- 著者インタビュー
- 理科
今風にいえば、ずばり!「アクティブ・ラーニング」そのものです。理科において問題解決型授業は、昔から研究されてきました。目の前にいる子どもたちをどのように理科に関わらせるか、子どもたちに科学的な見方考え方を身につけさせていくかを、担当する教師が工夫を積み重ねることで、作り上げる実践です。
物質エネルギーの領域では、より具体的な変化に目を向けた実践ができます。生命地球の領域では、調べ学習が中心となってきますが、その中でできるだけ実験や観察を取り入れた実践ができるとよいと思います。
今回の5つのステップは、「@出会いの場、A問題把握の場、B見通しをもつ場、C1人1人が考えをもつ場、D科学的な見方考え方のコンセンサスを得る場」と記述しました。問題解決の過程で骨組みと考えているステップです。ただ「観察」、ただ「予想」ではなく、子どもたちにとってどのように活動すればよいかを示しています。この考え方を基に今まで自分たちが行ってきた実践のアイデアが詰まっていますので、参考にしてください。
3年生は、昆虫の単元。やはり、モンシロチョウの卵をできるだけ多く用意することができれば、子どもたちは必ずアクティブになります。
4年生は、もののあたたまり方の単元。ロング試験管を使った実践ですが、実験器具を一工夫加えることで、子どもたちの視点が定まってきます。
5年生は、人の誕生の単元。博学連携で実践した内容を紹介しました。生命地球の単元でも一工夫することで、ただの調べ学習以上の実践ができるのではないでしょうか。
6年生は、水溶液の単元。なんといっても教材の工夫こそ、問題解決の神髄だと思います。
理科は、目の前にある事象すべてが教材です。そして、教材は時空を超えてどこにでもあります。そして、科学者たちは今なお、研究を重ね、新たな世界を発見し続けています。そんな世界へ橋渡しをすることが理科教師の務めだと考えています。その世界をつなげる手立ての一つが「実物教授や博学連携」だと考えます。こういった教材を取り入れながら子どもたちの問題解決力をつけることで、「これからの社会を生き抜く」ことができると考えています。
自分は、愛知県に住んでいます。愛知県に住んでいるからこそできる実践も中にはあります。それぞれの地区で、それぞれの教材があり、子どもたちは100人いれば100通りの考え方をします。今回の書はあくまで一例です。問題解決型授業では、先生方1人1人の工夫が欠かせません。そのためには、多くの実践の情報を交換し、多くの実践を発信し合うことで、問題解決型授業が、多くの教室で行われるようになっていくと思います。若い教師が全国的に増えている中、これまで偉大な先輩方が培ってきたノウハウをつなげ、今後の日本の理科教育がよりよくなっていくために、ともにがんばっていきましょう。