著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
英語が苦手でも『学び合い』なら大丈夫! 外国語から始める主体的・対話的で深い学び
和歌山県海南市立亀川小学校教諭橋本 和幸
2019/2/15 掲載

橋本 和幸はしもと かずゆき

1980年、和歌山県生まれ。大阪府の公立小学校で6年勤務した後、和歌山の公立小学校に転勤。2011年に『学び合い』と出会い実践を進める。2015年から2年間、現職派遣として上越教育大学教職大学院で学ぶ。在学中は、西川純教授のもと、全国各地から依頼があった小・中学校で『学び合い』の出前授業や職員研修などを行い、教職大学院修了後の現在も引き続き活動を続けている。また、『学び合い』和歌山の会の代表を務め、主体的・対話的で深い学びを実現するための授業サポートも行っている。

―「小学校で英語教育を行う際、重要なことは何か」というアンケートで、9割以上が「英語に対する抵抗感をなくすこと」「英語の音やリズムに触れたり、慣れたりすること」「外国の人と交流すること」が重要だと考えている、という結果もあるようです。外国語・外国語活動において、『学び合い』はどのように有効でしょうか。

 『学び合い』目標とゴールをより具体的に示し、学習を子どもたちに任せるのが特徴です。学習を任せると、子どもたちの発話量はかなり増えます。一見、自由に会話をして外国語とは関係がない会話のように聞こえますが、よく聞いてみると、友だちに聞いて何度も発音の練習をしたり、友だちにアドバイスをしたりしているなど、外国語に関するものが中心です。また、教師主導で学習を進めるときよりも分からないことを聞きやすい雰囲気になり、自分のペースで学習を進めることができるので、英語に対する抵抗感の軽減に有効です。

―本書は、小学校の外国語活動・外国語において、主体的・対話的に学習するために、3・4年生『Let's Try!1・2』各35時間、5・6年生『We Can!1・2』各70時間の中から『学び合い』で学習を進めることが可能な部分を選んでまとめた実践集ですが、初めて『学び合い』に取り組む際、どのようなことに気をつければよいでしょうか。成功のポイントがあれば、教えてください。

 子どもたちに学習を任せると、「子どもたちだけで大丈夫か」「ちゃんと学習しているのか」など、不安に思う部分ばかりに目がいきがちですが、よいところや当たり前のことをきちんとできているところを意識して見るようにします。例えば、英語を発話している姿、友だち同士で関わろうとしている姿、分からないことを友だちやALTに聞いている姿、遊ばないで学習に取り組んでいる姿などです。教師が「いいな」「がんばってるな」「すごいな」と思う言動を積極的に褒め、価値づけしていくことが大切です。子どもたちが学習している様子を実況中継するような感じで、周りに聞こえるような声でどんどん声かけしていきましょう。
 学習中に見えた気になることは、終わりの語りで改善することを求めます。このときも、気になることばかり伝えても、集団はよい方向に向かいません。その時間のよかったことをできるだけたくさん伝えた後、気になることを1つぐらい伝え、次の『学び合い』の時間に改善することを期待しましょう。そして、改善してほしいことは、次回の最初の語りでもう一度伝えると効果的です。

―本書は、見開き2ページで授業1時間分の形で、左ページは本時のめあて、手だて、すること、ゴール、振り返りからなる児童配付用のシート。右ページはねらい、授業の流れと声かけのポイント、評価の文例からなる教師用シートの形で、すぐに授業に生かせる形で構成されていますが、本書のおすすめの活用の仕方について、教えてください。

 左側は毎回子どもたちに配付し、振り返りに対してコメントを書いた後ファイリングしていき、右側の教師のすることは、1時間いつでも確認できるようにします。まずは、書かれているとおりに実践してみましょう。
 活動中に見える子どもの言動は、あくまで例なので、クラスの状況、目指すクラスの姿によって変わってきます。その時間の教師の声かけだけでなく、他の単元や学年の声かけ例も参考にすると、声かけのバリエーションが広がります。
 本書は比較的『学び合い』を実践しやすい部分をピックアップしていますが、その時間に至るまで学習の状況は様々です。書かれているすべての時間を、無理に行う必要はありません。「ここなら子どもたちに任せても大丈夫そう」と思ったところから始めてみましょう。

―本書の大きな特徴の一つに、児童用シートにある学習面と行動面に分けられた「ふりかえり」記入欄と、通知表で使える評価の文例と評価の観点があります。子どもたちの育ちのとらえは、このような活動において一番難しく、大切になってくる部分だと思いますが、どのように生かしていけばよいでしょうか。

 学習面では、今日のめあてに対して自分の学習はどうだったかを書かせます。そうすることで、子どもたちの学習状況が把握でき、次回の指導に生かすことができます。
 また、『学び合い』には、「一人も見捨てず全員達成をする」ことを求めることで、学習活動と集団づくりを同時に行うという特徴があります。特に行動面の振り返りは、集団づくりにおいて重要です。今日の行動から「一人も見捨てずに全員達成するにはどうしたらよいか」を振り返らせ、次回実行することで集団における課題をみんなで乗り越えていく体験を積み重ねていきます。
 なお、子どもたちの振り返りに対しては、簡単でいいので、「次回もみんなのためにがんばろう」という気持ちになれるようなコメントを書いてあげるといいですね。

―最後に、本書を手にとっていただいた読者の先生方へ、メッセージをお願いいたします。

 外国語・外国語活動はもともと、コミュニケーション活動が多く、『学び合い』を始めるには適しています。教師が授業中、英語を話して子どもたちをリードし続ける必要もありません。英語が苦手と思っている人、英語の発音に自信がない人でも『学び合い』なら大丈夫です。子どもたちの様子を見取りながら一緒に活動に参加し、子どもたちとの対話を楽しんでほしいと思います。そうすることで子どもたちとともに成長でき、「外国語の授業をしなければ」という精神的負担の軽減にもつながると思います。

(構成:及川)

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