- 著者インタビュー
- 算数・数学
教科書の内容を解説するような「結果を伝える数学の授業」では生徒にとって受け身の授業になってしまいます。そうではなく、私たちは「過程を重視した数学の授業」が大切だと考えています。
「過程を重視した数学の授業」とは、文字通り、生徒が学習する過程を大切にした授業のことです。私たちは、大きく「@内発的動機を高める問題の提示」「A個人思考」「B集団思考」「C振り返り、習熟や発展」の4つの過程で授業展開をとらえ、実践してきました。
まずは、日頃から指導している先生の姿勢、指導の積み重ねが生徒の粘り強さにつながっているということだと思いますが、授業でいうなら、上の4つの過程の中の@内発的動機を高める問題の提示が重要になります。内発的動機を高めることが、生徒が自力で考えたり、粘り強く取り組もうとしたりする姿につながるからです。
そのうえで生徒の気づきや、ひらめきを引き出すための教師の働きかけとして、ヒントを与えるときも、直接解法を示すのではなく、その生徒が理解している段階から徐々に段階を上げていくようにし、生徒自身に気づかせることが大切だと考えています。
アクティブ・ラーニングを実現するためには「過程を重視した数学の授業」に授業観を変えるということが一番大切だと思います。そのうえで、教科書、雑誌やインターネット上の教材、今までの研究授業で使われた教材、身の回りの教材を見直してみます。
なにも新しい教材を開発する必要はありません。気に入った教材でアクティブ・ラーニングの実現が可能かどうか、そして、単元の中に位置づけることが可能かどうかを考えてみてください。
主体的・能動的な学びは、これまでの中学校現場でも求められてきました。私自身、中学校現場では、教師が機械的に教え込むのではなく、生徒が主体的に学ぶ授業を目指し、その実現に向けて、わかりやすく教えるのではなく、生徒が考える場面を中心に据えて授業づくりをしてきました。
本書では、「過程の重視」「単元の指導計画の中への位置づけ」という観点から、アクティブ・ラーニングの提案を行っています。
よりよい数学教育の実現に向け、読者の先生方と意見交換をしながら、研究ができれば幸いです。