著者インタビュー
新刊書籍の内容や発刊にまつわる面白エピソード、授業に取り入れるポイントなどを、著者に直撃インタビューします。
高校の授業改革のすすめ
学びを中心とする授業の創造へ
学習院大学教授佐藤 学
2015/7/23 掲載

佐藤 学さとう まなぶ

学習院大学文学部 教授
著書『学校を改革する』(岩波ブックレット)ほか多数

―本書は、先生が所属されている「学びの共同体」の実践をまとめたもの、ということですが、「学びの共同体」がめざされていることを教えていただけないでしょうか。

学びの共同体の目的は、一人残らず子どもの学ぶ権利を実現し、一人残らず教師の専門家としての成長を促進し、大多数の保護者と市民が信頼し協力し合える学校を創造することです。併せて、学びの共同体は、21世紀型の学校教育の実現を推進し、教育の質と平等の同時追求を行っています。

―先生は本書中、高校の授業改革の喫緊性を述べられていますが、「高校こそ!」と思われる理由を1つ教えていただけませんか。

日本の高校の授業は、国際的に見て世界一改革が遅れているというのが実態です。PISA調査やTIMSS調査の結果を見ても、「探究的な学び」と「協同的な学び」の2つの項目において、それぞれ67か国中最下位、65カ国中64位という状態です。そのため、多くの高校において授業は崩壊しつつあり、生徒たちは学びから疎外されています。高校における授業と学びの改革は喫緊の課題です。

―本書は、前作『授業と学びの大改革「学びの共同体」で変わる!高校の授業』とはどのような点が異なるのでしょうか。

前著より、教室の具体的実践事例が充実しているのが特長です。
学びの共同体の高校改革の実践は、教科により教師により多様な展開をとげています。その多様性を今度の本は提示していると思います。

―最後に、本書に興味をもってくださった全国の先生方にメッセージをお願いします。

教科内容の発展性の洞察と生徒の学びに対する信頼、そして同僚との学び合う関係が、新しい授業づくりの基盤です。ともに明日の高校教育を創造しましょう。

(構成:佐藤)
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