著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
子どもを知的でアクティブにする、知っておくべき60の技法
名進研小学校国語顧問教諭・立命館小学校国語教育アドバイザー岩下 修
2016/3/24 掲載

岩下 修いわした おさむ

公立小学校教諭、立命館小学校教諭、立命館大学非常勤講師を経て、現在、名進研小学校国語顧問教諭、立命館小学校国語教育アドバイザー。著書に、『AさせたいならBと言え』『改訂新版 続・AさせたいならBと言え』『国語の授業力を劇的に高めるとっておきの技法30』『指導案づくりで国語の授業力を高める』(以上明治図書)『作文の神様が教える スラスラ書ける作文マジック』(小学館)ほか多数。

―本書では、いま最も注目されているアクティブ・ラーニングの授業を具体的にどう実現するか、技という観点から述べていただきました。すべて実際の授業の中で生まれ、用いてきた技だそうですね。

 明日の授業で、子ども達をあっと驚かせ、なるほどと発見させ、よしやってみようと言わせてみたい。つまり子ども達にアクティブな精神を発揮させようと日々作戦を考えてきました。作戦が成功したときのうれしいこと。それらをできるだけシンプルにまとめ先生方に活用していただけるよう技化してみました。教師生活も長くなりますが、今回紹介したものの大半は、最近見つけたり、言語化したものばかりです。講座等で紹介すると「もっと早く知っていたら……」とよく言われますが、私自身も、もっと早く知っていればと思うものばかりです。

―どの技もまさしく“基本”の技だと思うのですが、とりわけおすすめの技はなんですか。

 そうですね。今回まとめました60点からおもいつくままベスト3です。

「文章の音読は一映像で一つの間」…読点は、文章を読みやすくするためにつけた記号。すべての読点で間を空けていたら、イメージは形成されませんね。
「人柄・人物像はネーミング方式で」…「ごんぎつね」2の場面の場合。物知りぎつね、好奇心ぎつね、後悔ぎつね、悲しみぎつね等々……。人物像が見事に浮上します。
「説明的作文のエンジンをおさえる」…作文のまとめは、なか1となか2で書いた両方を読んで今思ったこと・考えたことを、なか1と2の共通項として書かせます。これで子どもの作文は劇的に変わります。思考力も身につきます。

―子どもを能動的にしたい、という思いはあるものの、「活動あって学びなし」になってしまわないか、という懸念を抱いている先生は多いと思います。そうならないために、岩下先生はどのようなことに気を付けて“アクティブさ”を保障されているのでしょうか。

 もともと国語の授業は、言葉の獲得に特化した特殊な場だと考えています。「言葉にまみれ、言葉と格闘する」ということを常に念頭におき、アクティブな活動を目一杯に展開し、日本語の機能の面白さを体得させたいと考えています。新しい言葉の獲得、言葉の統合、言葉の発信によってしか思考は深まらないと、頑固に考えています。私的なおしゃべりをいくつ連ねても思考は深まらないと……。

―最後に、アクティブ・ラーニングの国語授業を目指す読者の先生方に向けてメッセージをお願いします!

 アクティブな映像、情報発信があふれる分、子ども達の精神は、逆に非アクティブ化していくのではと心配になります。そんな今の子ども達に知的でアクティブな精神をよみがえらせる――教師にしかできない極めて社会的な大きな仕事です。教師は、この時代のチャレンジャーです。映像に負けない教師のアクティブな技はたくさんあります。自分の道を切り拓くと同時に、子どもの世界を広げる突破口となる優れた技を見つけましょう。

(構成:林)

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