著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
アクティブ・ラーニングを少し取り入れるだけで、生徒の理解はもっと深まる!
徳島県阿波市立土成中学校教諭三橋 和博
2016/2/26 掲載

三橋 和博みつはし かずひろ

鳴門教育大学教職大学院を修了後、現在、徳島県阿波市立土成中学校教諭。

―本書では、高校入試のつまずきをテーマに、アクティブ・ラーニングを取り入れた授業モデルをご紹介いただきました。本書で紹介する「アクティブ・ラーニング型授業」とそのよさについて、改めてご解説をお願いします。

 一方的な講義型の授業では、入試問題の解法を教師が説明しても、ただ聞いているだけ、ノートに書いているだけで、わかったつもりになっている生徒はいなかったでしょうか?
 そこで、その解法を、生徒に説明させてみてはどうでしょう。自分の理解度も認識できるし、聞いているだけよりも理解が深まります。
 このように、大きく授業を変えなくても、少しアクティブ・ラーニングを取り入れるだけで、知識・技能の定着度も変わってくるのです。

―本書では、目の前の生徒の課題を把握して育てたい力を明確化し、学習課題と技法を検討して授業を設計する方法が述べられていますが、先生は具体的にどのような観点から、学習課題と技法を選択しているのでしょうか?

 例えば、学習課題をグループやペアで話し合わせたいと考えます。しかし、育てたい力によって、お互いの考えを「比較させたい」のか「関係付けたい」のか「他面的に見させたい」のかと、その目的が違ってきます。この目的がはっきりすれば、「シンク=ペア=シェア」を使うのか、「ワードウェブ」や「ラウンド=ロビン」を使うのかと目的に合った技法の選択をすることができます。
 本書では、先生方が選択の幅を広げられるように、これまで実践して、効果のあった技法を多く紹介することにしました。

―本書の中で、グループ活動を取り入れた授業を多数ご紹介いただいていますが、その一方で、グループ活動を行うことによる注意点についても触れられています。どのような点に注意して、グループ活動を行っていけばいいのでしょうか?

 学習課題と技法によって、グループ編成の方法は変わってきます。グループの形態(フォーマル、インフォーマル、ベース)や人数、特性(同質・異質)、決定方法(生徒主体・教師主体)、役割を与えるかどうかなどを考えてみてください。
 そして、環境づくりも大切です。安心して自分の考えや意見を発言できないようでは、グループ活動は活性化しません。教師は生徒の力を信頼し、生徒自らが運営していることを手助けするという、促進役としての役割が増えてくるのです。

―最後に、読者の先生方へメッセージをお願いいたします。

 あるアクティブ・ラーニング研修会で、現場の先生方が今後知りたい情報として「教科書を使ったアクティブ・ラーニング型授業の具体的方法」や「入試との関連(学力向上)」があると聞きました。本書はそれらに応える内容になっていると思っています。
 「この手法、おもしろそうだな」「教科書の例題の後に取り入れてみようかな」と、明日からの実践にすぐ役立つようにと考えたつもりです。なぜアクティブ・ラーニングを取り入れるのか、アクティブ・ラーニングをどのように取り入れれば生徒の学びが深まるのか、本書をきっかけとして考えていただければ幸いです。

(構成:赤木)
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