著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
主体的・対話的で深い学びのある数学の「よい授業」をつくろう!
北海道教育大学教授(旭川校)相馬一彦
2016/8/1 掲載
 今回相馬一彦先生に、新刊『数学教育選書 理論×実践で追究する!数学の「よい授業」』について伺いました。

相馬一彦そうま かずひこ

北海道教育大学教授(旭川校)

―書名にもなっている「よい授業」についてですが、まずは、先生が数学の「よい授業」に着目したきっかけを教えてください。

 ひとつは,参観した先生が「よい授業だった」と評価しても,「どこがよかったのか」を話していくと,互いに異なることを考えていたということが多くあることです。もうひとつは,海外の先生から「日本の数学のよい授業とは?」と問われて明確に答えられないことに気づいたことです。

―1章(理論編)は3人の先生による「よい授業」論となっていますが、どのような視点での理論が紹介されていますか? 簡単にご説明ください。

 それぞれ異なる視点から数学の「よい授業」を追究しました。相馬は本書でまとめた「よい授業」について授業例をもとに具体的に述べ,國宗は先行研究もふまえて生徒の主体的・探究的な活動を検討し,二宮は日米の授業比較研究もふまえて規範的側面について考察しています。

―2章(実践編)では数学の「よい授業」の27事例が学年・単元別に紹介されています。この部分はどのように活用してほしいと思いますか?

 13名の先生方が「よい授業」を紹介しました。各授業例のはじめには,【「よい授業」を行うための3つの要件】について,授業前に検討したことを具体的にまとめています。「よい授業」をつくるために,特にこの3つの要件に着目し,授業づくりに活用してほしいと思います。

―本書で紹介する「よい授業」は自然と主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)の視点が入った授業になっていますが、ALと「よい授業」との関連についてどのように思いますか?

 本書では,「よい授業」のひとつの柱として,「生徒が主体的に取り組み,考え続けている授業」を挙げています。このような数学の授業は,ALそのものです。目新しいものではありません。これまで日本の数学で実践されてきた「よい授業」を一層充実させていくメッセージとしてALを受け止めたいと思います。

―最後に全国で数学授業に関わっている先生方に一言メッセージをお願いします。

 3名の編著者と2章(実践編)の執筆者は,3年間の研究の中で互いに授業を参観し,議論を繰り返しながら数学の「よい授業」を追究してきました。その中で,改めて確認できたことや新たな発見も多くありました。数学の「よい授業」を求めて,「授業そのもの」を対象とした研究や実践を継続していきましょう。

(構成:木山)
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