著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
ひと味違う参観授業&保護者会で、保護者の安心感と信頼感を勝ち取ろう!
サークルやまびこ高本英樹
2016/4/14 掲載
 今回は「サークルやまびこ」を代表して、高本英樹先生に、新刊『スペシャリスト直伝!授業参観&保護者会成功の極意』について伺いました。

サークルやまびこ

「サークルやまびこ」は、教育に対して真摯に、そして、情熱的に取り組むメンバーが集まった12名の仲間です。平成27年に結成25周年を迎えた今も、定例会を月1回行い、サークル通信は1000号を間近に控えています。平成19年に第1回教材・授業開発研究所全国大会を主催し、これを機に教材・授業開発研究所MLを立ち上げました。現在は、会員500名以上と日々情報交換を行っています。これまでの学びの成果は、『楽しい授業参観のアイデア36例』(明治図書、1992年)をはじめ、出版された20の共著に刻まれています。
「サークルやまびこ」の信条は、自分の足もとである学級や学校をよりよくするために日々実践を積み重ね、子どもに、保護者に、そして地域に認められることを第一としています。そして、一人ひとりがサークルを大事にして、お互いの人間力向上を図っています。

―本書はベストセラー「スペシャリスト直伝!」シリーズの最新刊として、テーマは「授業参観&保護者会成功の極意」です。まず、本書のねらいと読み方について、教えて下さい。

 「参観日」や「保護者会」と聞くと、ものすごく負担に感じる先生方が多いのではないでしょうか? 昨今の教育現場を考えると、確かにそういった気持ちになることも十分理解できます。
 しかし、学校教育現場の課題を解決していくためには、保護者の理解は欠かせません。保護者の理解が得られれば、これほど強い応援団はいません。
 「参観日」や「保護者会」を有意義なものにし、保護者の方の信頼を得て、先生方が思う存分教育活動に邁進できるようになってほしい。そういった願いから、この本を執筆しました。
 そこで本書では、「参観日」と「保護者会」の持つ意義をはじめに示し、続けてそれらを成功させるコツを述べています。次にそれぞれの実践を載せています。すべて、「ねらい」「成功のコツ」「実践モデル」「効果」のパターンでまとめました。
 このように一連の流れで構成することで、先生方に目標とゴールイメージを持って実践していただけるかと思います。

―本書の第1章・第2章は「授業参観」をテーマとして、成功の極意+実践ネタが豊富に紹介されています。授業参観は保護者に教師と子どもの姿を伝え、安心感を持ってもらう貴重な場だと思いますが、1学期、2学期、3学期と、学期ごとに違う姿を、とも述べられています。本書でも詳しく紹介されていますが、この点について教えて下さい。

保護者に安心感や信頼性を持っていただくためには、1年間で見せる子どもの姿に、成長がなければなりません。
 1学期には、新しいクラスで不安を抱える中、「我が子が元気に楽しく授業に望んでいる姿を見たい」と、保護者は思っています。
 そこで、1時間をいくつかの活動に分けて、それぞれの場で子どもの活躍が見られるように仕組みます。例えば国語なら、「漢字の学習」「音読」「暗唱」「漢字クイズ」というようにパーツで組みます。スピード感を持ってテンポよく進めることで、個人差が目立たず、どの子も活躍する場が保障されます。
 2学期には、1学期と比較して、「我が子が身につけた力を発揮する姿が見たい」と保護者は考えます。
 授業の中で「じっくり考える」「じっくり書く」「じっくり聞く」「しっかり話し合う」といった姿が見られる授業を組みます。
 3学期は、まとめの時期です。「我が子の1年間の成長が見たい」と保護者は思っています。
 子どもたちが自分の1年間を振り返って成長を語ったり、身につけた力を披露したりするような授業を仕組むとよいでしょう。

―本書の読者には、新任の先生や若い先生も多くいらっしゃると思います。授業参観で、陥りがちな失敗、注意点などがあれば教えて下さい。(失敗しないための準備なども含めて)

 「よい授業を見せる」が、教師にとってのよいではなく、子どもたちにとってのよいにならなければなりません。あまり背伸びをせず、今ある力で、子どもが楽しく活動していれば、保護者の期待の第1ステージはクリアできます。そういった心持ちで授業を組む方がよいでしょう。
 また、これは普段の授業にも言えることですが、先生のねらいを達成しようとするあまり、指示や説明が多くなり、子どもの学習活動が少なくなってしまうケースが多々あります。あくまでも子どもにスポットライトがあたるようにすることが大切です。
 授業内容にばかり気を取られてはいけません。掲示物を新たなものにしたり、子どもの机の中やロッカーを整えさせたりといった、環境面にも目を配りましょう。子どもはどのような環境で過ごすかで大きく違ってきます。

