著者インタビュー
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余裕が生まれると、教師生活はもっと豊かになる!
京都文教大学准教授大前 暁政
2016/8/19 掲載
  • 著者インタビュー
  • 教師力・仕事術

大前 暁政おおまえ あきまさ

岡山大学大学院教育学研究科修了後、公立小学校教諭を経て、2013年4月京都文教大学准教授に就任。教員養成課程において、教育方法論や理科教育法などの教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、その可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、現場と連携し新しい教育を生み出す研究を行っている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。

―ズバリ、「時間術を学ぶ目的」とは何でしょうか。

 時間術を学ぶ目的は、大きく2つあります。
 
 1つは、「時間を生み出す工夫」を知るためです。
 時間は、生み出すことができます。
 同じぐらい多くの仕事を抱えているのに、ある人は余裕で日々を過ごし、ある人は忙しくしている。
 その明暗は、「時間を生み出す工夫」を知っているかどうかで分かれるのです。

 2つめは、「時間の上手な使い方」を知るためです。
 時間を生み出しても、使い方が下手だと、結局その時間は無駄になってしまいます。
 実は、この2つめの要素を教えてくれる本はあまりありません。
 
 本書はどちらの要素も大切にし、様々な工夫を紹介しています。

―ただでさえ忙しい新年度、新学期のはじめには、「会議の時間が惜しい…」と思う先生が多いと思います。この会議の時間を有意義なものにするよい方法はないでしょうか。

 会議をはじめとした拘束時間の使い方は大切です。
 内職はしませんが、その会議に沿った仕事を終わらせていくようにします。私の場合、拘束時間にできる仕事は、その拘束時間にしかしない、と決めています。
 例えば、新年度に職員会議があるなら、あらかじめ、その職員会議の議題に沿ってできる仕事を考えておきます。
 そして、会議の提案に沿ってその場でできる仕事をやってしまうことで、拘束時間を有効に活用しているのです。

―大前先生は、校務分掌を学校で最も多く担当していたにもかかわらず、「忙しいのに、どうして子どもと遊ぶ余裕があるの?」と聞かれるほど、子どもとのコミュニケーションにもしっかり時間をかけていらっしゃったそうです。いつ、どのように、子どもとコミュニケーションをとっていたのでしょうか。

 大切なのは、「自分のやりたいことに時間を割く」という考え方です。
 私の場合は、子どもとコミュニケーションをとる時間がとても大切だったので、それに時間を割くことにしました。
 そこで、あらかじめ「休み時間は子どもと過ごす」と決めたのです。子どもと遊ぶ時間を「予約」したわけです。
 そして、「今日はこの集団とコミュニケーションをとったから、明日は別の集団…」といったように、コミュニケーションのとり方も工夫しました。

―新しい教材や授業をつくってみたいと思う先生はたくさんいらっしゃるはずですが、時間的なことを理由にそれを断念している方が多いと思います。そんな先生方へ、今まで様々な新しいことにチャレンジしてこられた大前先生から、アドバイスをお願いいたします。

 新しい教材や授業づくりなど、創造的な仕事に対する時間の使い方は難しいものです。
 「とりあえず考えてみよう」と動き出したものの、よいアイデアが1つも浮かばず、時間を無駄にしてしまった、ということがないでしょうか。
 本書では、そういった事態に陥らないようにするための様々なアプローチを紹介していますが、1つの考え方として、「創造的な仕事は寝かせる」という発想が非常に大切です。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 今の学校現場には余裕がない、とよく言われます。
 確かに、学校では突発的な仕事が数多く発生します。
 ただでさえ予定が詰まっているのに、そこに突発的な仕事が加わり、さらに余裕がなくなるのです。
 しかし、余裕のある教師も確かにいます。
 しかも、数多くの仕事をこなしながら、余裕たっぷりなのです。
 その工夫を本書から探り出し、1つでも多く活用してみてください。
 余裕が生まれると、教師生活は豊かなものになります。

(構成:矢口)
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