著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
学級通信は帰りの会で声に出して読もう!
広陵町立広陵西小学校土作 彰
2017/9/28 掲載

土作 彰つちさく あきら

1965年大阪府八尾市生まれ。
1990年より奈良県の小学校教員となる。初任者のときに学級が上手くいかず,打開策を求めて全国のセミナー行脚を始める。10年目までとにかく授業ネタの収集に明け暮れるが,何かがたりないと気づく。
2001年に群馬の元小学校教師深澤久氏の学級を参観し衝撃を受ける。以来,教師に必要な「哲学」論を研究。
「子どもを伸ばしてこそ教師」とアツく情熱的な指導を続けてきている。

―土作先生は、帰りの会で学級通信を読んでいらっしゃるとのこと。それはまた、なぜなのでしょうか。

 子どもたちのモチベーションを高めるためです。「フィードバックの可視化」です。例えばいくら子どもたちが素敵な行いをしても、その場で褒める(=音声によるフィードバック)だけではその事実はすぐに忘れ去られます。それではもったいない!「宝物」をみすみす捨ててしまうようなものです。学級通信として文字化=可視化し、子どもたちに提示することで子どもたちの心の中に「このクラスにはこんな素敵な言動が存在するのだ。自分もやってみよう。」という気持ちを持たせることが可能になります。フィードバックを可視化し続けることが学級経営成功の秘訣とも言えます。
 

―先生は学級通信をどのくらいの間隔で刊行されているのですか? また、主に内容はお話以外にどんなことを掲載されていますか?

 その年によって違いますが、基本的に毎日です。1日中子どもたちと過ごしていて、何も書くことがないなんてことはあり得ません。子どもとは勿論のこと保護者とも共有したい内容を掲載していきます。子どもたちの素敵な言動であったり、授業中の様子であったり、自分の教育観であったりします。いわば自分の実践に対する説明責任とも言えますね。

―学級通信を刊行するメリットは何でしょうか?

 1つ目は「子どものモチベーションアップ」です。これについては「Q1」でお答えした通りです。2つ目は「保護者との信頼関係構築」です。内容そのものに共感して下さることも多いですが、学級通信を出すという教師に対して保護者は「先生は忙しいと世間では言われているのに、今年の担任の先生は労力かけてしっかりやってくれている」と思ってくれるものです。3つ目は「自分の実践の振り返り」です。自分自身の教師としての成長を願うなら、現時点と過去という2点における自分の実践の記録が必要になります。実践記録そのものを逐一ストイックに残していくのはなかなか難しいですが、学級通信を保護者向けの実践記録として書いていくというのであれば続けられます。今も初任時代の通信を読むことがありますが、まさに赤面の至り!恥ずかしくもあり、またその頃の自分の未熟さが可愛くもあります。そして「よおし!さらに高みを目指そう!」という気持ちになれますね。自分なりの成長を確認できることは教師自身のモチベーション維持のために大切なことなのだと思います。

―本書には、学級通信に掲載し、また読み上げてもらえたらいいなぁというお話が74掲載されているとのことですが、その中から、秋深まる今の時期におすすめのお話がありましたら概要をご紹介いただけないでしょうか。

 秋は中だるみする時期でもあります。そろそろ「荒れ」が顕在化してくる頃でもあります。特に荒れている学級の多くにはいじめが蔓延るもの。そこで「全力投球するクラスにいじめは起きにくい」をおすすめします。これは「いじめの起きにくい体質をつくるには普段から要所で手抜きを許さないことだ」という主張です。手抜きは傍観者を生むからです。当事者意識を希薄にしてしまいます。そこで「やる時はやろう!」というメッセージを子どもや保護者に送ります。それで「いじめ」を生みにくい環境を作ることができます。
 本書は学級通信を時系列に編纂していますから、この他にもタイムリーなお話をいつでも引きだせるメリットが「ウリ」です。

―本書に興味をもってくださった先生方にメッセージをお願いします。

 本書はもともと「毎日子どもたちの心に響くお話を集めよう」というコンセプトで書き始めたものです。ですから学級通信を出さない先生にも子どもたちへの説話集としてお役に立てて頂けます。まもなく道徳が教科化されます。持論ですが道徳教育が週1回の道徳授業だけで道徳教育全体が何とかなるなど妄想に過ぎません。それより日々の教育活動の中でいかに道徳教育を行うかが重要です。本書のお話を1日1つ紹介すれば毎日の道徳「授業」が可能となります。また題材はほぼ全てが子どもたちの実態からスタートしていますので、子どもたちの心にストンと落ちやすい。まさに道徳教育の「要」となりえます。毎日の学級経営の中で子どもたちをよりよく導いていきたいものですね。

(構成:佐藤)

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