―これまでの授業参観で、特に印象に残っている取り組みがあれば1つご紹介下さい。

 私が一番印象に残っているのは、第2章の参観日授業ネタ:低学年編の「水ぞくかんを作ろう」で紹介した授業参観です。
 これは、2年生の生活科で川に住む生き物を飼って観察する学習です。観察して発見したことや実験して分かったことをパネルにして、自分たちが世話してきた生き物を保護者の方に紹介しようと考えました。子どもたちは大喜びでした。ある子が、「水ぞくかんみたい」と言ったことがきっかけで、教室を本当に水族館にすることになりました。
 子どもたちは、入館するためのチケットを作ったり、当日はテープカットの準備をしたり、体験コーナーを作ったりと、一生懸命準備をしました。
 当日は、飼育員さんになりきって、観察記録を用いながら自分の生き物を保護者の方に紹介していました。その活き活きした子どもたちの表情は、今でも鮮明に覚えています。保護者の方にも大好評でした。

―第3章・第4章では、保護者会がテーマです。保護者の方が「参加してよかった」と思える保護者会にするには、どんなことが大切でしょうか。(事前準備など)

 保護者会の大きなねらいは、保護者との繋がりをつくることです。繋がるには、共通体験が必要です。互いの気持ちや考えを表出し、同じものを感じたとき、人は心の繋がりを意識します。
 また、保護者の方に「自分の話を聞いてもらえた」という満足感を持っていただくことも大切です。
 そのためには、一方通行の堅い話をする会よりも、互いに語り合えるような会を設定する必要があります。
 そういった会を作るには、

・子どもたちの普段の映像や画像や作品やノートなどを準備して話の種にする
・事前にアンケートをとり、その結果について一緒に意見交換をする
・こういった楽しい企画に、役員さんに主体的に関わっていただけるよう、先生方からの言葉がけや協力をばっちりしておく

とよいでしょう。
 実施前には、

・学級便りやチラシ等でしっかりPRし、なるべくたくさんの方にご参加いただけるように工夫

しましょう。
 保護者会が終わった後も、

・役員さんにねぎらいの言葉がけをすることや、会の様子や感想を学級便りなどでお知らせする

ことで、繋がりはぐっと増すことでしょう。

―学級イベントのような形で、親子で参加されるイベントについても、本書では紹介されています。(準備なども大変になりますが、)ズバリ、成功の秘訣は何でしょうか。

 準備は確かに大変です。しかし、このようなイベントができるということは、保護者の方とかなりの繋がりができるということです。これは教師としては大きな財産となります。
 そこで、その秘訣をお教えします。
 ズバリ!! ご自分が楽しんでやるということです。楽しい人の所へ、人はやってきます。人と関わることを楽しんでいる人の所へ、人は集まります。まずは、先生自らが、そのイベントを楽しむようにすることです。
 そうすれば、大変な準備も苦になりません。保護者といっしょに話し合ったり、準備物を作ったりすることも楽しい時間となります。
 楽しいことは自分が率先してやっていくことが、成功のコツです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願い致します。

 日々の授業や学校行事やいろいろな会議に追われる毎日です。生徒指導や保護者対応にも苦慮されている先生もいらっしゃるかと思います。本当にお疲れ様です。
 だから、参観日や保護者会までエネルギーを注ぐ余裕はないといわれるかもしれません。
 それでも、我々は、参観日や保護者会を大切にしてきました。それは、保護者の信頼を得たり、保護者との繋がりを結ぶことが、子どもたちを教育する上で大変価値あるものと認識しているからです。子どもと保護者と教師が、笑顔で、同じ時間に、同じ場所で、同じ活動を共有している中に、本当の心の教育があると信じているからです。
 どうか皆さんも、保護者としっかり手を組んで(本書の表紙のイラストのように)、子どもの教育にあたっていただきたいと願っています。そのお手伝いができればと、我々の実践を満載した一冊を世に出しました。どうかお手にとってご活用ください。
 授業参観や保護者会後に、読者の皆さんに笑顔がありますように。

(構成:西浦)

コメントの一覧
1件あります。
    • 1
    • 名無しさん
    • 2016/4/16 21:33:51
    実にためになります。すべて実践済みなところがいい。参観日に取り組む意欲がわきます。
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