- 著者インタビュー
- 算数・数学
今回の学習指導要領の改訂に際しては、小・中・高等学校教育を通じて育成を目指す資質・能力を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」の三つの柱に沿って明確化し、各学校段階を通じて、実社会との関わりを意識した数学的活動の充実等を図っていくことが強調されています。また、これまで学校での学びを中心に展開してきた算数・数学の学びについて、地域社会等の活力を生かし、児童生徒の数学的に考える資質・能力をより確かで豊かに育成していくことも要請されています。本書は、このような資質・能力は具体的にどのようなことで、どのように育成・伸長を図るかについての一つの案を提示しました。
「対話」と「振り返り」を大切にしてほしいと思っています。
「正解」がわかっている人とそうではない人が話し合うのは、本当の「対話」ではないと考えています。互いに考えを出し合い、その考えの根拠や背景にある価値観を問い、問題の解決に向かっていく、そんな「対話」を大切にしてほしいです。
また、1つの学年の間に、本書のような授業を行える機会には限りがあります。子どもの学びを、点から線にしていくために、どんなことを学んだかや、同様の考え方ができそうな場面を考えさせるなどの「振り返り」を大切にする必要があります。
本書で「真の問題解決能力」として焦点を当てた「数理科学的意思決定能力」は、長期的に育成を図っていく必要があります。それには、学年や学校種によって代わる教師が、互いの実践をつないでいく必要があります。その意味では、本書を参考に、読者のみなさんが新たな実践をされ、それを共有していくことでこそ、私たちのめざす教育が実現すると言えます。一人ひとりの教師から学校全体へ、また小学校から中学校、中学校から高校へと実践の輪が広がっていくことを願っています。その意味で、小学校の先生は中学校編の授業プランを、中学校の先生は小学校編の授業プランをご覧いただけるとよいと思っています。