- 著者インタビュー
- 学級経営
本書は、社会で後天的につくられた「女子的気質」に目を向け、学校という社会で生きる高学年女子を捉え直し、その上で女子とどうかかわり指導するかを提案しています。「なるほど」で終わるのではなく、女子との良好な関係性を築くにはどうすればよいかを、それぞれが考えながらお読みいただければと思います。
最も大きな違いは、女子の攻撃性は裏に隠れるということです。男子は怒りを表に出すため、殴ったり蹴ったりして他者を攻撃します。一方、女子は「かわいい方が女子らしい」といった社会的概念がリミッターとなり、暴力ではなく、悪口や仲間外しといった陰険な方法で攻撃します。よって、周りから問題が見えにくくなり、それが指導を複雑にするのです。
最終的には、「私は私として生きていく」という意識をもたせることだと思います。そのためには、自分を愛する気持ちを育てなくてはいけません。他と違う私、醜い心をもった私も「私」として受け入れていく、そんな心持であることが大事だと思います。「グループ化はよくない」といった頭ごなしで一辺倒な指導ではなく、女子のできなさや醜さに寄り添う姿勢でかかわることが大事だと考えます。
「自立性」「協調性」の2軸で、女子を4つに分類してみました。どちらも備えているのがいるか、協調性が目立つのがひつじ、自立性が顕著なのがおおかみ、どちらも不足しているのがくじゃくと分類しました。その特徴を知ることで教師とのかかわり方や育てるポイントを、相互の力関係を知ることで学級集団の中での見取りのポイントを整理しています。ご自分の学級に合わせて応用いただけると思います。
女子指導に限りませんが、どの子も大事な存在であるという大前提を忘れないことです。そして、保護者の努力や心遣いに目を向け、寄り添える言葉を伝えることです。保護者に対するリスペクトの気持ちがあれば、自然と日頃の感謝の言葉が出てくるでしょう。そうしたかかわりが保護者(とりわけ母親)への勇気づけになり、穏やかな気持ちで高学年女子に接することにつながるのではないでしょうか。
本書のゴールは、「上手に高学年女子を指導すること」ではありません。私たち教師が楽をするため、自己実現するためではなく、高学年女子が自分を誇りに思い、自分らしく生きていける力をつけることが私たちの仕事です。ときに悩み、立ち止まる高学年女子に寄り添い、励まし、見守り、彼女たちが笑顔で生きていけるようなかかわりができれば最高です。本書がその一助になれば幸いです。