著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
特別支援教育の視点をもとう
特別支援教育コーディネーター田中 博司
2018/4/11 掲載
  • 著者インタビュー
  • 学習指導要領・教育課程
今回は田中博司先生に新刊小学校 新学習指導要領 特別支援教育の視点で授業づくりについて伺いました。

田中 博司たなか ひろし

1970年生まれ。東京都公立小学校教諭。
通常の学級担任。
特別支援教育コーディネーター。
東京コーディネーター研究会研究部長。
授業づくりネットワーク理事。

―『小学校 新学習指導要領 特別支援教育の視点で授業づくり』刊行おめでとうございます。本書は新学習指導要領における特別支援教育の視点に注目したご本とのこと。どのような切り口で新学習指導要領を読み解かれているのでしょうか。

 今回の学習指導要領では、特別支援教育の充実が、特色の一つになっています。実施から10年以上過ぎた特別支援教育が、より学校現場に浸透してきていることの現れだと思います。
 本書では、それを現場の一教師の視点で読み解き、教室の子供たちの姿と結び付けられるようにしました。

―特に今回は「第3章 特別支援教育の視点で教科指導へのアプローチ」の章で教科ごとの指導・支援を整理されています。ここは学習指導要領でも大きく変わったところなのでしょうか。

 全ての教科において、発達障害を含む障害のある児童などへの配慮が示されました。教室にいる子供たちの学びの在り方が、どの子も同じではないということを、私たち現場の教員が、全ての教科、全ての授業において意識しなければいけないということが示されたのだと考えています。そうした前提の中で、実際の授業でできること、気にしておきたいことを本書に書きました。

―先生ご自身、特別支援教育コーディネーターでいらっしゃり、通常の学級の担任もされていますが、各教科の授業の中で、苦手さのある子のために、工夫されていることがありましたら一つ教えてください。

 教室には、いろいろな子がいますから、全員が同じ目標にたどりつくことができないこともあります。でも、どの子も授業の中で「楽しい」や「わかった」「できた」という思いがもてる機会を作りたいと考えます。そのためには授業の中でどんな工夫をすればいいかを考えてきました。本書の第2章に書いているような工夫です。

―では今度は、苦手さのある子どもも一緒にみんなでいいクラスをつくるために全体に工夫してされていることを1つ教えてください。

 子供同士の関係をつなぐことです。そのために言葉づかいや一人一人の学級における役割づくりなどについては、特に意識しています。ただし、関係があまり強すぎると、合わせなければならない、同じようにしなければいけないと思って苦しくなることもあります。違いも認め合えるようなゆるやかな関係性がいいなと感じます。

―本書に興味を持ち、取り組んでみたいとお考えになる先生にぜひメッセージとエールをお願いいたします。

 本書を読んでくださる多くの先生方と同様に、私自身も、一人の通常の学級の担任です。学習指導要領の改訂を機会に、私たち担任の前にいるたくさんの子供たちと、これまで特別支援教育に関わってきた方々の思いとを、本書を通してつなぐことができたらいいなという思いで書きました。本書が、教室の先生や子供たちの笑顔を増やす役割を担うことができたら幸いです。

(構成:佐藤)

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