特別の教科 道徳」
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