- はじめに
- 一章 おさえておきたい! アクティブな国語授業を支える基本技
- 1 あいさつは目でする
- 2 さっと動いてじっと聞く
- 3 10秒で授業に集中させる
- 4 おしゃべりを即座にやめさせる
- 5 発問・指示にスポットを当てる
- 6 子どもたち全員をスキャンして見る
- 7 忘れ物で悪い空気を出させない
- 8 テンポよく次々と対応する
- 9 個と全員に同時に対応する
- 10 言葉を子どもに確実に届ける
- 二章 アクティブな授業の第一歩! 音読指導の基本技
- 1 文章の音読は一映像で一つの間
- 2 文節末や文末で力まない
- 3 発声の決め手はハラとタメ
- 4 詩歌の音読は二拍子でリズミカルに
- 5 俳句・短歌も二拍子で
- 三章 発問・指示が決め手! 文学の読解授業をアクティブにする基本技
- 1 ナンバリングで読解授業が変わる
- 2 二つに分けることでアクティブな読解作業に
- 3 物語の要約は「ビフォア&アフター」
- 4 「時」の問いで読解スタート
- 5 「場所」も外せない検討課題
- 6 「登場人物」の検討は何度でも行う
- 7 「ものがたり」は「もの」が大事である
- 8 「気持ち」は問わないと心がける
- 9 「不思議ですねえ」からスタートする
- 10 人柄・人物像はネーミング方式で
- 11 主人公の心が一番大きく変化した段落を問う
- 12 困ったときは対比的な発問・指示で突破
- 13 対比&類比で仕掛けが見える
- 14 「話者の意識化」で読解が深化する
- 15 主題を一時間で指導する
- 16 折り句から生まれる想像と創造
- 17 予想を生む提示法
- 18 作品の批評は二項対立で
- 19 詩を丸ごと味わう「小出し方式」
- 20 「仲間外れの連探し」で対比的思考を生む
- 四章 言語力を定着させる! 説明文の読解授業をアクティブにする基本技
- 1 内容理解の切り口は述語にあり
- 2 段落の内容はひとことでまとめる
- 3 段落要約は「重要述語+情報」で体言止め
- 4 段落要約法の活用の実際
- 5 指示語の検討の方法
- 6 段落のキーセンテンスを見出し化する
- 7 「おわり」ではなく「まとめ」と呼ぶ
- 8 文章構成の検討は「段落要約先行」を基本に
- 9 教材の特性を生かした構成の検討を
- 10 リライトで作文筆記力向上
- 五章 アクティブな思考を促す! 書く力が身につく作文指導の基本技
- 1 思考のための最高のツールにする
- 2 一生使える説明的作文の基本型を授ける
- 3 説明的作文のエンジンをおさえる
- 4 説明的作文はまとめの言葉でタイトルを
- 5 作文好きな子を育てる物語風作文
- 6 物語風作文を書くためのコツ
- 7 様々に活用できる小論文風作文の基本型
- 8 「確かに、しかし、なぜなら」の型の力
- 9 テーマに対応した型とモデルを提示する
- 10 クラス全員が筆記できる場をつくる
- 六章 発信型でアクティブに! 漢字指導の基本技
- 1 漢字ドリルは丸ごと素読する
- 2 画数の筆づかいも音読する
- 3 漢字の気づき・不思議を見つけさせる
- 4 目をつぶって書かせる
- 5 丸つけは半丸方式で
- おわりに
はじめに
アクティブ・ラーニング。よい言葉である。日本語に置き換えると、主体的学習、自ら学ぶ学習ということになろう。しかし、これらの日本語に置き換えた用語は、もはや力を失ってしまった感がある。アクティブ・ラーニング。横文字の言葉であるが、子どもの知的・能動的な精神に満ちた学習活動が浮上するのがよい。アクティブ・ラーニングは、講義型の授業に疑問を投げかける。活動ありきの学習に警鐘を鳴らす。大事なのは、子どもの精神がアクティブであることだと。
アクティブ・ラーニングのある授業。四〇年あまり、私が目指してきたものである。小学生は、知りたがりで、やりたがりで、動きたがり。小学生に講義型が通用しないことは、子どもの前に立てばすぐわかる。ここから、私の作戦≠ェ始まった。表現活動のある授業。音読を多用した授業。対話を軸にした授業。グループ活動、そして、発問・指示を軸にした指導言の工夫等々。先輩の教師や研究者の方々から、私自身がアクティブに学んできた。そして、思う。日本の小学校教育から生み出されたアクティブ・ラーニングのための技法は、世界に類を見ないほど多種多様であると。
だから、大学教育の場でも、一方向の講義ではなく、小学校で行っているアクティブな学習法を導入しようということになったのであろう。この時代に対応する人材を育成しようと。
では、現在の小学校現場の授業は、果たして、大学教育のモデルになり得るか。国語の授業だけを考えても、大変心もとない状況である。
「読解の授業、作文の授業。どうしてよいかわかりません」と若い教師。
「活動が増えて、読解する時間がありません」とベテラン教師。
「ベテラン教師が抜けて、指導法を伝える人がいない」という管理職。
「全国学力テストに対応できる国語力が身につかない」という声も。小学校現場での悩みも、年々大きくなっている。
こんな悩みの解消に向けて、アクティブ・ラーニングを成立させるとっておきの技を紹介する。知的でアクティブな精神が生まれる技を60点厳選した。定番的な技もある。微細な部分に目をつけた技もある。少々大胆に導入した技もある。中には、技でなく型として示したものもある。すべて、授業の中で、活用し、繰り返し修正してきたものだ。
同類の書としては、『国語の授業力を劇的に高めるとっておきの技法30』(明治図書)がある。この書は、立命館小学校に赴任する前、公立校時代の授業から生まれたものだ。それから一〇年。今回の技は、京都の立命館小学校と名古屋の名進研小学校での授業から生まれたものだ。
どこからお読みいただいてもよい。ピタッとくるものからどんどん活用していただきたい。子どものアクティブ・ラーニングあるところ、教師のアクティブなマインドがある。これは、いつの時代にも変わらないことである。アクティブ・ラーニングのある授業を目指す先生方に本書を捧げる。
/岩下 修
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